もやしを長持ちさせたい時
もやしは良い食べ物だ。栄養素も高く、シャキシャキ感も素晴らしい。簡単にできる料理も多い。その上、安い。
今日も小宮川美空はもやしを買い、調理していた。さっと炒めてカレー粉で味付けするだけの料理だったが、一人暮らしで給料も低い美空には、ご馳走だった。
「やっぱりいいね。もやしは」
ホクホク顔で食べているが、もやしはそんなに賞味期限が長くないことは残念だと思う。今日も仕事帰り、スーパーでもやしが特番だったから、多めに買ってきたが、長持ちさせる工夫はちょっとめんどくさい。
大きめなタッパーに水を入れ、そこにもやしを入れて冷蔵保存。時々水を変えつつ、黒っぽくなるまで長持ちさせられるが、ちょっとめんどくさい。美空はホテルで勤務していたし、生活が不規則だ。それにもうアラサーでちょっとの手間も面倒な時も増えた。
「なんかもう少し楽な方法ないかなぁ。水につけるのも悪くはないし、長持ちするけどさ」
自分のズボラっぷりにため息が出そうだが、検索していると、もう少し楽な方法を見つけてしまった!
それはもやしの袋に穴をあけるだけの方法。つまようじでプスプスと穴をあけるだけで良いらしい。
「え、こっちのが簡単じゃん。どういう事?」
もやしは袋の中で湿気が籠ると劣化のスピードが早くなるらしい。そこで小さな穴をあけて、通気性をよくすることで長持ちさせやすいという。
「えー、こちのが簡単……」
とはいえ、水つけの方が長持ちしそうではあったが、両者を天秤にかけたら、穴あけの方が圧倒的に楽じゃないか。美空は目から鱗だった。よく調べれば、簡単ない方法もちゃんとあるなんて。
「なんかちょっと騙された気分……」
ふと、美空は給料明細を取り出してみていた。税金で容赦なく手取りが引かれてる。夜勤や遅番もある割には、平均より低い月給。思わずため息も出てきたが、もしかしたら仕事についてもよく調べていなかったのかもしれない。思い込みもあった。女だから稼げないとか、どうせ頑張っても無理とか、日本は不景気だからとか……。
「そっか……」
美空は給料明細をしまうと、転職サイトを見てみた。実は登録だけはしていたが、思い込みに囚われて全然見ていなかった。
「あれ? 家から近所でももう少し待遇が良い求人もあるな……。よく見たら、そんな全部悪い求人ばかりでもないかも……」
思い込み、取れてきたかもしれない。
こうして美空は転職活動に踏み出した。一歩だけ進んでみる。もちろん怖いけれど、もやしがあれば、食費は節約できるし、大丈夫かもしれない。




