84
寮まで少し遠いけど、やっと解放され体は疲れているが晴れやかな気分で足どり軽く歩を進める。
「やっと帰れるね。でもそのだらしない顔どーにかしなよ」
「長かったぁ。だってやっと解放されたんだよ。ずっと緊張してたんだから少し位だらけてもいーじゃん!」
「せめて自分の部屋に入ってからにしなよ」
「はーい」
「馬車で送ってくれるって言ったんだから馬車で帰れば良かったのに…荷物だってあるのに」
「そーだけど、早く解放感を味わいたかったの」
「レイが良いなら何も言わないけど」
「ただいま」
門番さんに挨拶をして寮に入る。
食堂に入ってロジェさん達にも挨拶をする。
「レイさん、いつき君おかえり!お疲れさま」
「ただいま帰りました!夕食二人分追加で用意してもらえますか?」
「ああ、作るよ。それにしてもタイミングが悪いね、ほとんどの人は昨日から遠征に行っちゃったんだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん、急に討伐要請が来たらしくて慌ただしく出ていったよ」
「それじゃあ帰ってくるの当分先ですよね?」
「たぶんね。一週間は確実に帰って来ないんじゃないかな」
「そっか……それじゃあご飯お願いします。部屋で休みますね」
「ああ、ゆっくり休んで」
部屋に入ってベッドにダイブする。
やっと会えると思ったのに…入れ違いなんて…
寮に帰ってきて人が少ないとは思ったけど、まさか遠征に行ってしまったとは…
(レイ、大丈夫?)
(うん)
「遠征から帰ってくる頃に今度はレイか……当分会えないかもね」
「そうだね。会えないなんて考えてもいなかった……ショックが大きいなぁ」
~~~~~~~~
団長と会えないまま季節はうつろう。北方の山々は深い雪に覆われている。
私が仕事から帰る頃に第3騎士団の遠征が入るという状況がずっと続いていた。
ここまで会えないと悪意を感じてしまう。私の気のせいかな?あまりにも会えなくて、手紙を書けば団長に渡すよってロジェさんが提案してくれたので手紙のやり取りはしている。帰ってきて会えなくても手紙があるだけでがんばれる。
そんな中、今度向かう領地の途中にはユベール殿下の婚約者のジャサント領があり、お屋敷に泊まる予定が入っているという。
いつもユベール殿下が私と一緒に行動している事に不満は無いのかと婚約者のエグマリーヌ嬢に聞いたが、仕事だから特に気にしてはいないと言っているらしい。
ユベール殿下は嬉しそうにきっとマリーとレイさんなら仲良くなれると言ってくれた。貴族の友達も作ったほうがいいとも…
いつもは王都に滞在している婚約者さんはこの為に領地に戻ってくると言う話だ。
ユベール殿下と婚約者さんの交流のために3泊4日もジャサント侯爵のお屋敷に滞在するのだと言う。
それならユベール殿下と婚約者さんが一緒に領地に戻って、私一人遅れて合流しても何の問題もないと思うのだが王太子の婚約者と愛し子の交流は大切だからと、王妃様が私には理解できない理由をつけて一緒に行動するようにと言われてしまった。
ユベール殿下が王太子妃教育も頑張っていて、国民の立場に立って考えられる優しい子だからレイさんとも気が合うよと言ってくれる。
これは婚約者さんにユベール殿下を異性として興味が無いことをアピールするチャンスと割り切ろうと言い聞かせる。そもそも毎回ユベール殿下と一緒に行動する必要なくない?学園はどーなってんの?と声を大にして言いたい!
いつきもウンディーネもみぃもよろしくね!今回帰って来たらさすがに王妃様にしばらく休ませてもらいますって言うからね!
お読みいただきありがとうございます。




