もしや、この世界の貴族は、マトモな人が少数派ですか?
うーん。。。
なんでしょうね、この感じ。
トラブルって程にはトラブルじゃないですけど、トラブルと言えばトラブル、、、
むしろ、デジャヴに近い出来事。
そんな微妙な、いざこざ?みたいになっている、バタつきみたいな、、、この、状況。
「なん!で!!私がこの宿の最上級の客室に泊まれない?!私は、この国の子爵だぞ?!こんな辺鄙な土地で、私が泊まるために、こんな田舎の宿を取ってやろうというのに、なぜ私の客室が、最上級ではなのだ!!?」
「ですから、何度も申し上げましたとおり、本日最上級のスィートルームは、ご予約の団体様で埋まっております。一般の客室のみ利用可能ですので、そちらをご案内させていただきます。」
「だから!私はローデン子爵家だぞ!!」
「子爵家の方とされましても、こちらの宿では王国法に則り運営しております。また、その運営における個別の対応についても、法により保護されております。領主法、ましてローデン領における個別法は適用されませんので、お譲りすべき必要がございません。大変申し訳ございませんが、我が宿では対応を致しかねます。」
「そんな理屈はいらん!私はただ、最上級の客室に変更を希望しているだけだぞ?!」
……いや、本当。目的地であるアッシュフィールド家まで、今日で残り3日もないんですよ?
そんな馬車移動で、宿に到着するまでの間に、駄々を捏ねる貴族を2回は見ました。初日にみた貴族は、我を通して、お店の人を無理やり従わせていましたね。。。お店の人は凄くペコペコして、何だか可哀想になるほどでした。
そして今日出逢った貴族は、まるで特権階級であるのが当たり前のように、家名まで名乗って主張をしています。
……マリー様とのお出かけでも特権階級だと主張する方に出会いましたけど、こう言った手合いはどこにでもいるって、本当の話だったんですね、、、
「これ以上の問答となりますと、私どもといたしましても、王国巡察官へ駆け込みさせていただきます。」
「ぬぬぬぬ、、、、!!貴様!脅しまでかけるとは、私への愚弄が過ぎるぞ!!?」
私、何度か目撃しましたけど、貴族の我が儘はよくあることなのか、稀なのか、よくわかってないのですがどちらなんですかね??
だけど、不思議ですね。宿の運営はこの国の市民たちが公平公正に宿泊できるよう、王国法で守られているというのに、こんなに無理を通そうとするのは不思議と強気ですよね。
それどころか、今回に至っては、王国巡察官を呼ばなければならないほどとか、普通の宿屋で簡単に巡察官召喚するところ、初めてみます。
私が知らないだけで、本当はよく起きるんですかね??
といいますか、今までシルヴァン家の実家にいた時なんて、巡察官を呼び出すような、市民が困る事案って、目にしなかったはずです。
まして、巡察官です。
街中のトラブル解決に配置されている衛兵の方たちと異なり、貴族の不正やトラブルを調査する、王国直属の調査官ですよ。
ですので、与えられた権限も強烈です。
簡単に言えば、昔のお江戸でいう大目付役とか、その規模のお堅い役職の人たちなんです。
だから、彼らを呼ぶことなど、普通に生活していたら中々に起きません。
だって、言っても貴族ですよ?
領地を持つ、お殿様と同じです。基本的に自領のことは自領で行う貴族たち。そんな彼らの施策が必ずしも市民にとって良いとは限らない。そんな時、領民である市民との間のトラブルを代わりに解決するために、巡察官は配置され、市民が訴えられる第三者の機関として機能されています。
だから、ほとんどすることがないと、我がシルヴァン家の巡察官は、嘆いているくらい、私たちと市民の関係が悪くなければ、呼ばれることもない人たちです。
何も問題がないなら、市民が直接声をかけに行く方々ではありません。
なんなら我が領のトラブルなんて、衛兵の方たちが、解決するようなのが、関の山ですよ。
まぁ、衛兵の方たちだと、貴族を拘束する権限がないので、トラブル解決なら、巡察官を呼ぶしかないのも事実ですが。
だけど、国を揺るがす問題があったり、貴族に脱税疑惑があると噂されることなど、そういう事案で特別な権限を持って早急に対応するために各領地に配置されている調査官を、他領で、しかも宿の確保でトラブル起こして呼ばれるなんて、みっともない状況です。
本来、大きい諍い時にしかお目にかかれませんよ??そんな巡察官を軽々しく呼ぶなど起き得ることが、稀なはずなんですから。
まあ、でも各貴族領土に配置しているのは、王家の目として置く意味合いもあるようで、貴族が謀反などの企てをした時などに迅速に動ける方たちでもあります。むしろ、早めの対処ができて願ったり叶ったりですね。
なんて、ツラツラ考えてますが、こういった変わった貴族たちに遭遇したのは、王都に移り住んでからの気がしますね。。。
マリー様とのお出かけで遭遇したのが初めてですが、気づいてないところでこんなことはよくあるんですかね、、、??
