ある従者の備忘録《誓》
我が主家のお嬢様は、物分かりが良くて、しっかりしてて、キラキラと万華鏡みたいに表情が変化する魅力的な女の子。
誰よりも愛らしい、その姿が周りを魅了してしまう。少しの仕草で、周りの注目を集めてしまうのだ。
兄であるリアム様の気持ちも汲んで、手のひらで転がしていたこともあった。
だけど、それは優しさからくる行動だった。
リアム様の寂しい気持ちを慰めるため、道化を演じるその姿は、とても1歳児の発想ではなかっただろう。
けれど、それは仕方のないことでもあった。
お嬢様は、祝福者。この世界に愛された方だったのだ。
だから、彼女のしたいこと、やりたいことは全てが許された。
家族も、王族も、彼女を特別大切にした。
それは、当たり前のことだった。
この子が微笑めば、コトは上手く動き出す。反対に悲しめば、その元凶は無かったことになる。
不思議ではないだろうか。
この事実に本人は全く気づいてなどいないのだ。
それどころか、周りですらその理由すらも、ハッキリと理解していないだろう。
それすら、全てが祝福者である、彼女の素質に因るところだというのに。
それは、彼女がこの世界に愛されている証拠でもある。
そう、言い切るほどに自分自身も、彼女の心に触れた瞬間からずっと、どうしようもないほどにあの子が悲しむ姿を見たくないと、自分のやれる最善を尽くそうと、不思議なほどに気持ちを入れて接してしまう。
優しくしよう、大切にしよう、守ってあげよう、心を、壊されてはならないから。大切に仕舞っておこう。
彼女の心を、柔らかな真綿で包むように、壊れモノを扱うように、その手の爪で傷つけないよう、嵌めた手袋でそっと、そっと、、、触れるように。
誰よりも何よりも大事にして、あの子の笑顔をリアム様たちと一緒に守ろうと、誓ってしまった。
なんて、哀れなことなのだろう。自分自身も守れぬ者に、守りたいと思われる、その存在は。
まして、それが恐れ多くも信頼を得る存在なのだ。
自分自身も、強くありたいと、願ってしまう。
許されるならば、その瞳に映る1人として、ずっと共に在りたいなど、烏滸がましくも、考えてしまった。
そんなことなど、許されないというのに。
昔のように、リアム様たちの4人で、騒がしくも温かなその時間を飽きるほどに繰り返し、繰り返し、、、
終わらない時間を過ごしたあの日に戻りたくて。そう、強く願ったとしても。。。
どうしようもないほどに、この世界は動き出して、止めることのできないその想いに蓋をして。
見ないフリを決め込んだ。
そんな自分に、これから先もずっと、その優しい微笑みを見ることができるのだろうか?
そう、自分自身に自問して、、、
彼らを忘れたくない、そう結論して。
ずっとその想いに耳を傾け、これからの時間を過ごす自分にどうしようもない嫌気が差して。。。
それでも、彼らを大切にしたいのだ。
自分自身の存在意義を確かめるため、守るため。
そう、拒絶の意思を向けられようとも、自分に立てたその誓いは、破ることは許されない。
自分への枷として、彼らを守る盾にして、未来を見据えて手に入れよう。彼らのその、優しき世界を、壊さぬように。
自分自身に言い聞かせて。
彼女自身が、欲しいものを手に入れようと動くことになるとして、、、
自分自身が彼女の世界にいられなくなろうとも、盾となり、全ての外敵から、守り抜こう。
それが、彼女への罪滅ぼしとなると信じて、、
それが、どうしようもない破滅に、自身を進ませるものだとしても。。




