表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
72/74

心配性の家族はどっしりと温かです。

祖父たちをお父様が追い返した後、私はまた穏やかな時間をこの家で過ごせています。

祖父たちが納得をしたとお父様たちが言わないので、恐らく渋々、別邸まで帰って行ったのでしょう。


進み出した道標の先は、ここに引き返すことが出来ないから。

ジュリアン様が、マリー様が進む未来(さき)が、その標にあるというのなら、それを取り戻すことはもう、私では叶いません。

そうしたのは、私の我が儘ですが、祖父も取り戻せないとわかっているから、引き返すしかなかったんだと思います。だけど私を駒と見ている祖父たちにとってそれは、一つの悪手だっただけ。いつかの時に、私の価値が高まるその時に、指せる一手を座して待つのかも、しれません。

それはとても、恐ろしいことだと思いますが、その在り方が当然の人たちにとっては、利益や効率性を求める感情自体、当たり前のことだから。

効率的ではなく理論的でもない、穏やかな自分たちの日々を欲する者の感情は、理解してもらえないでしょう。だから、何を拒絶されているのかも理解してもらえないんでしょうね。

だからこそ、待ち続けることも、一つの利だと分かるのなら、いつまでも虎視眈々と狙うのです。。。



祖父は、祖母と政略結婚であり、祖母もそれを承諾していました。だから2人の間に愛はないみたいです。

それは、シルヴァン家の昔からの気質で、効率的に国益と領土の繁栄を導き出すことが命題であると考えている家系だからのようです。

それゆえ、祖父母にとってお互いはビジネスパートナーとしての信頼だけ。恋すら必要としていない関係。恋は非公式に、誰にも知られることなく、それは、重要な秘匿事項。醜聞は必ず消して。。。そう、2人はずっとずっと、生きていたようです。

2人とも、最も大切なのは目の前の利益の最大効率化だけなんです。

だから、お父様もその2人に育てられていた幼い頃は、感情を隠すことが得意な幼子でもあったそうです。その能力が高いから、この家の跡取りとして、認めていたみたのだとか。そんなお父様の感情の在り方を変えたのは、婚約者となった頃のお母様です。

といいますか、アイリス曽お祖母様に育てられた、お母様に惹かれたのだそうです。



これは、以前に曽お祖母様との邂逅を行うに至った経緯を、お母様がお話してくれた時のこと。我が家の事情を教えてくれました。


元々お母様って大輪の花というより、小さく可憐な花みたいな人なんです。

それは、曽お祖母様が大切に大切に、その優しさを壊されないよう真綿に包んで守ってきたから。だから、お父様は、その温かさに、可憐さに惹かれた。

祖父母にとっても好都合なことでもありました。アッシュフィールド家は王族と繋がっているし、シルヴァン家は王族派である革新派です。この婚約は祖父母にとっても効率的で利益のあるものでした。

けれどお父様とお母様は、2人して惹かれ合っていたから、とても幸せな婚姻ができたのです。

だけどこの家に嫁いで、お兄様が生まれた時、跡取りの教育に祖父母からのプレッシャーを強くかけられたことが、お母様を張り詰めさせていたのです。

その不安は、子育てにも大きく影響するようになります。お兄様を立派な跡取りにするため効率的に育てることを命題にして、乳母と従者を育ての親に充てがうことを考えつきます。それは、間違っているわけじゃない。

それでも、その方法はご存知のとおり、とても諸刃の剣です。私が生まれたことで十分な愛情を知らないお兄様は、注目を集めようと暴れ出します。

それが、あの頃のシルヴァン家です。それでも、本来のお母様は温かな性格をしている人でした。

だから突然思い至ったかのように、本来の時間を取り戻すように、お父様と動き出した。

だからこれまでの時間が嘘のように、2人とお兄様と、とても親密に仲良く過ごすことが出来るようになっていきました。

それは気持ちの在り方を、アイリス曽お祖母様を、思い出したお母様の本来の温かさでした。

そして、私のこの祝福者としての在り方から守るため、お母様たちは動いてくれました。祖父母からの魔の手が近づかないように、(おびや)かされないように、曽お祖母様に助けを求めた。求めた助けは、大きく頼りになる存在で、直ぐに全てを治めてくれた。

