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雰囲気は最悪な中、仕事だと割りきって言われた通りに土壌を豊かにして王都に戻って来た。
途中の街で相変わらず視察に連れ出されたから何とか理解してもらおうとユベール殿下に話しかける。
「まだ第3騎士団長が好きって言ってるの?そんな好き嫌いで結婚なんかできないんだよ?仮にも愛し子なんでしょ?目立ちたくないって言っても愛し子なんだから民の前に出るのは当たり前だし、貴族達との交流も当たり前。王家が王太子の妃にって言ってるんだからそれは決定事項だよ?ずっと悪い心証を与えてただ子供を産むための道具にさせられるのが嫌なら今からでも考えを改めたら?愛されたいならわかるよね?」
笑顔のまま今まで聞いたことがない位感情のこもらない声でこれ以上話すつもりは無いとその話は打ち切られる。
怖い。どうしたらいい?団長に会いたい。心が壊れてしまう。
王城へと戻り王妃様に呼ばれる。
「レイです。ただいま戻りました」
部屋の扉をノックし告げる。
「入って」
護衛騎士が扉を開ける。
「失礼します。王妃様に「挨拶は要らないわ!」」
大声にビクッと肩が震える。ここにいつきは呼ばれていない。みぃとウンディーネは居てくれるが相手には見えていない。
「顔を上げなさい」
「…はい」
「なぜ呼ばれたのか分かっているのでしょう?」
「いえ、それは……」
言葉に詰まってしまう。
「今までは貴女を尊重してユベールを好きになるのを待ってあげてたわ。私は妃にと言ったわよね?忘れたとは言わせないわ」
「…はい。しかし「反論は許してないの」」
大声で遮られてしまう。
「目立つのが嫌と言ってたかしら?」
「はい、できることなら目立ちたくないです。ただ、必要なら頑張ります」
「それなら良い案があるの!ミキさんに愛し子を返してあげなさい」
「は、はい?」
「だから、愛し子の力を返してあげなさい」
「あ、あの、精霊達が言うには美姫は最初から愛し子では無いと…」
「そんなの誰も気が付かなかったんだから貴女がミキさんの影になればいいじゃない。貴女は表舞台に立たなくて良いし、妃では無くて妾になれば目立つことも無いわ。王家の子供を2人くらい産んだら子供を置いてエルネストと結婚させてあげるわ。……そう、それが良いわ!あの3人には華があったもの!表舞台に立つには華がなくちゃ!なんて素敵なのかしら?次の予定はまた連絡するから今日はもう帰っていいわよ!」
あまりの提案に唖然として立ち竦む。
とりあえず団長と話したい。団長と会って手紙のやり取りではなくて直接相談する時間を確保しなくちゃ!
「王妃様っ!少しよろしいでしょうか?」
「なによ?」
機嫌の悪い声。
「申し訳ありません、次回までに少し長いお休みをいただいても良いでしょうか?」
「そんな勝手、許さないわ」
そんな……どうしたら次回の仕事を引き延ばせる?
(レイ、魔力を回復する為じゃダメかな?短期間に膨大な魔力を使ってるから回復が遅くなってるとか?)
(なるほど!ありがと、やってみる)
「申し訳ありません、しかし膨大な魔力を立て続けに使い、魔力の回復が少し悪くて一月位休んで魔力を完全に回復したいのです!」
「あら?やっぱり愛し子なんて嘘だったのかしら?…でも魔力が回復してないと困るわね。しょうがないわ、少し時間を開けましょう。その代わり変なことは考えないことね」
「ありがとうございます。次回に備えて魔力を万全にします」
深く頭を下げてお礼を言う。このまま下がらせて!
「余計な事は考えないようにね?貴女の大好きな第3騎士団長様が投獄されたら悲しいわ。今まで私達が貴女を保護してあげているのを忘れないように、分かってるわよね?」
物凄く良い笑顔で言っているが明らかに目が笑っていない。私が逃げたら団長を犯罪者にするって脅されてるんだよね?…権力者は何でもありなの?
美姫の影になって働くなんて提案をされてはこの国に留まりたいとは思えない。また酷い仕打ちをされるのは目に見えてる。でも団長を犯罪者にはさせられない……
「…はい、勿論」
「ならいいわ。もう下がって」
「はい、失礼します」
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