友人として、これからも一緒にいてほしい②
ジュリアン様に対する皆さんの挨拶がある程度収まった頃、お兄様とキャシー様、お母様とお父様にも合流できました。なので、私たちは王様たちに挨拶へと向かいました。
「王様、王妃様、ご機嫌麗しゅう。」
皆んなで順に挨拶を済ませると、王妃様たち、、、
「ふふ、シルヴァン家が勢揃いね。その中にジュリアンもそちらにいるのが、何だかこそばゆいわね。」
ああ、何という爆弾を落とすんでしょうか。他の人に聞かれたら誤解を招くようなものです。
先程から、私を次期皇太子妃として扱う様な話をしてくる人たちもいて。。。それがここでの発言を周りが鵜呑みになんてしてしまったら、引き返せないことになります。そんな、私の表情が、漏れてしまっていたんでしょうか。王様が。。。
「王妃よ、まだジュリアンは決めていないことだ。何も決まってもいないことを、言うものではないよ。この子も良く考えているのだからね。」ああ、優しさが染みていく。ジュリアン様との、この後のことを思うとイヤになったけど、彼は、今はそんなことを微塵にも出さないで。
「母上、そうなれば私も至福の思いです。けれど、そこにディアナ嬢の気持ちがないのなら、それは悲壮なものです。」彼も牽制をかけてくれたようです。有り難いけど、申し訳ない。
だけど、こんな重い事を話し続けてなんていたくないから。
「王妃様、私も、皆様とご一緒にいられることに、幸福を感じています。ですので、王妃様も、心配なさらないでください。」そう、言いくるめました。
「そうよね、ごめんなさい。私も気が急いてしまっていたわ。貴女の気持ちも考えないで、酷い言い方をしてしまった。クロエも、ごめんなさい。嫌な気持ちにさせてしまったわね。」
「いいえ、そんなことはございません。王妃様も、私たち全員も、共にありたいと願ってのことですから、その気持ちは大切にしたいですわ。」
ニコニコと、お母様が、王妃様のフォローをします。
「ああ、母上。それではこの後私たちもダンスも控えていますから、腹ごしらえをして参りますね。」ジュリアン様が、この場を切り抜ける口実をしています。
「王様、王妃様。折角ですので、我々も級友でもあるジュリアン様にお供いたします。宜しければ、我々の両親との時間をお過ごしください。」
なんと。お兄様が、お父様たちを生贄に、この場を一緒に去ることにしたようです。。。
「ジュリアン様、腹ごしらえする気があったんですね。ずっと挨拶を受けてばかりだったので、このままダンスに入るのかと思ってましたわ。」
「何だい。ディアナ嬢。君はあの場でもう少しいじられていたかったのかな??」ちょっと意地悪な言い方をするジュリアン様。ほんと、良い性格だと思います。だけど、これは私を思ってのことだってわかるので、話に乗ってあげます。
「本当、王妃様とはまだお話足りないこともあったかもしれませんもの。ちょっと聞いてみたい気持ちがあっただけですわ。でも、腹ごしらえも大事ですわよね。」なんて、言います。
「ディー。君はジュリアン様と本当に仲が良いな。軽口も叩き合って、まるで。」
「リアム様。私たちも、ディアナ様たちと合流したのですから、折角です。ご一緒に何か軽食をつまみませんか?」ああ、なんだかキャシー様にフォローを入れられているお兄様。
お兄様って、努力家で秀才だけど、フとした瞬間、私たちには抜けてますよね。変わらない、皆んなって感じが嬉しいです。
「君たちは、本当に変わらない。君たちと一緒にいる時間が、大切だよ。」ジュリアン様が目を細めて告げてきます。
「光栄ですわ。私たちも、貴方様と皆様と、過ごせる時間が、愛しいです。」そう、キャシー様も、優しい笑顔で肯定しています。
「ご機嫌よう。皆様。」
マリー様が、こちらに来られました。先程はどなたかとお話をされていたのでこちらに来てもらえるとは思ってませんでした。
やっぱり、彼女は凛として、真っ直ぐなその佇まいが、本当のご令嬢だとわかります。
「まあ!ご機嫌よう!!マリー様!こちらでもお会いできるなんて、私、嬉しいですわ!お話かけてもらえないと思ってましたもの!!」嬉しくて、まるで飛び跳ねるように声も弾んで、マリー様に答えてしまいました。
「ディー。ちょっとはしゃぎすぎだよ。ジュリアン様も、マリー嬢も、驚いている。」
「あ、、申し訳ございませんわ。このようなところで、話かけられたのが初めてなものでして。いつもは、ジュリアン様とご一緒しているので、ご挨拶も貴族のご当主様からのものばかりですので、、、」
現に今日も、お兄様たち以外から声を掛けられることなく、貴族の当主たちが顔を覚えてもらおうと、ジュリアン様に集っていたんですもん。これは嬉しくなりませんか??
「ふう。本当に。貴女は。貴族令嬢の自覚をもっとお持ちになりなさいな。」おぉう。。呆れられてしまいました。まるで学園での会話のようで嬉しいです。それに、マリー様が私たちとの時間を過ごしてくれて、ちょっぴり幸せな気分ですよ。サンドイッチなどの軽食も、一緒に取れたので、何だかお友だちとの楽しい時間を過ごせているみたいですね。
「ディアナ様。この後ダンスもありますが、堂々と貴族令嬢らしく、ジュリアン様の足を引っ張らないようしっかり踊っていらしてね。」
「まぁ。私も公爵令嬢の端くれですもの。しっかり踊りますわよ。ね、ジュリアン様。」
なんて、小さな子に言い聞かせるよう、マリー様から私に諭してきましたので、ちゃんと言い返しましたよ。ジュリアン様経由で。。。
「そうだな。君は、踊りは昔から得意だものな。踊りに関しては何も心配してないさ。」不思議なフォローのされ方をしました、、、ちょっぴりおバカにされた気もしますが、気のせいですね、、、
「そうですわね。毎年、夜会で踊るお2人を見てましたから、あまり心配はしておりませんけど、今日のディアナ様が心ここに在らずの様でしたので、様々な人がいることを改めて忠告しておきたかったのですわ。」まるで私のお姉さんみたいです。私に姉がいるとこんな感じかな、なんて思いますけど、そのお姉さん枠は元々キャシー様が持っているものなので、ここでは差し控えますよ。。。
「もう、マリー様ったら、私の扱い方がわかってきたみたいで、嬉しい限りですが、ちょっぴり居た堪れないですわ。」なんて、プリプリしちゃいます。
「ふふ。私も貴女とこの様に言い合える日が来るとは思ってませんでしたわ。」
細めた目を私に向け、柔らかく微笑んでくれたマリー様。私も、同じ気持ちです。。。
「それでは。そろそろ時間ですわ。この辺りで失礼致します。」
「ああ、マリー嬢。また学園で。」そう、マリー様は、この場を後にしました。
「それでは、ダンス会場に行こうか、ディアナ嬢。」
「はい、ジュリアン様、、、」




