忘れてました、私の意味。
お昼を食べ終わり、その後もお兄様たちとプラプラと色々なお店を巡り、雑貨やドレスなど気になるものを見ながら穏やかに時間を過ごします。
久しぶりにのんびりゆっくり、時間が過ぎていきますよ。ジョシュアやルルも揃っているから、昔みたいな空気が心地いいですね。お兄様も、いつもの爽やか笑顔だけでなくて、ジョシュアに突っ込みを入れていたり呆れ顔をしてみたり、クルクル表情が変わっているから、なんだか小さな子どもみたいです。
学園に通い出した頃から、お兄様の爽やか笑顔が嘘くさくて、私の方が精神年齢は高いはずなのにどんどん大人になっていくお兄様をみて、寂しい思いをしていました。だけど今日は久しぶりに、自然と笑うお兄様やルル、ジョシュアと過ごすことが出来て、とてもホッとしています。
きっと、この時間が嬉しいんだろうと、楽しいんだろうと、思います。。。
「さぁ、そろそろ帰る時間だね。ディー、足りない物はないかい?欲しいものも、全部買えたかな?」
「はい、お兄様。いっぱい買いすぎて、持ちきれなくなるほどですわ。ねぇ、ルル?」
「はい。とっっっっても、色々と購入されていますね。。。」
美味しそうなお菓子や紅茶、先ほどの雑貨屋さんのアクセサリー、可愛らしいクマの置物など、今日の戦利品をたくさん目の前にし、両手だけでは持ちきれなくなった私。致し方ないというような呆れ眼をしながら、控えめに微笑むルルが、運んでくれています。
本当は、最初の雑貨屋さんでアクセサリーを見ていた時から、従者として、ルルは持つ気でいました。だけどそこは、前世の記憶がある私。
買い物の醍醐味として両手いっぱいの購入品を持ちたく、自分から持つとルルに我が儘を言いました。
自身で購入したものを持つ幸福感。あの感覚は、純粋な貴族の子息では味わえない感情。
久しぶりにあの感覚を感じたくて、ルルにも渡さず、買った物を自分で持っていました。
するとルルは、頰を膨らませ不服そうな顔を見せていましたが、私のささやかな願いを叶えてくれたんですよ。だけど、思った以上に戦利品を増やしすぎて自分では持ち運べなくなってしまって。。。
言い出しっぺのくせに、重みで動けなくなってきて、ギブアップをしちゃいました、、、そして今ではルルが運んでくれていますよ……?
いやでも、致し方ないと言わせてください。
私、貴族令嬢ですのよ。普段は手に荷物を持つこともせず、筋トレなどもしていないんですのよ。。。
なんて、貴族令嬢らしい言い訳をしますが、調子に乗った私の自業自得。とても魅力的な購入品たちは、思った以上に重くなってしまい、その重みは私へと、のし掛かりました、、、
最初は、お兄様が重そうにしていた私へ呆れた様な、楽しそうな表情をして、私の戦利品たちを持ってくれようとしていました。ですけどルルが、従者としての役目だと、自身が持つことを私に言ってくれて、それに甘えた私は、ルルへと荷物を投げ出したということなんです、、、、
思った以上に皆んなへと手間を掛けてしまい、ちょっぴり反省しています。。。
ガラガラ………ガラ…
「あぁ、そうだ。ディー。ジュリアン様だが。」帰りの馬車の中、突然びっくり。お兄様がジュリアン様の名前を出すものだから、ビクッとしてしまいます。
「そんなに驚かなくても。。。ジュリアン様が可哀想だろう?今は、友人として良き関係を築いているんじゃないのかい??」苦笑しながらお兄様が嗜め聞いてきます。
だけど、私はあの話し合いの後、ジュリアン様と会う機会も減ってしまい、あまりお話し出来ていません。
それに、夜会後は学期末試験の準備などでバタついてました。その間、いつの間にか気づいてみると、ジュリアン様はあの夜会の後から、あまり学園へもお越しになられていない様子。周りのクラスメイトの噂やマリー様の情報から導き出した結果ですが、王室で何かあったみたいです。
だからか、その間ほとんど挨拶以外に話せていなく、余計に気まずい気持ちもしていますし、友人として何かあったこともなく、戸惑ってしまいます。
「それは、確かにジュリアン様と友人として助け合うことをお約束しましたが、ここで話題に出るとも思っていませんもの。少し驚きもしますわ。」
誤魔化すかのようにお兄様へと苦言を呈してみます。
ですが、お兄様にはお見通しのようですね。
