免許がないの歌
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群れってのは不思議なもので、
仲がいい奴同士より、
ちょっと外れた奴同士の方が
妙に噛み合うことがある。
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野営地テントなどをパオに積み終わり
川で水遊びするハスキーに
「……行くぞ」と声をかける銀髪。
まだ遊びたいハスキーは
「やだ」と遊び続ける。
目を顰める銀髪
「……」
ハスキー
「今遊びたい」
銀髪
「……そうか」
それだけ言って
パオに乗り込みエンジンをかける
そのまま去る。
ハスキー川から立ち上がり
「え、マジで行くの?」
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別方向。
赤髪がZに荷物を縛ると
「ほら行くぞー」
カカポ
「お前の【勘ルート】で何回迷ったと思ってんだ」
赤髪
「迷ってねぇ、寄り道だ」
カカポ
「言い換えるな遭難を」
赤髪
「じゃ来んな」
カカポは羽を使って中指を立てた形を作り。
「望むところだ」
赤髪はZに跨りさっさと去る。
2台のエンジン音が遠ざかり静寂。
残された二匹……
目が合う。
カカポ
「……捨てられたな」
ハスキー
「……ああ」
ぎこちない空気で2匹無言で歩く。
気まずい。
カカポ
「……どうする?」
ハスキー
「知らねぇ」
別にお互い嫌ってはないが会話が終了する。
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カカポ
「……免許持ってる?」
ハスキー
「ねぇ」
カカポ
「だよな、犬だし」
ハスキー
「鳥も持ってねぇだろ」
カカポ
「飛べるから実質免許持ち」
ハスキー
「カカポって飛べないだろ」
カカポ「うっ」っとなり
「練習中、仮免って所だ!」
歩きながら適当な鼻歌を歌うカカポ……
ちょっと乗ってきた。
「♪ 免許がないから乗れねぇ〜
♪ 行き先なんて知らねぇ〜」
ハスキー
「うるせぇ」
構わず続けるカカポ
「♪ 地図も読めねぇ〜
♪ 社会にも乗れねぇ〜」
ハスキー(小さく)
「♪ ……ルートは勝手に決まる〜」
バッと振り向くカカポ
「乗った!?」
ハスキー
「……口が滑った」
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車が通りかかる。
カカポは手(羽)をサムズアップの形にして
「へーい!」と掲げヒッチハイクを心みる。
通り過ぎる。
中指を立てた形に変えて
「Fuck!」
「お前もやれよ!」
次の車。
ハスキー2本足で立って両手(前足)で
来い来いとする。
カカポも渾身の腰振りダンスをする。
家族みんな笑顔で手を振って通り過ぎる車。
ハスキー尻尾を振って答える。
「止まれやーーー!!
あと何尻尾振ってんだよ!」
3台目
「あらぁぁーーー!!止まれやーーーー!!」
道路に立ち塞がるカカポ!!
クラクション!迫る車。
「……あ、やべ」
寸前でハスキーが咥えて助け出す。
「今のはお前が悪い」
「ご、ごめん」
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結局また歩き出す。
カカポ
「そういやお前エナドリ何派?
俺、レッドブル」
ハスキー
「モンエナ」
カカポ
「うわ出た痛い奴」
ハスキー
「赤べこの方が痛ぇ」
カカポ
「【翼を授ける】だぞ?
ロマンがあるだろ。あと赤べこ言うな!」
ハスキー
「モンエナの方が多い」
カカポ
「味で選べよ獣」
ハスキー
「量多い、マークかっこいい」
カカポ
「終わってんな」
カカポ
「で、お前どう拾われたんだよ」
ハスキー
「……雨の日」
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豪雨の深夜。
ボロいバス停。
ずぶ濡れで傷だらけのハスキーが
木造の待合室で座っている。
遠くからヘッドライトが近付いて来る……
……ボーっと
何時間振りだろ車来るのと思ってると。
目の前を丸っこいレトロな車が通り過ぎる。
一瞬運転手と目が合った気がした。
停車する音……バックして来る音。
バス停前に車が止まると運転手が
助手席側に身を乗り出し何かしてる。
窓がぎこちなく開く。
……今どき珍しい手動か
銀髪の運転手はぶっきらぼうに
「……乗ってく?」
ハスキーはプイっと横を向き。
「いい、金無いし」
銀髪は無言でこっち見てる。
「……」
ハスキー
「もうすぐ猫バス来る」
銀髪
「……今日はここで寝る」
ハスキー「は?」と振り向くと
銀髪の運転手は既に毛布を片手に待合室に
入って来て隣に横になる。
「……寒い、湯たんぽになれ」
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カカポ
「怖っ!」
ハスキー遠い目で
「怖かった」
カカポ
「お前逃げろよ」
ハスキーはクスッと笑い
「寒かった」
カカポ
「理由それ?」
ハスキー
「……まあ、そうだな。
お前は?」
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空港の到着カウンター
赤髪が荷物受け取りのコンベアの前で
ソワソワと自分の荷物を待っている。
携帯の充電ケーブル入れっぱなしだったのだ。
アタッシュケース旅行カバンと
色々な荷物が流れて来る。
自分の荷物を受け取りフロアの角に持って行くと早速、革カバンを開ける。
(●▽●)
赤髪と目が合うカカポ……
お互い硬直。
しばらくして空港職員が近付き
「すみません」
赤髪、バタンとカバンを閉める。
カカポ「痛って!」
赤髪「あ〜……イタタ〜」
「大丈夫ですか?
