私の意味は、こうも周りに影響が出るものなのですか?
「なぜ、私にそのような義務があるのでしょうか…?」
あぁ、これが、以前にお父様たちが教えてくれた‘誉れ’だとする考え方なんでしょう。私は、真綿に包むように、今のシルヴァン家で育てられたので気づいていませんでした。
本当に、このような言葉が近しい者から出てくるなど思ってもいなかったんです。アッシュフィールド家のセリーヌお祖母様も、セドリックお祖父様も、ましてアイリス曽お祖母様だって、私を孫として甘やかしてくれて、‘家族’として見てくれていました。
けれど、今目の前にいる方は家族としてではなく‘他人’として見ているのでしょう。想い一つでこちらも赤の他人としか思えないとは、不思議なものですね。
お兄様たちに向ける気持ちになどは、なれません。それに、私に前世の記憶があることは最小限にしか口外していません。首に掛かる指輪をチェーンから外すことも自宅以外ではしていない状況で、この方たちはどこで知ることになったんでしょう?こうなることが予測できるのなら、お父様たちは伝えていないはずですし、知らなかったから今まで来なかったのではないでしょうか??いえ、むしろ何故、今なのでしょうか?
「何故だと??それこそなぜだ?お前が祝福者であるなら、当然に負うべき義務だろう??それに疑問などありはしない。祝福者は、我らシルヴァン家とウェスト王国の更なる発展を遂げるため仕える義務がある。昔からの慣わしではないか。」祖父にあたるこの方が、心底不思議そうな顔をして頭を傾けています。どうしてでしょう?同じ人ですのに、何を言っているのかわかりませんね。なんて、グルグル考えていたら、お父様が。
「父上。貴方がどうしてこちらに見えたか今だに説明がありません。ですが、私の大切な娘ディアナを傷つけるために来たのなら、どうぞお引き取りください。もし、仮に私たちと久方ぶりに会いたかったというなら、今の発言は一度は飲み込みましょう。。。」なんて水に流せるかを推し量っています、、、すると。
「そんなはずがないだろう。お前のバカな施策を止めるために来たに他ならない。何故、ディアナを上手く使わない?これは政策の話だぞ。我が領とこの国のこれからを変革させるのに必要な力だ。第二王子と婚約破棄などと何を馬鹿げたことをしているのだ。それに、領土の発展のために使用もしていない。これでは、ディアナの力は無いも同じではないか。今も力を使わせず領土に変革もなく、その力は何のために持っているというんだ??その力は使うために持つものではないか!」本当にお父様の考えに、何も分かっていないような言い草をしています。今までは隠せていたからこちらに来ていなかったのか。それならどこでバレてしまったのでしょう??
「……。父上。ディアナが生まれた時も、同じことを仰りましたね。。。ですから、私たちにこの子を道具とする気はないとお伝えしたはずです。それに今さら何故掘り起こすのですか?あの時、アイリス様を介し説明を受けたはずでは??」
「そ、それは。。。だが、アイリス様ももうご高齢だ。これからの我が国と領土の在り方は我らで決めていくものではないか!」
「我らで決めていく…そういう話でしたら、今は私が当主であり、国を動かすのは余計に私たちの世代です。貴方様の出番は一切、ございません。」
ピシャリ、お父様が言い切っています。そしてこの方は一応、バレたというものではなく、生まれた時から知っている、限られた方ではあったのですね、、、
それはそれでショックですが、アイリス曽お祖母様がむしろ、裏で手を回してくれていたからなのですね。それは、大変有り難いことで、温かい気持ちになります。曽お祖母様は、私に不都合が起きないよう、抑止力となってくれていたんでしょう。昔会った時にお礼をしてないことが悔やまれます。。。
ですが、こちらの方、何故か今になってそのことを掘り起こし、我が家に直接乗り込んできました。
それは、何故なのでしょうか、、、??
「……確かに引退した我らが気にかけることではないともいえるだろう。しかし、それは普通であればだ。、、、筒抜けに聞いたのだ。婚約者として外れると。そして、第二王子が、次の妃を探していると。。。そこに世代の近いアスター家の娘が収まる可能性が高まったそうだ。…この状況は、我ら派閥にとって不利となるではないか。これでは、我らの領土の利益が、、いや、強いては国益が損なわれてしまうということだぞ。お前たちは、その意味をわかってやっているのか、、、!!」
まるで、般若のような怒りをみせる祖父。
そして、保守派であるマリー様の実家に白羽の矢が立つこと、これがどういう意味を成すのか、政治に疎い私でも何となくは解ります。。。
そうですか、マリー様が、候補に。
ああそれは、保守派筆頭貴族であるマリー様が、政治の道具として、祀り上げられるということ。貴族派の台頭を許すということに他なりません。
なんて浅はかなことをしてしまったのか、、、
これでは、私は人身供物をしたのと変わらないのではないでしょうか?きっと、私がこのまま‘候補’であっても、婚約者であることを貫いていたら起きなかった確執なのでしょう、、
それは、あまりにも残酷なことをしてしまった私の我が儘、なんでしょうか。。。これは私が償うべき所業となるのでしょう。
どうしても、後悔が立ちますが、私は私のしたいことを貫くと、リリィちゃんと約束をしました。だけどそれは、友を犠牲にしたいということではないのです。
そんなことを、したいわけではない。私の、私だけの我が儘として、やりたいことをやりたかっただけなのに、、、
私のすることは、やりたいことは、どこまででも影響がでてしまうのか?それは、何とか止められないもの、なんでしょうか??




