この安らぎの時間をずっと続けたいと願ってもいいですか②
ああ、、もう、、、、
これで私は、全てを否定されてしまうのか。
そこに在ることを、否とされてしまうのでしょうか。それは、どうしようもないくらいに、苦しくて、悲しいのでしょう。
だけど、やっと胸のつかえが取れたかのように、ホッとする自分がいます。
きっと私は、私の想いを誰かに聞いてほしかった。言いたかったんでしょうね。言ったところでどうにもならないし、言ってしまえば全ての関係が壊れてしまう。だから、これを言葉にすることは、ずっとないのでしょう。
そう、思って何かが変わると、慰めが欲しいと、縋る私が吐き出した想いだった。
「そうか。そうだったんだね。それは、気にもしなかった。ごめんね、ディー。君のことに気づいてあげられなくて。君の空虚を、埋められなくて。僕たちは、君に勝手に同じ気持ちを期待していた。だから、勝手に決めて話していたんだね。。。僕が出来る全ては、もうないのかな、、、?」
「どうしてお兄様が謝るのですか。どうして、お兄様が何とかしようとするんです?勝手に想って、勝手に諦めて、勝手に取り繕って、全てを手放したのは私なんです。それを言葉にしなかったのだって、私だから。お兄様は、私に謝る必要なんて、まして手を差し伸べる必要なんて、ないんです。」
お兄様が、こんな私に優しくする。それが却って、居た堪れない思いになる。
「それは、君の心に寄り添えなかった僕の悔しさだよ。だから、君の気持ちに考えも及ぶことなく、自己満足に謝ってしまった。。。君にとって、不要なものなのに。それに手を差し伸べたいのは、僕の君への愛しさからだ。だから、そんなに苦しそうな顔をしないで。君には笑っていて欲しいんだ。。。ディー。僕の大事な、1人の妹。」
ああ、本当に、お兄様は私の一番の味方です。それが分かるから、甘えてしまうんです、、
「…………。私には、考えも及ばないことでしたわ。私にとって、大切なことは、貴族として生きること。【貴族の義務】を全うすること。だから、リアム様と共にいられることに喜びを感じるくらい、気持ちを止めないことが、どれほど幸せか、今は理解しています。貴女の苦しみは、その想いに蓋をし続けることがどれほど苦しいものか、想像がつきません。きっと、業火に焼かれるほどの苦痛が伴うんでしょうね、、、」
キャシー様から、戸惑う気持ちと、その優しい気持ちが感じられる。
それは、どうしようもない程に、安堵をもたらす。
これほどまでに、お兄様とキャシー様、2人からの想いが私に温かだったんだと、思い知らされる。すると。
「……。僕は悔しい。君の大切な存在になれなかった。僕は。。僕なら。君にこんなに苦しい想いを、抱かせなかった。そんなほどに僕を驕らせるんだ。それがもっと悔しくなる。だけどきっと、僕のちっぽけな気持ちなんて、君がその子を想う気持ちになんて比べられないんだろう。生まれる前から想っている気持ちに叶うなんて、思わないさ。だけど、それを思うくらいに、僕は君を分かっていなかったことが、もっと口惜しい。だって、僕の気持ちは、君に向ける愛しさは、本当だったんだ、、」
打算ではない、王族と貴族の義務ではないと、単純な愛しさだったと、ジュリアン様が私に想いを込めてくれる。だけど、その気持ちに応えるほどに私は、恋をしていない。
この愛しさは、恐らく親愛だから。身内に向ける気持ちと、変わらない。だから。
「ありがとうございます、、、それほどまで、私を想ってくれる。それが、どれほど尊いか、私は知っています。だから、この後ろめたさと苦しさは、私が感じていいものではないんでしょう。だけど、貴方の優しさが、私に温かさをくれたのは、忘れたくない…」
寂しい気持ちを、空虚な思いをしてしまう。
まるで、あの頃私が言えなかったことを、自然と言える彼が羨ましいのです。
私は、どうしようもない臆病者だったのだ。彼にも誠実に接することもなく、のらりくらり。
今になって、彼の優しさが心地良かった。それをズルズルと共に過ごすために見てみぬフリをして、全てを後回しにした。それが、特大のツケとなって今、却っているのだ。
昔から、変わらない私のズルい性格。だから、あの子にも言えなかった。言わなかった、、
最後は自分で全てを壊した。相手の言葉を受け取りたくなくて、聞きたくなくて、拒絶した。
自分から、あの子との安らぎを、壊したのだ。
そう、ズルズルと、答えを先延ばしにして。
答えを遅らせ、後にして。安らぎを少しでも長く繋ぎ止めたくて。卑怯な仕打ちをしでかした。。。
ああ、本当、この世界に生まれてから。
眩しい家族と、優しい友人に囲まれて、ズルい自分を隠すように、見てみぬフリを貫いた。
それが今、全てが返ってくると身構えたのに、彼らは私を、こんなズルい私を受け入れるのだ。
全てをそのまま、私の意義だと、意味だと、受け入れる。彼らの強さに、私は救われているのだ。
それがまた、私を惨めにみせてしまう。
卑屈な私は、彼らへの劣等感をもってしまう。。。
だけど、、。こんどは。。。
「…皆様が、温かで優しいことが、私を酷い存在だと知らしめるんです。勝手に一人で完結して、皆様に嫌われるのだと、恐れて。。だからこの場にもいられず、居た堪れない想いになってしまう。卑怯でズルいのです。。そう思っても、私にとって皆様といる時間は、掛け替えのない宝もので、ずっとずっと、大切な変わらないものなのです。それが余計、皆様からもらった安らぎの時間を私は忘れたくないし、手放したくない、、、そう想って、、我が儘と言われても、皆様といたいんです。。私のこんなズルい想いを、願ってもいいですか、、?」
「許すなんて、そんなこと言わないでおくれ。さっきも言ったよ。君は大切な妹だ。僕は、どんな君でも大切だから、受け入れるし、君の助けになりたいんだ。だから、忘れないで。僕たちの想いが本当だということ、、」
「そうです。ディアナ様を大切に想う方は、一人だけではありません。沢山いるのです。だから、いつでも、頼ってください。。」
「僕らの想いを、信じてくれ、、」
彼らが、悲しそうに、それでいて悔しそうに私に諭すものだから、私は彼らに安堵してしまう。。
これからをどうなるかなんて、わからなくとも、、
これから私が進む道に、影が指したとしても、きっと彼らが助けになってくれるのだ。
それだけで、安心して次に進める。私の知りたいことを、きっと曽お祖母様が知っている。それを知った私にもたらすその未来は、きっとどれだけ苦しくとも、彼らがいれば、きっと大丈夫。
そう、安らぎに安堵して、私は、前に進むことにした。




