私の家族は、とても大きな存在です。
「だと、しても、です。」
私が私の有り様に複雑な感情を持ち出した時。お父様が、声を大きく出してくださいました。
「私は、私の娘の幸せを願います。それは、民の幸せを願うことと同じこと。そうであるなら、娘の幸せを叶えずして、民の幸せを叶えられる道理はありません。これは私の矜持であり、私の施策です。進むべき先が荒野でないなら、それは、誰もが叶えられる施策であり、同じ人としてみるための、私の政治で、これから革新派の行うべき、未来です。その未来に誰かの犠牲など、あってはなりません。。」
「お父様。。。」
お父様は、立ち向かっていてくれました。
もしも仮に、私の行うことが、間違っていれば叱ってくれていたのでしょう。だけどそれが、道を踏み外すこともなく、願うことすら困難であるだけならば、叶えることを是としてくれているのです。
それは、親として、家族として寛容であり、政治家として度量があり、全ての人を人として認め与えるための、政治なのではないでしょうか、、、
我が領土が、現在も他領以上に豊かで街が明るいのは、お父様たちの政治が導いた結果といっても、過言ではないのでしょうか??
「そんなものを、革新派とは呼べん!我らは国益を正しく導くこと、、、!!我らの領土の発展が、更なる国益に繋がるのだぞ?!保守派の貴族連中のように、自領のみを大きくするのではない。王族派として、私腹を肥やす貴族的思考を排除することを、命題にしているのだぞ?!国益を最優先にするのであって、決して、それは、民を優先することではない!そんな甘い考えを持つからディアナを上手く扱えんのだろう!?」
言ってることは、国を想っての発言に聞こえますが、結果的に保守派の政策を締め出したいのでしょうか?それでも、私を道具として換算しているところを知ると、人を人として見ているとは思えず、どうしても保守派の人たちと違うところがわかりません。
むしろ。あぁ、本当にお父様、お母様、お兄様は、優しくて、温かい人たちで、私にとっての大切な人たちだと再認識ができてしまう。。。
人が怖くて直ぐに身を隠し、表に出ない弱い私だって、烏滸がましくも守りたいと、思います。
その弱い力が押し返されたとしても、堪え忍びたいと、思うのです。
だって彼等は、それ以上に、そのままの私を受け入れてくれている。今のままの私を、愛してくれている。無償の愛が、何よりも嬉しくて、幸福にしてくれる。。。
「ディー、大丈夫?もう、部屋へ戻ろうか、、、?」
側に付いてくれていた、お兄様が私を気にかけてくれています。お兄様とお父様、目配せをしたかと思ったら。
「ああ。さぁ、ディアナ、リアム。2人は部屋に戻っていなさい。後は私がお祖父様とお話をしておくから、心配しないで。」優しく、気遣うように笑いかけてくれるお父様。そして、私の手を引いてくださるお兄様です。すぐそばに居たルルたちも、私に寄り添いお部屋まで付き添ってくれます。。
「待て!お前たち!!まだ話は終わっておらんぞ?!」祖父が、こちらに目くじらを立てていますが、もう私たちは振り返りません。さっと部屋に、戻ります。
「ディー、気分はどうだい??悪くないかい?辛いようなら、もう寝てしまおうか??」
とても心配した顔をして私を見てくれるお兄様。だけど、少し、寝るには早い時間だから。それに、皆んなとまだ、晩ご飯を摂っていない。楽しかった、今日のことも、振り返っていない。それは、寂しいです。
「いえ、大丈夫ですわ。お兄様たちが、庇ってくれていたから、私、そんなに気にしてませんわ?」先ほどよりも、随分ケロッと応えます。
だって、皆んなから守られていると、分かるから。
祖父の思いなどに気にしてなんて、あげないのです。私は私であることに、価値を見出しているのですから。。。他の誰でもない、その力を必要とせずとも、生きていいのだと、教えてもらっていますから、、、
この世界でディアナとして生まれた私は、転生者です。過去に囚われた記憶を持つ者なのです。
だというのに。。。私は、生まれながらに純粋な『彼ら』の子ではないのです。
私自身が、負い目にすら感じていることであっても、そんなことは些末なことと、無関係だと、囁いてくれているのです。
温かい『家族』なんです。だから、私も彼らに同じ分の、それ以上の愛を返したいと、私からの愛を伝えたいと思っています。
きっと過去の私ならそんなこと、言葉にしても意味がないと、どうにも出来ないと、むしろ恥ずかしいと、逃げて考えるのでしょう。
それでも。直ぐに逃げるような私でも。
私が弱い存在だとしても、その想いを上手く伝えられなくても、私が私のままであっていいのだと、そう、言ってくれる人たちがいるから。
愛しい皆んなから与えられた、温かな想いを同じ様に、届けていきたいのです。
あぁ、でも。それ以上に、彼らは私を甘やかしてくれている。弱くて強がる私の想いごと包んでくれている。強くなることは認めてくれても、強がることは是としていない、蕩ける甘さを、ずっと私に与えてくれている。どこまでも、受け入れてくれている。
そう、だから。。。
お父様のつくるその未来は、私の愚かな判断一つで台無しになるような、脆い未来ではありません。そう、お父様は私に、教えてくれました、、、
祖父のいう、国益を損なうような、そんなものとはならないと、私が、進みたい未来に、この地に住む人々が、叶えたいことを叶えられる、そんな施策を進めるのだと、教えてくれたのです。
それゆえ、私が信じるのはお父様たち家族の見つめる未来のみです。祖父などという血縁だけで縛ろうとする存在を信じるに足るものは、ありません。ええ、これからもずっと信じませんが、恐れることもないのですね。
「そうかい??それなら、良いんだが……。そうだ、ディー。君にプレゼントがあるんだよ?」
「え?私に??何かしら?」
まるで気分を変えるように、パッと明るく振る舞うお兄様が、ジョシュアに目配せをすると、アクセサリーケースが一つ出てきました。これは、、、?
「お兄様、こちらは??」
「これは今日の買い物でディーに似合いそうだったブレスレットだよ?折角だから、買っておいたんだ。」
パカリ。ジョシュアが開けてくれたケースの中から、今日のお買い物をした雑貨屋のブレスレットが出てきました。これは、私に合うと、店員さんも言っていたあの時のブレスレット。殺傷能力も高い、あのブレスレットですね。。
「お兄様、良いの?これ、結構良いものだわ?私、貰っても良いのかしら??」
「いいに決まっているだろう?これはディーによく似合うと、あの店員も言っていたものだよ??君のために準備されたといっても過言でもないよ。それくらい、よく似合うと思うから、君に贈りたかったんだ。」
「嬉しいわ、お兄様。あのブレスレット、実はちょっといいなって、思っていたの!でも、値段も良いから、やめておいたのよね、、、」
おぉ。嬉しいです。お兄様からの、贈り物。しかも、良いなって思っていたやつですよ?なんてスマートでイケメンなお兄様なんでしょう?こんなにカッコいいと、私の婚約者探しも難航しそうですね。。。なんて、軽口を思います。
「ディー。君はこのシルヴァン家の令嬢だよ?値段など気にしなくていい。僕らが買うことで回る経済だってあるんだから。欲しいと思ったものは、買っていいんだよ?それでも気になるなら、僕に言ってごらん?僕が、揃えてきてあげよう。」
「まぁ、お兄様ったら。えぇ、そうね。買うことで貢献できることもあるものね。次からは、考慮してみますわ?」
どうしても、過去の記憶がチラつき高いものを買おうとしない私ですが、このようにお兄様たちに嗜められながら、いいと思ったものは、揃えてしまっています。皆んな私のことをよく見ているので、買ってくれるんですよ。まるで、貢がれてるみたいでソワソワしますが、ご意見がごもっとも過ぎて、ぐうの音も出ません。
それに、特にお兄様は中等部に入ってから、個人事業を始めたので、その分を使って流行りのお菓子など、私に贈り物をよくしてくれます。だから余計に良いのかなって思うんですけど、個人的な資産だから、問題ないって。
いえ、むしろそれが申し訳ないんですがって言っても、余計に。個人的だから、贈りたい物を贈りたい人に贈っているって、押し切られちゃうんですよね。私が買おうとしないのが悪いんですが、ここまで甘やかされると、公爵令嬢として、もっと我が儘、欲しい物を欲しいと言った方がいいですよね。。
その方が、市場的にも必要なんだなって、思うんですけどね、、、
この性格は、まだまだちょっと、治りませんね、、、
ネックレスからブレスレット、一箇所間違いを訂正しました。




