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友人として、これからも一緒にいてほしい③

彼は、優雅にフォローを私にいつもしてくれる。踊りも、エスコートもスムーズで。

もし、もし仮に私の記憶が戻らなければ、この関係はとても心地良く、彼のアプローチに承諾してしまっていたでしょう。きっと私は、それくらいにはジュリアン様を嫌ってなんかいないんです。。。

「うん。ディアナ嬢は、やはり踊りが上手い。見てごらん。皆んなが君に注目をしている。」

「そんな、ジュリアン様の気のせいですわ。。。」

「気のせいのはずがないよ。君はここで1番魅力的なんだから。だからこそ、誰も君を手に入れられないとすら思って僕は、油断していたんだ。今では君を隠したいとすら思っているよ。。。」ジュリアン様は(わたくし)と踊りながらも、誰にも見つからなければ、このまま、想いは通じなくとも、共にあれると、思っていた。そんなことを呟いていました。



ガヤガヤ……ガヤ…

「ああ、これで、今年の夜会も終わってしまったね。君の、ディアナ嬢の、お話は僕にとってどんなものになるんだろうね?」少し茶目っ気を見せながら、ジュリアン様は私に話かけてくれます。なので。


「ここでは、流石に人の目もございます。ですので、控え室をお借りしたいのです。」

「そうだね。それなら、むしろいつもの応接室がいいかな?君も使い慣れた部屋がいいだろう?きっと落ち着いて話ができるよ。」

なんて優しい気遣い。今ここで見せられると、この後が辛くなります。だけど、彼とお話をちゃんとするなら、それもいいのかもしれません。。。

「はい。ご配慮ありがとうございます。」





お部屋に着くと、ルルや王城のメイドさん達が寛ぐ準備をしてくれてました。まさか、私とここに向かう間に手配していたとは、やっぱりジュリアン様は気の利く方です。そして、伴侶にしたらとても生きやすい生活を出来そうです。でも、私はそのようなモノは望んでいないのです。。。


カチャ。ソーサーに置かれた紅茶から温かな湯気が出ていて、私の心を落ち着かせます。

「さあ、ディアナ嬢。人払いは必要かい?」ニコリ、微笑みながら私に確認してくれるジュリアン様。

「出来れば、席を外していただけると大変助かりますわ。もし、それに不都合があるのならば、どなたか信頼のおける方をお残しくださいませ。」

「そうだね。それなら、君のところの従者を残そうか。その方が、話がしやすいだろう?」ニコニコ優しい笑顔で、私に確認してくれる。彼は本当に紳士だと思います。




「……………。」

さぁ、どうやって、ジュリアン様にこの事を切り出しましょう?だって、‘候補’なだけで、婚約者そのものではないんです。なのに、この‘候補’から外れたいとは、なんとも自意識過剰ではないですかね??

ただ、王家とシルヴァン家において、その取り決めがある程度はされているから、これはスッパリ断らないとこのまま、‘候補’から正式な婚約者になってしまいます。それなら、やはりここで否定をしないとダメなんです。。。難しいです。なんて、一人で無言でグルグルしていたら、ジュリアン様から声を掛けてくださいました。

「ディアナ嬢。君の話は、この僕たちの、婚約のことじゃないのかい?君はこのことに()()話したいのかな?」いつもの、ゲーム攻略者のような爽やかな笑顔で、私に微笑みかけてくれます。

「……。どう切り出すのが正解か、(わたくし)には難しいのです。だけど、このことを話さなければ、(わたくし)は、次に進めない。だから、ジュリアン様とちゃんと、お話をしたいのです。。。」

「そうか。そうなんだね。。。…君の話を、教えてくれるかい?」

「ジュリアン様と出会ってから、何年かご一緒させていただきました。お茶会や夜会、お出かけ、、、とても心地の良い時間でした。。。だけど、それでは私の気持ちには何かが足りないのです。私の記憶にある、眩しい()()()。まるで私を照らしてくれる様なお日様みたいな、素直な子。彼女にまた会いたい。だから私は、、、。貴方様との婚約は、これから先も、行えない。だから、ここでお伝えをしたかった。これが、私の想いです。。。」

「うん、あぁ、、そうなんだね、、、。……きっと、本当は、君の心は僕に向くことはないんだろうと、思ってたんだ。けれど、一緒に時間を過ごすことで、少しでも僕に傾ける心があるなら、僕は君を大切にできると、伝えられるチャンスを望んでたんだ。僕に振り向くこともあるんじゃないかと、期待をしていた。それでも、だけど、君の心は昔からずっと、変わらないんだね。。。」致命的な結論を、彼に投げた私に対して、ジュリアン様は、淡く寂しげに微笑んでみせました。

「……本当は、ジュリアン様との時間は優しく流れるから、あの子の気配がないのなら、私は貴方に絆されていたと思うのです。だけど学園に入ってあの子の気配を感じて、リリィさんというお友だちが出来て、私の気持ちを吐き出して、、、私はずっと出来なかったことを、今世でしたいと思ったんです。もう、誰にも渡したくないから。私だけの、あの子を見つけたい。見つけられないとしても、私はあの子をただ純粋に思いたい。だから、これから先であっても、貴方様との婚約は、出来ないのです。。。申し訳ございません……。けれど、こんなに私に気をかけてくれていた貴方様への不義理に、貴方様が許せないというのなら、貴方様が、それを望むのなら、私はジュリアン様の目の届かないところに行くことだって、考えているんです。私は領地に戻ってもいい。それでも気に触るのなら、この国を出ることも、私の贖罪になるのなら、したっていいんです。」

「僕は、君に望まないよ。君の心が僕になくても、君がいるなら、僕を気にかけてくれるのなら、それだけで嬉しいんだ。だから、今はただ、僕は君に友人として、これからも一緒にいてほしいんだ。それだけで、僕の気持ちは浮かばれる。。。なんだったら、僕との時間に少しでも安寧を感じてくれていたのなら、何処かで僕にもチャンスがあるかもしれないだろう?そんな淡い期待くらい、今はさせて欲しいな。」

私から彼に贖罪をしたというのに、ジュリアン様はそんなこと、気にしていないと言ってくれます。それどころか、最後は茶目っ気をもってこれからも友人として側にいても良いと言ってくれました。彼は本当に、優しい。出会った時の不遜な態度が嘘みたいに、穏やかな人に成長しています。紳士っぷりがカンストしていますね。だから私も。

「ありがとうございます。そう言っていただけるなら、これからだって、(わたくし)は、ジュリアン様と楽しい時間を、お兄様たちと一緒に過ごさせてくださいね。」

「もちろん。あいつは僕の側近になるんだから、これからだって、いつだって、君とも会うだろう。友人として、これからも仲良くしていて損はないだろ?」

ニコリ、イタズラをする少年みたいに彼が微笑み。私も楽しくなって、お兄様のことで盛り上がり。この後は、彼との和やかな時間を過ごさせてもらいました。ルルにも心配をさせていたみたいですが、今は彼女も私たちにお茶を入れてくれながら、優しく私を見守ってくれました。

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