「ディーは、ジュリアン様とどうしたいか、決められないのかな??」なんて、言ってきます。そう、話したくないとかではないんです。ただ、どうやって接していけばいいか、分からなくなっているんです。
今までどおり、そんなことが出来るのか、不安なんです。。。
「ディーがどうしたいか、それだけでいいんだ。それだけで、ジュリアン様に気も使わなくていい。今までどおりが難しいなら、会わないようにしてもいい。だけど、伝えておきたいことがあるんだ。だから、今話しておこうかと思ったんだよ。」
なんだか、ちょっと真剣な話のようで、お兄様も、表情が硬いです。。。
「ええ、、、お兄様。どうされたの?」
「キャシーが我が家に来るタイミングで、ジュリアン様もお越しになる予定なんだよ。だから、ディーとも一緒にいてほしいと僕は思ってるんだ。」
「え、それくらい、いつものことではないですか?よくジュリアン様は、タイミングを合わせて来られますもの。それに、その時は一緒にお話ししたり、時間を過ごしていますし。。。友人として、仲良くするとお約束しましたもの。お会いしますわ?」
「うん。ありがとう。そう言ってもらえるなら、僕も嬉しいな。。。実はね。長期休暇が終わった後、ジュリアン様はあまり学園に通われなくなる。これから卒業までの間、王位を継ぐため、準備をしていくことになるんだ。我が家で、学園で、よく会うことが出来た彼の方だけど、これからは今までみたいに、気軽に会えなくなってしまう。僕もそのタイミングで、側近候補からそうなるために、学ぶことになるんだ。それと、友人としてではないんだ。これからは主君と臣下としての距離になる……そうなる前に、ディー、君にこれからを、後悔がないよう、伝えておきたかったんだよ。」
なんて、お兄様がお話ししています。そうですね。そう、大人になっていく、頃合いです。成人が近づいているお兄様たち。卒業の2年後に成人する彼らは、継承を滞りなくするため、中等部卒業後から準備期間に入ります。そのため、自身の領内のことや就職先など、考えていく頃合いなんです。だけど、それは卒業後と考えていた私。2人はもう、長期休暇明けから進んでいくのでしょう。それは、なんだかもの悲しい気持ちにしていきます。。。
「、、、、そうですか。それは、本当に。。皆さまと後悔のないように、楽しい時間を過ごすしかないですわね。。。」そう、溢しました。。
ガラ…ガラガラ………
私たちが本邸に着いた頃、家の前に珍しい馬車が停まっていました。あの馬車にある紋様は、シルヴァン家の家紋ですが、装飾が異なりますね。確か、前当主、私たちの祖父母にあたる人たちのもののはず。お父様が当主を引き継いだ後に領内の別宅へ篭って、あまりこちらに来ることがなかったお2人です。正確にそうだと言い切れませんが、祖父母が使用しているもののはずです。
私も、幼い頃に一度会ったきりですから。全くこちらに来ることがなかったので、お父様たちとの関係が良いものではないのだろうと思っていました。
だって、私の祖父母なのに、話題に上がることもないのですから。むしろ、お母様の家族であるセリーヌお祖母様やセドリックお祖父様、アイリス曽お祖母様たちの方が、よくお話に出てきますし、お祖父様とお祖母様は数年に一度は会いに来てくれます。
なので余計、私からもお父様たちに話題にすることもなかったんですよね。大人な私は、自ら地雷に突っ込みませんよ?
玄関まで行くと、セバスたちがバタバタしている様子がみえます。やはり、先触れもなくお2人は訪れたんでしょうか。事前に分かっていれば私たちにも一声ありそうですから。
特に今日は私たちが買い物にも行っていた日ですからね。お父様たちが教えてくれそうなものです。
なんて、考えながらお兄様たちの方を見ます。
「これは、あまりいい状況とはいえないのかな??」
苦笑するお兄様。私もよく分からないので、、
「お父様たちはお祖父様たちのところかしら?誰か聞けないのかしら??」
なんて、話していたら、馬車に付いていたジョシュアがひょっこり戻って来ました。
「旦那様方は応接室で前当主様たちのお相手をしているみたいだぞ。」と、言うジョシュア。どこで一瞬にして情報を仕入れてくるのでしょう??彼は忍者か何かでしょうか??
「そうか。それは、挨拶がてら僕らも向かう方がいいのかな?」
「いや、やめといた方がいいぞ。あまりいい話ではなかったからな。。。」
そうジョシュアが苦笑しています。というか、本当どこから聞いてきたんですか……?