「ああ、貴族さまですか。それなら、仕方ないですね、、、」
ポソリ、呟くようにリリィちゃんが溢します。それも、貴族なら仕方ないというように。
「ええ、そのようですね。ああいった者をみるのは、数回です。これが多いのか少ないのか、よくわかってはいないですけどね。」
「そうなのですか??それは、どちらかと言えば少ない方ですよ?それだけ、ディアナ様の訪れるところは、皆様が洗練されているのですね。」
少し驚きを隠せないというようにリリィちゃんから、言葉を濁されています。
「そうなのかしら?私はよくわかってないんですが、あの様な物言いをされる方、王都に来た頃から見るようになったと思っているのだけれど。。。」
「ディアナ様のご実家があるシルヴァン領は、比較的領地経営が安定していますので、治安がいいところです。恐らく、そう言ったところを治めるご領主様とその関係貴族の方は基本的に、理解のある方が多いので、市民への選民意識自体はお持ちになられません。どちらかと言えば、施しを是とされていますので、お譲りになりますね。」
「なるほど。だから私では、実家の頃から見ない光景なのですね。」
「ええ、恐らくですが、、、」
「お嬢様、見てはなりません。あの様な者、関わるだけ無駄です。」
ルルが、辛辣です。そして、彼らには聞こえない絶妙な声のトーンで伝えてきます。やはり、ルルは気の回る子です。
「そうね。私もそう思うわ。リリィちゃん、お部屋に行きましょうか。」
「あ、はい!!といいますか、私も同室でよかったんでしょうか、、?」
ボーッとしているリリィちゃんに声を掛けると、何と今更の遠慮をしています。
「ええ。当たり前です。私たち、目的地も同じですし、一緒にいる従者たちのことを思うと、同じ空間でいる方が効率がいいのです。それに、私もリリィちゃんと、もっとお話したいもの。」
そう、駄々をこねてみます。
「わ。ディアナ様。。。!ありがたきお言葉です!!」
おお、、何だかリリィちゃん、私を見つめる目が、ちょっと怖いですよ、、
見上げるお目々が、ウルウルしてます。
可愛らしいですね。
「おい!!どういうことだ!スィートルームに向かう者たちは、小娘ではないか!!私が泊まるべきだろう?!」
うわー、、またも、一歩引くような台詞を口にしてますね。あんな小悪党みたいな台詞、よく言えますね。しかも、本当に悪気がある訳じゃない物言いだから、余計にタチが悪いですね。どうしましょう、、?
