晩餐会には心の準備が必要です
いや、やっぱり晩餐会とか、緊張するんですけど。王様たち、久しぶりにお会いします、、、
一応、王妃様は数ヶ月に一回の頻度ではありますが、お母様と私を個人的なお茶会にご招待してくださいます。
いやまぁ、実は、、、私が筆頭候補だから、というよりも、王妃様とお母様、学生の頃の同級生だそうで、お友だちだったみたいなのです。なので、元々仲が良いようでして、そのよしみでお母様を頻繁に、とも言えないですけど、お誘いしてくださるそうです。まあ、そのために私を一緒に招待いただいても、何かと理由をつけて避けてましたので、お会いするのは招待いただく内の半分くらいです。結構自分ではお誘いに応えてるつもりなんですけど、お母様にはもっと誘いを受けなさい、と後から嗜められるのが日常茶飯事です。ですから、私にとっては王妃様の方がまだ、免疫があります。
それよりも王様、前回の夜会の時が最後ですし、その謁見とは違うんですよ?晩餐会って、要は晩ご飯を一緒に食べるんですよ?!
普通は仲のいい家族で食べるでしょう??いや、普通って何だって話ですけど。こと私に関しては、貴族の中の貴族、公爵令嬢。そんな私が他人の家で、まあ、お兄様同伴ですけど。一緒に食べるとか、どんだけ仲良い人たちですか??へいブラザー、今日の晩ご飯どうするよ?くらいフランクな関係で起きるやつですよ??
ヤバいです。なんかやっぱり、ジュリアン様たち、外堀埋めてません??
私、ここから何とか抜け出す方法、じっくりドップリ、考えたいんですが、、、
ほら、ルル助けて。貴女の出番よって、目で訴えますけど、ルルは我関せず。そうですか、そうですよね。ルルは、私の味方ですが、それ以上に規律を重んじますからね。いいですよ、そんななら、自分でどうにかするもん。なんて思いますが、無理すぎです。どうしようもない、、、これは詰みですかね。。。?
「随分と久しぶりですね、ディアナ。」
「お久しぶりでございます、王妃様…最近は、学業に、友人関係と、色々と用事がありましたもので…」なんて、言い訳がましく言ってみますが、、ちょーーーっと、含みを感じるのは、お誘いを断り続けていたツケですかね、、、?うん、ですよね。
1か月前くらい、お母様とお茶会に誘っていただいてましたから。学業が大変、って理由、つけてお母様にお断りお願いしちゃいましたから、、、
……うん!!それでも無理なものはむりですね!お茶会なんてそんな頻繁にお呼ばれしてたら周りから勘違いされて、あれよあれよと婚約者になっちゃいます。そんなことになるのは困りますからね。
そうです。私にはずっと昔から、好きな人が、いるんですから、、、、、
だから、ジュリアン様のお相手には、なれないんです。それをもっと早く、彼に言うべきだった私は、ここまでズルズルときてしまった…
彼との本当のリミットが、私の想いを伝えるべきリミットが、近づいているのでしょう、、、
これでもう、子どもの頃の、お兄様たちとお話したりお出かけしたり、ふざけ合ったあの、楽しかった優しい時間は、終わりにしないといけない。
それが、わかっているから、、、今この瞬間、次の言葉を紡げない……。
だというのに。。。
「まぁまぁ、母上。ディアナ嬢も学園での生活に慣れてきたばかりで友人関係も忙しいのです。代わりに私がよくお相手をしているでしょう?」
スマートなジュリアン様、彼が私のフォローしてくれます。こんなとこも、本来であれば評価ポイントとして株が上がるはずなのに、私にとっては優しいお友だちの1人にしか思えない。だからそんな薄情な想いを抱いてるなんて、彼らは知らないから。。。
「だけどジュリアン。私、ディアナを実の娘のように、可愛いと思っているのよ?だからもっとお話をしたいと思っているのに、中々会えなくて、寂しいのよ?」
「王妃様、いつもディアナによくしていただいてまして大変ありがたき幸せにございます。それにも関わらず、不肖の妹がお相手できず、大変遺憾にございます。次回がある際には、何としても私が連れて参りましょう。」お兄様が、私の代わりに応えてくれる。2人が優しい。2人が、温かい。それが、苦しい。
「王妃様、私をそのように思っていただいて恐縮ですわ。ですので、次のお茶会には絶対に参加いたしますわ。本当は私も、王妃様とお会いしたいと思っておりますので。。。」ニコリ、王妃様へ笑顔を向けて、私の気持ちを込めました。本当は、私だって気兼ねなく会いたいです。優しい方なのは知っているから。けれど、娘のように思っているなんて、まるでそうなるように言われているようで、苦しい。だから、答えは濁して、会うことを約束する。
「ディアナ嬢、リアム。2人のことはジュリアンからもよく聞いている。だけど、私は2人の口から聞きたいんだ。2人は、最近学園ではどうなんだい??」
王様も、私に気を遣って、話題を変えてくれています。学園での楽しい時間を話してほしいと、私たちが話したいことだけ話せるように、こちらを見てくれます。本当は、王妃様もそう思ってくれているのに、私がずっと濁し続けるから、私を、ジュリアン様を心配して、進展を求めている。だって、来年にはジュリアン様は卒業してしまう。
本来学園は、貴族の交流の場。それだけでなく、人によっては政略結婚をすべき相手を見繕う場ですらある。だけど、ジュリアン様が私を求めてくれていたから。。。婚約者候補として、社交の場も連れ出してくれていたから、彼はそれをしていない。私に、不誠実でいたくないと、思ってくれていたから。。。
そんな彼に私は、曖昧な態度をしていた。彼らとの時間が楽しくて、この関係を終わらせたくなくて、彼に不誠実をしていた。見て見ぬふりを、続けていたのだ。優しい彼らはそれに気づいても、私のことを大切に、愛してくれた。それが居心地良く、私も甘えてしまっていたのだ。
だけどそんな彼は、来年から、王位継承のため執務に集中することになる。すると、卒業してしまった学園での婚約者探しなどはあり得ない。次を探すことが、格段に難しくなるのだ。。。
それでも彼は、私を第一に考えてくれるから、私の気持ちを大切に待っていてくれる。だから、本当の想いを、伝える時期が迫っているのだ。
今回限り。今度の夜会での彼のエスコートが終わったら、話さなくては。私の気持ち。私の、想いを、、、