何も起きなかったような、その大きな強さを盾にして。私たち家族を守ってくれました。

その中の一つが、この指輪をつけたネックレスだったのです。

不思議なのが最初からネックレスではなく、指輪の穴に通していることなんですが、まぁ、些末なことでしょうね。


ああ、、、けれど、本当に。だけれども。

私に甘い人たちが、この家には多く、守ってくれているから、この世界がそれだけではないと、忘れてしまうこともあります。

それを再認識できたのは、祖父たちが押し掛けてきたおかげ。なんて、皮肉を込めてみますが、実際に一度は理解もしていたこと。

リリィちゃんやマリー様から教えてもらって、街に繰り出したことで知っていたこと。認識したことです。

守られているその世界の向こうには、どうしようもない程人々の精一杯の営みがあるのだということ。


それでも、自分の中でちゃんと自分事と思えていないのは、知識のみで実体験を伴わないからなのでしょうね。ぬくぬくとしたここでは、実感を持てずに直ぐ忘れてしまいます。

リリィちゃんとお話したあの時、自分で見て聞いて、この世界も甘くないと知ったけど、他人事だからと忘れてしまうのは、薄情なようで後ろめたいです。

この世界への恩返しにも、私が出来ることをちょっとずつだって、していきたいなって思っていても、実感がないから、具体的に思いつきができない。

だって、私の世界はここで完結してしまっているのです。自分の困っていないことを、実感を持って深く考えらないのです。

私が貰ったものは、多分他の人よりもとても多くて重たいモノ。そして、温かい。だから、上手く返すことが出来ないことが、心苦しい。。

そう思ってしまうほど、強くどっしりとした愛が、私の周りに溢れていて。祖父母のことは些末ごとと、思えるのです。本来であれば、もう少しネガティブな気持ちが溢れてしまうのでしょうが、この家族が家族であるならば、大した心配にもなりません。

だから、今のこの時、幸せを感じられるのです。


「お兄様、いつも気に掛けてくださってありがとうございます。すごく、幸せですわ。」

「急にどうしたんだい?やっぱり、この間のことが、響いてるのかな??心配事があるなら、いつでも僕に言うんだよ?僕だと言いづらいなら、ルルにだって、父上、母上、誰でも良いから言いやすい人に言うんだ。いいかい??」

「もう、確かにこないだの事を思い出してましたけど、ちょっとお礼を言っただけですわ?お兄様たちがいるから、特に心配事もないのよ?ただ、ちゃんとお礼を言っていなかったわ、と思い至っただけです。」

ゆったりと居間にいる私たち。だから、ふと思い出すかのように、深く瞑想してしまった。それだけだというのに、お兄様ったら、心配性なんですから。。。

ちょっとプリプリしながら、お兄様へ訴えちゃいますよ?

「困った事があれば、都度お兄様たちに助けてもらってますし、ルルだって、守ってくれているのだから、(わたくし)、相談事もないですわよ?」

ちゃんと、訂正しておかなくてはですね。

「そうかい??それなら、いいんだ。だけど、本当に、困った時は、助けを求めるんだよ??」

しっかりと釘を刺されます。でも、お兄様だって同じなのだから。

「ええ、わかりましたわ。(わたくし)、皆様に気に掛けてもらえて幸せですわ?だから、お兄様だって、何かあれば(わたくし)を頼ってくださいましね。」そうお願いしました。

こんな風に午前中の時間を過ごし夕方には、お父様たちと食堂で夕飯をとって、、、

「今日は何をして過ごしてたんだい?」なんて、お父様から聞かれて、特にイベントも何もないから、その日していたことをサラリと言って。「特に何をするでもないですが、ご本を読みながら過ごしていたわ。それと、出された課題を進めていたの。予定どおり、休暇前半で全て終わらせられそうですわ。」

そんな家族の会話を楽しんで。「ディアナは、計画通りに動けてえらいな。」なんて、お兄様に褒められながら、ちょっと子ども扱いに不承不承になりながら。

「もう、お兄様ったら、子ども扱いしないでほしいわ?」と言ってみたり。

「ふふ。ディアナは可愛らしいもの。リアムも大切にしたくなるのよ?」なんて、お母様に言われたり、家族での団らんを過ごして癒されていました。

ああ、本当に、私の周りの愛はとても温かで大きな存在なのだと実感をしてしまいます。。。


そんな事を考えながら数日過ぎた頃、キャシー様とジュリアン様が私たちを訪ねてきてくれました。今回は、何日か泊まってもいくみたいで、楽しいパジャマパーティーを、計画しますよ。

皆さんとの時間が、楽しみですね。

タイトル変えました。すみません、2回目です。。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