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File13:Souls Meet Beyond Time

数日後、治療が完了し動けるようになった。

悠仁も薫も行方不明のまま。二人はどこにいるのだろう。

二人のことを思いながら、タバコを咥えて親っさんにもらったジッポライターを取り出す。開いたとき、蓋に見慣れない折り畳まれた紙が入っていることに気がついた。タバコをしまい確認するとそこにはどこかの場所を示す座標が手書きで書かれていた。

ここに来いということなのだろう。

恐らくそこに二人がいる。

草薙さんに座標を調べてもらう。

「ふむ…街から外れた海岸沿いの廃墟を指してるな。……罠かもしれないぞ」

「ライターに紙を仕込んだのは薫です。そこに悠仁もいるはず」

「止めても行くんだろ?」

「えぇ」

車の鍵と俺の刀を渡される。

「刀は俺の方で手入れしといた。車はお前にやる。……愁染、お前達は深淵を覗いている。そこに飛び込むか踏みとどまるかは自由だ。若い故に突き進むことも大事だと言う奴もいるが、俺は逃げるという選択肢も必要だと思っている。知らない方がいいことだってある。

俺は色んな奴を診てきた。大半がろくでなしの中でお前達は違った。あまりにも純粋で真っ直ぐすぎる大馬鹿共だよ。すぐに一人で抱えきれないものを背負おうとする。だからこそ、お前達が壊れるのが堪える。……壊れる前に全てを投げ出して逃げたっていいんだ」

不器用ながらに心から心配してくれていることが伝わる。篁の親っさんを見ているようだ。

「ありがとうございます。

この先に何が待っているかはわからない。

でも、そこに行くと決めたのは俺自身です。

二人が抱えているものを知りに行きます」

「…そうか。ガラクタになって戻ってきたら許さねぇからな」

草薙さんに見送られながらガレージに向かい車に乗ってエンジンをかける。外はあの日のような土砂降りだ。俺は雨を斬るように車を走らせた。


座標が示す廃墟の前に車を停める。

廃墟はかつてマンションだったようで、窓が割れていて海から来る潮風の影響か、かなり廃墟全体がボロボロだ。かなり前からあるのだろう。

ふと、廃墟から視線を外すと雨で見えにくいフロントガラスの向こうに野球ボールサイズの黒い球体が浮かんでいるのに気がついた。

運転席に回り込んで来ると、一人は入れるサイズの透明なシールドが雨を遮るように現れる。

正面についた小さいカメラレンズがこちらを見つめている。

車から降りろということなのだろう。

降りると球体はついてこいと廃墟と俺を交互に見て示す。

廃墟の中に入ると、球体がシールドを解除して何もない壁に向かって進んでいく。

追いつくと球体は壁をスキャンした。

すると壁が消え、重厚なエレベーターが現れる。球体と共にエレベーターに乗り込む。

行き先は今いる一階と地下のみ。

地下に行くボタンを押して、下に降りていく感覚を感じながら着くのを待った。


ポーンという音が到着を知らせた。

エレベーターの扉が開いて球体が先行する。

ついていくと上の四角いライトが奥に向かって一つ一つ灯っていく。

巨大な空間が広がっていた。

幾つものチューブが束になって壁を覆い尽くし、奥へ向かって伸びている。

球体が部屋の中央でピタリと止まる。

そして案内の役目を終えて重力に沿って落下し

奥に向かって転がっていく。

奥には扇形の階段があり、そこに一人の人物が座っている。

三年前に俺の人生を狂わせた、般若面の男だった。

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