正しさは増殖する
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正しさは、
間違いより扱いが難しい。
間違いは止められる。
だが、
正しいと思い込んだ者は――
止まらない。
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食料等の備蓄品の補給の為
とある町に到着する一向。
周りを一瞥する赤髪。
「……なんか普通の町って感じだな?」
銀髪
「……いや、妙な感じがする」
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ダンボールのまま陳列された食料品店。
ハスキーが「あ、コレ安い」と言うと
銀髪は商品を手に取り内容量と金額を見て
お得かそうでないか吟味する……
銀髪、ハスキーに親指を立てて
カートに入れる。
赤髪は「お、これ美味そうじゃん!」
「アッハ、なんだコレ?」と美味そうな見た目の物に聞いた事をない外国の商品をカゴに入れる
カカポは割引きシールを持つ店員を
ひたすらストーキングする。
客達はそんなバラバラの行動をとる銀髪達を
チラチラと見る。
客達は商品を手に取り
「これは添加物が入っているし……
ああ、旦那に相談してみないと」
「これって外国産でしょ?」
「でもその国は大丈夫って……」
「ん〜でも〜」
と客同士で相談し。
会計の列でも
「これは賞味期限が近いから2割引きっと」
「おい、勝手に決めるな!」
と店員同士で議論が始まる。
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荷車が道を塞いでいるが誰もどかさず
荷下ろしと通行について議論している。
子供の喧嘩も大人が仲裁せず議論している。
赤髪は嫌でも聞こえる水掛け論に
「面倒くせぇ〜町だな〜」と吐き捨てる。
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町の広場へ行くと銀髪がボソリと
「……あれが原因か」
「勝手に決めるのは良くない
皆んなで考えるべきだ」
と布教している集団を見付ける。
その中心人物を見やると赤髪が
「あれ?あいつ、この前の」
中心人物がこちらに気付いて近付いて来た。
ピシリと着ていたスーツは着崩し、
少し目がギラついてはいるが
ビートルのおじさんの所に来た
地上げ屋だった。
「あなた達と居たおじさん……
いや、先生のおかげで目が覚めました!
考える事の尊さを知りました」
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広場の簡易的な壇上に戻った
元地上げ屋は以前の
描かれていた営業スマイルを捨てていた。
熱を帯びた目で、住民たちを見渡す。
「俺は気付いたのだ!
今まで俺たちは、
誰かの描いた構図の中で生きていた!」
ざわめく群衆。
「上の命令に従い!空気に従い!
【そういうものだ】と考えるのをやめていた!」
拳を振り上げる。
「だが違う!否だ!
自分の線は、自分で引かなきゃならない!
誰かの判断に依存するな!
命令に従うな!常に疑え!
全員が考えろ!考え続けるんだ!」
住民たちが頷く。
「そうだ考えるべきなんだ!」
「誰か一人に決めさせるな!
従うな!委ねるな!考えることをやめるな!」
「確かにそうだ」
「今まで考え無さ過ぎたんだ」
「皆で決める町にしよう!」
群衆達が共感が熱を帯びていく。
赤髪、小声
「極端だけど……
言ってること、間違ってなくね?」
銀髪は困った様に熱狂の中心に居る
元地上げ屋の男を見詰める。
「【だから厄介】なんだ」
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その時だった。
「火事だーー!!」の大声に鐘の音
建物の一角から黒煙が上がっている。
演説後の熱気から一気に空気変化する
住民たち騒然とする。
だが――
誰も動かない。
「誰が鎮火の指揮を……?」
「いや、誰か一人が決めるのは……」
「まず話し合わないと」
「勝手な判断は危険だ」
元地上げ屋も止まる……動けないのだ。
全員が彼を見る。
「どうします!?」
元地上げ屋は汗を流す。
「お、俺が決めるのは違う
そう、皆で考えるべきだ!」
火災の中議論が始まる。
だが火災が待ってくれる筈もなく
黒煙は炎に変わり広がる。
子供の泣き声。
「まだ中にいるぞ!」
それでも議論が終わらず動けない。
それについに赤髪がキレる
「何やってんだテメェら!!
燃えてんだぞ!!」
「でも勝手に――」
「うるせぇ!!
今必要なのは正しさじゃねぇ!!」
銀髪が一歩前へ出て静かに言う。
「動け」
場がしーんとなる。
「お前は消火栓からホースを引っ張れ!
他にも消火栓の位置が分かる奴が居たら
何人かでホースを引っ張って放水開始!」
「お前は避難誘導!
いいか風上に避難だ!」
「スクーターのお前!
カカポと消防署に走れ!」
「ハスキーは伝令と状況報告!」
「レッド(赤髪)は……」
「はいはい〜突入(救出)でしょ!
そこのお前とお前とお前!付いて来い!」
「で、でも……」
赤髪が数人連れて走りだすと一人が走る。
更に一人また一人と
それにつられて全員動きだす。
ハスキーが銀髪の指示を各地に伝えつつ
全体の進捗状況を確認報告。
数組に分かれた消火栓組が放水を開始。
放水の援護を受けながら
数人で火災現場に救助の為突入!
遠くから消防車の音は近付く。
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火勢鎮圧。
元地上げ屋、何も出来ずに呆然と
「そんな……」と漏らす。
「でも……
誰かに従うのは危険で……」
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銀髪
「従うこと自体が悪じゃない
考えるべき時と、動くべき時を間違えるな
全部を疑う奴は何も守れない」
男、膝をつく。
「じゃあ……何を信じれば……」
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「だから言ったろ
答えを人に貰うなって」
あの時の
おじさんとブロンディが歩いて来る。
元地上げ屋はおじさんに縋る
「先生……!」
赤髪「先生!?」
おじさん、笑いながら
「惜しかったな構図は悪くない
描き方を間違えただけだ」
「……教えてください」
「教えるものじゃない
思想も絵も、人から貰うもんじゃない
描きたいなら自分で描け
キャンバスはでっかいんだ」
おじさんブロンディと立ち去る。
赤髪はおじさんの背中を見詰める
「なんなんだあいつ……」
銀髪は目を細め
「災害みたいなものだ
通った後に、形だけ残してく」
元地上げ屋、
燃え跡の前で立ち尽くす……
「でっかい……キャンバス……」
元地上げ屋は近くに落ちていた木炭で
地面に何かを描き始める……
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正しさは、間違いより難しい。
間違いは止められる。
描き直せれる。
だが、
正しさは――
人の中で、人達の中で
増え続ける。
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赤髪はニヤニヤと
「なあ、初めて呼んだよな?」
パオに乗り込もうとしていた銀髪が
「何が?」
「レッドって」
「……言ってない」とパオに乗り込み
エンジンをかけ走り出す。
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パオ車内
ハスキーが銀髪を上目でチラ、チラと見て。
「言ってたよ?」
「……知ってる」
「……そっか」
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走行中のZ2
カカポが雑嚢から
赤髪を気持ち悪そうに見上げ。
「……なに?
さっきからずっとニヤニヤして?」
「べっつにー!」