なんて、黄昏そうになっていたんですが、ルルったら。
「お嬢様、お先にお部屋に参りましょう。私の方で対応するので、気にしてはなりません。」
「いいのかしら、、?私たちに叫んでるけれど、私が対応を行わなくて。。。他の方にも迷惑になりそうだし、、、」
「問題ありません。我々シルヴァン家の従者は、こういった際の対応は学んでいます。それに、ご承知のとおり、お嬢様は、当家のご令嬢です。あの様な小物にどうこう出来るものではございません。」
キッパリと、ルルが言うものだから。
それに、確かにお父様たちからも、爵位でモノを言ってくる方たちの対応はお父様か、付き添いの従者たちに一任するように、教えられていました。
きっと、私たちの旅にはこういう方がいて、こうなることまでがわかっていたから、敢えて私にはそう言い聞かせたんでしょうね。
いつも皆んなに守られて恐縮してしまいますが、私に何かできることがあるものではないですから、、
「ええ。ありがとう、ルル。本当に申し訳ないけれど、あの人たちの対応、お願いしていいかしら。」
「お任せください。そのための我々です。」
ペコリ、綺麗なお辞儀と共に私たちを送り出してくれたルル。そして、私たちを守るように部屋に案内する他の従者の面々。いつも皆さまに守られて感謝しかないですね。
「ディアナ様、、すみません。私なんかも守ってもらっちゃって、、、」
「そんなこと、ないわ。リリィちゃん。貴女は大事なお客様よ。私たちが守るのは当然よ。といっても、私も守られる側だけれど、、、」
苦い思いを持ちながら私もリリィちゃんにフォローを入れています。。。
ガチャリ。客室にルルが入ってきました。きっと、トラブルを解決してきたんでしょうね。
「申し訳ありません、お嬢様。対応が遅くなり、このような時間をかけてしまいました、、、」
「何を言うの、ルル。貴女はいつも通り、完璧に仕事をこなしているわ。それに、あんなに変わった人の対応は大変でしょう?お疲れ様。いつもありがとうね。」
「もったいなき、お言葉です。。。」
ペコリ、綺麗なお辞儀をゆっくりと、丁寧にしてくれました。むしろ、私が頭を下げるべきなんでしょうが、従者に下げてはいけないと、ルルから口を酸っぱくして言われているから、、、仕方ない。ここは我慢です。リリィちゃんへの、示しもつかなくなりますからね、、
「ディアナ様、私からもお礼をしたいのですが、よろしいでしょうか??」
上目遣いに、私へ先に承諾を得ようとするリリィちゃん、、、とても礼節がきちんとしていますね。従者のルルのことだから、主人の私に確認しています。
「ええ、私からもお願いしたいくらい。」
「ありがとうございます。ルル様、この度は、私も含めてお守りくださり、ありがとうございます。」
ガバっ!大きく頭を床スレスレまで下げて敬意を伝えています。リリィちゃん、やっぱり良い子です。
「いいえ、ディアナ様の従者として、当然の職務をしたまでです。」ふい、まるで拒否をするように首を背けて謙遜をするルル。どうしたんでしょう。
「どうしたの?ルル、せっかくリリィちゃんがお礼をしているんだから、受け取ったら??」
「………。もったいです、、」ふぅ、ため息を吐くような仕草と一緒に、渋々、うなづいています。。。
気づいてなかっただけかしら?ルルとリリィちゃん、何だか薄い壁があったようだわ、、、
「……さ、皆んな揃ったことだし、食事の準備をしていきましょう??」
突くことでもないので、そっとしておくことにします。まぁ、漂う空気に耐えきれなくなっただけですが、、、
「あ、そうだわ。さっきの方、どうしたの??」
「とりあえず、話が通じないおバカですので、そのように処理しました。まして、我らがシルヴァン家の息女に声を掛けてきたのです。厳正に、対処いたしました、、、」
おお、話題を変えたら、ルルの暗い微笑みを見ることになってしまいました、、、
「でも、本当、変わった貴族もいるものね。よく、あんな態度をとれるものだわ、、、」
ふてぶてしいにも程がありますよね。爵位でできることだって、限られるのに。。。
「むしろ、マリー様やディアナ様方の接し方のほうが、我々市民からみたら、貴族らしからぬ。いえ、本来の貴族としては正しいのでしょうが、変わった方かたちに映りそうです、、」
少し苦笑するように、リリィちゃんが、言っています。
「そうなの?本当、そんなに物ごとを捉えられない人たちが多いんですね、、、、」
「シルヴァン家といいますか、高位貴族に当たる方々は、律する心を幼少期から教育されますので、、、」
その差がここに出ていると、ルルがいいます。
「それでも、このような差になるなんて、、、」
「それが、今の全員への教育を進める施策に繋がっているのだと思います。昔はもっと、差がひどくて市民への態度に法は適用しないなど考えるお貴族様もいたようなので。。。」
教育で大分改善したのが、今のこの王国なんだとか。
先人の方たちの、苦労が目に浮かびますね、、、
誤字脱字、修正いたしました。
失礼しましたil|li orz il|li