ここで荷物拡げるのはちょっと〜」
赤髪は挙動不審に
「あ〜OKOK〜外でやるよ〜」と
荷物を持ってそそくさと出て行く。
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カカポ
「荷物に紛れて密航」
ハスキー
「雑」
カカポ
「雑に生きてます
因みに外でメチャキレられた」
ハスキー
「あ〜無賃乗車だもんな」
補足
カカポはワシントン条約で
【最も厳しい】規制区分である「附属書I」に
指定されている。
つまりバレたら【極めて重い国際犯罪】です。
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老朽化した歩道橋を渡る2匹。
「ボッロボロだな〜これ〜」と
ぴょんぴょんするカカポ。
すると
金属が悲鳴をあげて歩道橋が崩れ始める!
「うわっ!?」
ハスキーは即反応して
バランスを崩したカカポを咥えて引き戻す。
崩落予測して足場を指示、
「右!」「はっ!」
「そこ踏むな!」「ほっ!」
「跳べ!」「ぬああああ〜!」
そして最短誘導して
崩れつつある歩道橋を渡り切る。
息切れしてヘタリ込むカカポは
一切呼吸の乱れないハスキーを見上げ。
「やっぱお前ヤバいな」
ハスキー
「……」
カカポ
「なんでそんな動けんの」
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極短フラッシュ
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低い視線で草木が後ろに素早く流れる。
他方向で爆音。
そして閃光。
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カカポ
「警察……いや軍用犬?」
ハスキー
「……知らねぇ」
カカポ
「ふーん」
2匹共沈黙。
カカポは両手(羽)をひろげ。
「ま、生きてんならOKだろ」
ハスキー少し目を細める。
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夕方。
カラスが鳴く中ボロい待合室付きバス停。
ベンチに並んでタバコをふかす2匹。
カカポ
「♪ 免許がないから〜」
ハスキー
「♪ 帰り道すら知らねぇ〜」
そこへ聴き慣れた2台のエンジン音。
そして停車音。
赤髪が待合室に顔を出す。
「いたいた」
銀髪も合流する。
「……何してる」
ハスキー
「捨てられた者達で合唱」
カカポ
「放浪のシンフォニー」
銀髪は溜め息を吐いてから微笑を浮かべ
「……猫バスじゃないけど乗る?」
赤髪
「だから何だ猫バスって」
カカポ
「お前らそのネタ共有してんの怖ぇよ」
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全員合流して
出発前にひと息入れる事になった。
ハスキー「渇く……」
カカポ「オモク切れた……」
ハスキータバコの本数チェック
「……ラス1か」
カカポ
「俺レッドブルしかねぇ」
空を仰ぐハスキー
「最悪」
カカポ
「じゃあ交換するか?」
ハスキー
「……半分ずつなら」
ハスキーはラッキーストライクを半分吸って
「ん」とカカポへ渡す。
「速ぇ〜よ!ちょっと待って」
カカポレッドブル半分飲んで
ハスキーに「あいよ」と渡す。
カカポは
ラッキーストライクを咥えてニヤリと
「仲良しか?」
レッドブルを飲みながらハスキー
「違ぇ」
紫煙を吐き出してカカポ
「じゃあ戦友?」
ハスキーレッドブルを飲み切り。
「……遭難仲間」
カカポラッキーストライクを地面で揉み消して
「ハハッ!それでいいや!」




