リリィちゃんも、実家でゆっくり出来たみたいです。
ふむ、ふむ。
身振り手振り、身体を大きく使って、この1ヶ月過ごしていた実家での出来事を、私に楽しそうに笑いながら教えてくれるリリィちゃん。
大きく動く姿が小動物みたいで、とっても愛らしいです。
フッ、とリリィちゃん。私がニヤけながら見ていることに気づいたようですね。
「ディアナ様?いかがされました??」
コテン、首を横に傾げながら、私の挙動不審にも冷静に聞いてくれます。相変わらず、優しい子です。
「いえ、私にもわかりやすく全身を動かしながら教えてくださるのが微笑ましくて、、それに。以前から分かっていましたが、リリィちゃんがご家族を大切にされている様に、リリィちゃんのお母様方も、大切にされているのが伝わりまして……。リリィちゃんお1人でお家を離れ、王都の学園での生活などしているなんて、気が気でなく心配もされるでしょうに、、、長期休暇での一時帰宅を、静かに温かくお迎えされている様子がお話から伝わってきて。。リリィちゃんを信頼しているから、こうも落ち着いてお迎えしてらっしゃるのね。本当に、優しいご家庭ですね。」
うん、言い訳が長くなりましたが、全く間違いではないですからね。
「そう、でしょうか?」
何だか疑問を呈すリリィちゃん。だけど。
「……いえ、そうですね。お母さん、あ。母は、帰ってきて早々、私にたくさん時間を使って、色々学園での様子を質問してくれて、、、話す私も、ディアナ様とのこととか、マリー様のこととか、他の特待生たちのことも話せて、学園でのことを思い出せて、とても楽しい気持ちになりました。それに。母も、ここ数ヶ月の間に故郷であったこととか、順を追って私に聞かせてくれて、、、一緒にいない時間がなかったかのように、いっぱい話して楽しく過ごせました。。。」
ニッコリ、お母様と話した時間を思い出して、淡くにこやかになるリリィちゃんです。
やはりこの子は、クルクル表情が変わる。思っていることを、素直に表現する。両親に愛されている証拠なのでしょう。
だから、この子も穏やかに優しい気持ちを持っているのだ。私のような半端な覚悟の者にも優しくできる。きっと人間を、無垢な心で信用している。人を、疑わないのだ。
…いや、そうではない。この子は人を疑うことに慎重なだけ。そんな強かさを持ち合わせているのだ。だから、その表情に嘘もつけない。
どんなことでも、気持ちを素直に表わせる心があるのだろう。疑うことを知らないような、無垢な表情で感情を素直に表す、それが簡単にできる。問題がないのだ。
きっと、その表情を隠す必要がないほど、大切に愛されていたんでしょう。
「私も、リリィちゃんから聞くお話に、まるでその場に一緒にいるみたいに聞いておりましたわ。きっと、お母様も、同じ様な気持ちだったのでしょうね。だから、リリィちゃんにも楽しい思い出を持って帰ってほしくて、今日までのことをお話ししてくれたのでしょうね。…優しいお母様ですわ。」
「…はい!私にとって自慢の母です!!」
「いつか、私も会ってみたいです。」
「そんな!恐れ多いですよ!!ディアナ様が本当に母に会ってくれるとしても、きっとお母さんがびっくりしちゃって腰が抜けちゃいます!お気遣いだけで十分ですよ!!」
ブンブンと、大きく横に手を振るリリィちゃんが、アタフタとした様子をしているものだから、なんだか私に会わせたくないみたいで、ちょっぴり居た堪れない気持ちになっちゃいましたよ。
「あ、きっと母もディアナ様にお会いしたいと思いますよ!話している時にディアナ様の話題が出る度に驚きながらもとっても楽しそうに聞いてましたから!!」
しまった、そんな風な表情を見せた後、自分の言葉にフォローをするリリィちゃん。
本当、優しいですね。私を傷つけたと思ったんでしょう。分かりやすいフォローをしてくれます。だけど。
「ふふ。どうしましょう。リリィちゃんのお母様に会いたかったのに、否定されてしまったわ。私、悲しくなってしまったわ。」
少し、いえかなり分かりやすく意地悪に言ってみます。
「うぅ。。。す、すみません。。ディアナ様を悲しませる気持ちはなかったんです、、ただ、本当に庶民の母には、ちょっぴり驚きを与えてしまうかなって、、そんなアタフタしたところ、ディアナ様にもお見せできませんよ、、?」
すこし、上目遣いになりながら、申し訳ないという表情を私にしながら、可愛らしいフォローをしています。やはり、この子は似ている。そう、思ってしまう。思っては、いけないのでしょうが、この夏に色々あった私は、リリィちゃんにあの子を重ねてしまう。
してはいけないと、分かっていても、そうしてしまうのだ。
「ご歓談中失礼致します。」
ルルが、突然話しかけてきた。主人が話をしている時は、声を掛けるようなことのない、優秀な従者であるルルが、どんな用件があるんでしょう?
「お嬢様方、そろそろ本日の宿泊先に到着いたします。様々にご歓談されたいことはあるかと存じますが、今はご準備に、ご協力ください。」
ぺこり、上品なお辞儀をしながら私たちをまとめてくれたルル。
うん、そうですか。そろそろ、到着だったんですね。それは、びっくりです。
今日はまだまだ始まったばかりだと思ってたんですが、思ったより体感が早く感じられましたね。
リリィちゃんと、顔を見合わせてしまいましたよ。。
「ディアナ様。とても、時間が経つのが早く感じられれましたね、、」
「ええ。本当ですね。私も、こんなに早く着くとは思ってませんでしたわ。あら?だけど。」
「はい。到着予定時刻のとおりです。ですので、時間短縮などは致しておりません。」
ルル、欲しい応えを直ぐにくれました。本当に、優秀な従者です。。
だけどこれは、リリィちゃんとこのペースで話していたら、1週間もあっという間に経ってしまいそうですね、、、




