第二章 軽い願い
俺は、『パンドラの箱』を持ち、家に帰る。
食事や風呂を済ませ、自分の部屋へ行く。
「『へぇ〜。ここがご主人様の部屋か〜。な〜んにも面白いもの無いね〜。』」
俺が部屋に着くと、箱が1人でに開きそこから、青い光とともにパンドラが姿を現した。
「『まぁ〜。『パン』ちゃんの部屋よりましか〜。』」
パンドラは、驚いて尻もちを着く俺の方を見る。
「『ん〜?ご主人様はなんでそんな所で座ってるの〜?』」
「お、お前箱の中に住んでたのか!?」
「『あれ〜?言ってなかった?じゃあ、『パン』ちゃんについて〜。教えてあげるね〜。歌に合わせて〜。』」
パンドラはどこからともなく、マイクを取り出すと、突然歌い出す。
「『『パン』ちゃんは、皆のカミサマ。皆の希望。どんな願いでも叶えてあげる。夢のような話だけどこれは現実。好物はリンゴ。こんなに可愛い『パン』ちゃんだけど、住処は小さな箱の中。『パン』ちゃん以外は何も無い。『パン』ちゃんはなんでも出来るけど、望まれないと何も出来ない。だからほら、ご主人様!名前なんだっけ?とにかく『パン』ちゃんに願ってよ!だって『パン』ちゃんは貴方の奴隷!!』」
踊って歌って、説明を終えたパンドラは、ひと仕事を終えたかのように、俺のベッドに寝そべった。
「『どう?『パン』ちゃんの事、少しは分かった?』」
「新しくお前のこと分かったのは、リンゴが好きなことぐらいなんだが。」
「『やった〜。『パン』ちゃんの好物覚えられた〜。』」
仰向けで腕を上げるパンドラ。
俺はそんな彼女に言った。
「そういえば、お前は最初に会ってから、『なんでも』願いを叶えるとか言ってたけど、『不老不死になりたい』って願いも叶えれるのか?」
俺に『不老不死』の望みはそこまでない。まぁ、最近不幸続きなのもあって、死にそうになったこともあるし、死ぬのは怖いから全く望んでないわけでは無いが…。
「『ご主人様はそれを望む?』」
パンドラが上半身を起こし、ベッドに座り直しながら聞いてきた。
「まぁ、どちらかと言うと…。」
俺の答えに、パンドラは悪意なんて全くなさそうな、無邪気で純粋な笑顔を見せた。
「『おっけ〜。分かった〜。』」
パンドラはベッドから降りると、小さな箱を生み出す。それは今までと違い白い部分が、赤黒い色になっている、少し気味の悪い箱だった。
「『それに、触れれば〜。…。あれ?そう言えばご主人様の名前なんだっけ?』」
突然首を傾げながら聞いてくる彼女に、俺は戸惑いながら答える。
「健一、井村 健一。」
俺の答えに、パンドラは笑顔で頷く。
「『ケーちんね!この箱に触れれば、ケーちんの願いは叶うよ。』」
「け、ケーちん!?」
俺は突然付けられたあだ名に困惑しつつ、箱に触れる。
視界が青く染まる。
青が消えるが、俺の体は何の違いも感じなかった。
「これで、不老不死になったのか?」
パンドラは笑顔で答える。
「『うん。そうなったよ!でも〜痛みは感じると思うし〜。試すのはおすすめしないな〜。ケーちんが痛いのが好きなら止めないけどね〜。』」
「そうなのか。」
試せないのは残念だが、とりあえず俺は不死身になれたのかな?




