曽お祖母様のお話は、長く長く、途方もない時間を掛けた物語でした。
時間を見ると、先ほどのリリィちゃんのお話を聞いたり、曽お祖母様からこの世界がゲームの世界だということを話してもらったりしていたら、それらを聞くだけで、1時間以上、過ぎていました。
「それは、、貴女の、‘本来’の、生い立ちにあるのよ。。。」
‘本来の生い立ち’
なんだか、普通に生きていては聞くことがないような、言葉ですね、、、
だからか、少し戸惑っている私に、困った顔をしながら曽お祖母様がこちらを見ていらっしゃいます、、
その目線に居心地が悪くなり、リリィちゃんと顔を見合わせてしまいます。。
すると。
「貴女の、お母様。クロエのことなの。あの子も、本来の世界では可哀想な子なの。それも、夫婦仲も冷えた世界で、愛を知らずに生きる子になる。だから、ディアナちゃん。貴女への愛情も上手く与えられない。それ故、貴女の愛着形成が上手くいかない。それが、貴女を苦しめる要因になる。愛を求めて、お兄様に構って欲しくて、母親に愛して欲しくて、努力を重ねて、冷たいけれど、規律を重んじる立派な令嬢に育つの。だから、特待生として、おっちょこちょいだけど、皆んなに愛されて、愛しているリリィさんが、気に食わなくてちょっかいをかけ出す。それが、周りの攻略対象には目について批判の対象になる。それが、どんどんエスカレートして、ヤンデレになった彼らに、貶められる。。そんな、展開。」
「ですが、そうはなっていません。お母様は愛情深い方ですし、お兄様なんて、私を溺愛してくれています。あ、お父様にも愛されていますよ??」
「そうね。。。元々の原因が、私なのよ。2人とも知ってのとおり、王族から降嫁した私だけど、ゲームでの私、その婚姻に拒否をしていたから、、辺境伯。確かに家格は上の方だけど、その場所って、王都から遠いでしょう?そんなところに、まだうら若き乙女が、嫁ぐのよ??嫌になって、パッとしない旦那様に心なんて、開かないでしょう?それで、子を成して役目を果たしたら、奔放に生き始める存在なの。それが、その子に受け継がれる。連綿と繋がれた生き方は、変わることができない。すると、ディアナちゃんの愛情表現へと、繋がっていく。。そんな、展開があったのよ。」
「そ、それは、、まあ、、、そんな裏話だと、そうですね。確かに子どもがちゃんと、成長が出来なさそうです。聞く限りだと典型的な、悪役令嬢になるのでしょうね、、」
「だけど、そうはならなかったんですね。それは、やはり、アイリス様が、貴女様だからなのでしょうか??」
「ええ、そうなのよ。よく、わかったわね。。私にとって、夫であるウィリアム・アッシュフィールドは、特に箸にも棒にもかからないくらいの、どうでもいいことだったから。あ、今は、誰よりも愛した夫よ?だけど、最初は、どちらかといえば、ディアナちゃん。貴女の未来を、優しく温かなものにしたかった。。」
「私の、ですか、、、?」
首を傾げ何故なのか、曽お祖母様に、目で訴えます。
「先ほどから言うように、ディアナちゃん。本編は、貴女が悪役令嬢になっちゃうのよ。。」
「本編は?……それならば、番外編などが存在するということでしょうか??」
おお。またまたリリィちゃん、的確なナイスツッコミですね!私、何のことかハテナが踊って、気付いてなかったですよ??
いや、私が鈍感過ぎるんでしょうかね、、、?
「ええ、そうよ。ディアナちゃん、貴女の過去を纏めたスピンオフ。ミニストーリーとして、ファンディスクが付録で付いていたのよ。それが、私のお気に入りで、ディアナちゃんを救いたいと思った、最大の理由。」
「え?救う?私をですか、、??」
「そう。ディアナちゃん。貴女が、ヒロインであるリリィさんにちょっかいをかけて、攻略対象であるジュリアン様やリアムくん、その他、恐らく貴女たちの今は関わりがない攻略対象者たちに、破滅に導かれる。そしてリリィさんが、彼らを攻略すると漏れなく、貴女が悪役令嬢として、邪魔をするの。だから、バッドエンドにならない限り、貴女は悲惨な終わり方をしてしまう。それを、止めたかった。ファンディスクには、その貴女が陥った、心の中を映した話が語られる。それが、とても私に勇気を与えたの。」
い、いや!!最後にいい感じに纏めてますが!!
曽お祖母様から、すごく聞き捨てならないセリフが聞こえていましたよ??!私、ゲームだとどんだけ悲惨なことになるんですか!!?曽お祖母様、私のことを終わり方って言っていましたよ?!それ、死んでいませんか??!
驚きのまま、曽お祖母様と、リリィちゃんを見て、目を白黒させていると、、、
「……そうですか。やはり、そのような話でしたか、、私、何となくある、薄らとした記憶の中で、その。。ディアナ様が高笑いをしている、強気の、何だか関わりにくいような、話し方をされているところが浮かんでくるんです。。そしてその後、私に何かをしていく、、それが何なのかあまり分かっていなかったんですが、この記憶だったんですね、、」
「そ、そんなに?私って、変わった方なのね。。私、自分がちゃんと自分なのか、わからなくなってきそう、、、」
「だけど、番外編。スピンオフだと、貴女の生い立ちが、深く掘り下げられるのよ。まるで、悲劇のヒロインのような、その生き様が。だけどそれは、貴女が貴女であるがままに、強く気高く、自身の信念のまま生きている。間違ったことだとしても、その理念に泥を啜っても前向きで、力強くて、生きることに勇気をくれた。前世のお仕事でどん底の淵に落ちていた私を、私として受け入れて、勇気づけてくれた。前を向くことに勇気をくれた。。。そんな貴女を応援したくて、私は貴女のファンになったの……貴女につくコアなファンは、結構いたのよ?だから、ゲーム発売後に貴女のグッズまでいくつか出たの。悪役なのに、すごいでしょ?」
パチリ、曽お祖母様がウィンクをしながら。
「…忘れられないセリフがあるの。『私は私のままに、私だけを、信じています!例えその判断が間違っていたとしても、その選択をした私だけは、私を守らなければならない!そうでなければ、誰一人も守れるはずがない!』…当時は、痺れたわ。仕事が嫌になって、自分も人も信じれずに心の折れた私へ喝を入れてくれたの。だから私は、ファンになったのよ。。。」
なんて、黄昏てますよ、、
うわー、、、なんかもう、私。。
曽お祖母様から聞く限り、美談で締め括られてますけど、要はヒロインのリリィちゃんを虐める典型的な悪役令嬢が、バッドエンド迎えてるだけですよね??単純に、悲惨な嫌なやつの、最後の捨て台詞なだけじゃないですかーーー、、、
そんな複雑な気持ちだったのだけど、、
「あの、アイリス様。それと歴史が変わった理由がどう、関係するのでしょうか、、、??」
オズオズとするようなリリィちゃん、私の代わりに、的確な質問をしています。うん、私も質問しようとは、思ってました、、、
「あら、ごめんなさい。脱線しすぎたかしら。。。それで、私は、そんな貴女に温かな家庭を与えたくて、奮闘したのよ。国力を鍛え上げ、貴女が傷つかない安定した王国の運営。我がアッシュフィールド家の在り方の見直し。そして、愛情たっぷりの子育て、、、その結果が、今に繋がっているの。」
「……。あの、もしかしてですが、数十年前からの学園の在り方の変更や王国全体の市民への初等教育など、全てアイリス様が関わっていませんか、、??」
んえ?!そういうことなんですか?!え、曽お祖母様、どれだけ凄い人なんです??!
「ええ。そうよ。私が、関わったのよ。ただ、本来は私が関わらなくとも、このゲームの物語の展開上、貴女たちの少し前から、行われる制度ではあったわ。だけどその分制度全体も未熟で、婚姻可能年齢との相性も良くなかったから、私の方で、ちょっとね。早めただけなの。。」
そう、曽お祖母様からの回答があります。
いや、いやいや!早めただけって!!早めるにしろ、始めるにしろ、どちらにしても全てがゼロからなのですから、どう考えても、その所業は、大変なことですよ!?それに、王妹で辺境伯夫人にしても、辺境伯領から改革って、どれだけ無双したんです!!?
とても目を丸くして驚く私たちに、曽お祖母様ったら、、、
「まぁ、元々私って、前世で公務員してたから、企画政策、得意だったのよ??」
なんて、胸を張って答えていらっしゃいました、、、
え??!それ、関係あります?!!
脱字修正に合わせ、表現の修正もしました。
修正ばかりすみません。




