表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
75/75

スマホ画面がベトベトしている時

 最近、なんか頭に霧がかかったような気がする。熱はない。痛みもないが、なんか変な感じ。その上、寝られなくて、SNSを見ていた。


 特にショート動画は沼だ。一度浸かったら、もうズルズルと見てしまう。


「あれ?」


 気づくと、もう夜中の二時だ。二谷優杏は大学生だ。徹夜も時々しているぐらいだったが、どうも変。体調不良とはいえな感じなのに、スッキリしないというか。


 次の日、なんとなく冴えない感じで大学へ。いつもと同じ授業だったのに、集中力が続かない。レジュメの文字もよく追えないし、教授の声がちゃんと聞こえない感じ。


 昼休みになる頃はぐったりだ。寝不足のせいか、何なのか。


 カフェテリアについても、どうも違和感は消えず、スマホでSNSをチェック。一度見てしまったら、案の定沼。昼ごはんもそっちのけでスクロールしまくっていた時。


「優杏、どうしたん?」


 そこに友達の有木真美に声をかけられた。友達といってもそんな親しくもなく、時々みんなと飲みに行くメンバーの一人っていう感じだったが、なぜか心配そうな目線を向けてきた。


 もしかして、ここ頭の中が霧にかかったような違和感が真美にはバレているのだろうか。隠しても仕方ない。スマホをテーブルの上に置き、相談してみることにした。


「それ、もしかしたらドーパミン中毒かもしれない」

「ドーパミン?」

「うまく使えばやる気を促すし、ワクワクした心にもなるけれど……」


 真美はさらに怖いことまで言う。ショート動画やSNSの情報など簡単に報酬が得られるものにコミットし続けると、やる気がなくなるし、リアルで頑張ろうって気分になりにくいらしい。そうしていつのまにかリアルで恋愛や仕事の成功を逃したりする。


「な、何それ……」


 優杏の口からうめき声が漏れる。思い当たる節がいっぱいある。ショート動画やSNSの情報を見るたびに、やる気を失っていたのも確か。こんな簡単に報酬が得られるなら、頑張る意味とか、コツコツした努力とか無駄に見えて……。


「まあ、現代病みたいなもんだね。だから最近の音楽はドーパミン中毒者向けにわかりやすくサビから入るの多いし、WEB小説も起承転結といいより起転転転って感じみたい」

「そうなんだ……」


 そんな話を聞いた優杏。何か大事なものを失っているような気がして背中が寒くなってくる。


「だったらどうしたら?」

「リアルで報酬をもらえることを頑張るんだよ。運動がいいね。あとは料理ととか掃除とか。時間がちょっとかかって疲れるもので」


 そう言った真美、優杏のスマホに目を向けた。指紋や油でベトベトになった画面が気になるみたい。


「まずはスマホ画面、綺麗にしてみたら?」


 真美のアドバイス通りにしてみることにした。まずはティッシュで拭いてみたが、あんまり綺麗にならない。


「あ、思い出した!」


 確かレシートの印字部分でスマホ画面を拭くと、綺麗になるって言われてた。ダラダラと見ていたSNSで知った知識だったが、全く役に立たないことではないらしい。おかげでスマホ画面はキレイになった。


「あ、キレイになった。これがリアルの報酬ってやつ?」


 想像以上に心もスッキリしてしまった。SNSで得られる報酬より満足度がある。


「そうだよ。やっぱり、スマホ画面の中と外は違うってこと」


 真美は深く頷き、キレイになったスマホ画面を見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