ジョシュアの忍者説有力だと思いません??
「それなら尚更どういう状況か把握するためお会いしに行く方がいいのではなくて……??」
「いけません、お嬢様。不穏であるとジョシュアが聞いているのです。お嬢様はこのままお部屋にお戻りください。」
「あぁ、特におチビちゃんは部屋に戻ってくれ。」
「え?私が特に??なぜ?」
「あまり気持ちの良い話ではないようだね。。。ディー、僕と一緒に部屋に戻ろうか。」
「え、お兄様??私、ご挨拶もしていませんが、よろしいのかしら?」
ハテナが踊ります。お父様たちと仲が悪いといっても、私たちは孫ですし、一応礼儀的にも挨拶とかするんじゃないですかね??
セリーヌお祖母様とセドリックお祖父様が見えた時は、私も挨拶をしています。まぁ、曽お祖母様の子どもですからね。優しい印象を持ちましたし、一緒にお話もしたので、お祖母様も私を可愛がってくれて、お2人ともほんわかとあったかい印象です。
だけど、お父様の両親、私の祖父母は、あの一度会った時以来ですし、話したことも挨拶だけで、特に印象がないんです。。。
「ディー、それは気にしなくてもいいよ。シルヴァン家の人間は元々そんなことを気にする人たちがいないから、礼儀なんていらないんだ。それよりも、効率のいい話が好きな人たちだよ?」そう、お兄様が私に優しく教えてくれますが、とても表情が冷たく硬い様子です。
「え?そうなのですか??お兄様やお父様、お優しいし、私もこんなですのよ?冷たい印象はないですわ?」
「うん、昔の話だからね。曽お祖母様の影響か、ディーの影響か、冷たくいる必要がなくなったんだよ。」
えー、、そんな影響、知らないですよ?いつからそうなのか気づかなかったですよ??
なんて、玄関先で話していたのが悪かったんですかね。応接室から、お祖父様たちが出て来ました。まさかの言葉とともに。
カッカッカッ、靴を鳴らしながら玄関まで降りてきたお祖父様たち。
「ディアナたちが帰って来たのか?何故お前たちは通さないんだ、私たちが会わせろと言っているところなのだぞ?」
「ですから、ディアナには会わせませんし、貴方の勝手な行動は許されません。今は私が当主です。」
「何をいう。私はこのシルヴァン家を思って言っているのだ。そのディアナの力は本来この国のため、我が領土のため、使われるべきものだ。それを隠匿しようなどと、よく考えたものだ。」
「ですから、王へは説明済みですし、王も認めています。今さら貴方からとやかく言われる筋合いはありません、、、」
「それに、ディアナは第二王子との婚約も破棄したそうではないか。それならば、それ以上の家格に嫁がなければ、我が家の繁栄に繋がらない。ディアナの知識は、使われなければならない。」
「それは違います。ディアナは、ディアナのためだけに生きるのです。貴方方の勝手な考えで生きる必要はない!」お父様が、声を荒げ出しています。というか、同じ話を無限ループしてますが、え、この話、私のことですよね?なんで、私が??そう、お兄様を見上げると、お兄様の表情も硬い様子でした。。。
「ディー、さぁ、君は先に部屋に戻ろう。こんなところに、いてはいけないよ。ルル、頼むね。」
「畏まりました。直ぐに。さ、お嬢様、参りましょう?」
「ぇ、えぇ。そうしましょうか、、」ジョシュアの言うとおり、あまりいい話ではなさそうです。ここに居ない方がいいみたい、なんて、少しモタついていたのがダメだったみたいです。お祖父様が到着してしまいました、、、
「ディアナ!どうして第二王子と婚約破棄をしたのだ?!お前はこのシルヴァン家と王国のため、力を使う使命があるだろう!」
え、まずジュリアン様とは婚約者候補であって、候補を外れただけで、婚約自体はしてないため破棄ではないですし、私、そんな使命を持った覚えがないのですが……??
なんて、茫然と見ていたからですかね??お祖父様が言ってきました。
「お前は貴重な祝福者だぞ!この国のために力を使う義務があるだろう?!何故婚約を破棄をして、力も使用しない?!子孫だって残す義務があるのに、プラプラと好き勝手過ごしているのだ?!」
え、どうして知ってるんですか??私、今も瞳の色は、水色に隠してます、、、それに、お祖父様には、一度しか会ってないし、その時に話題にも上りませんでした。どうして、今頃になってきて、こう言うのでしょうか??
誤字脱字、修正しました。




