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「レイさん、いつき殿本当にありがとう。またこの地を訪れてくれ。できる限りのもてなしをしよう」

クロキュス辺境伯が深々と頭を下げる。


「ありがとうございます。皆さんのお役に立てたなら良かったです」


「レイさん行こう」

クロキュス辺境伯との挨拶が終わりユベール殿下にエスコートされ馬車に乗る。



 帰りの道中は行きと態々違うルートを通っているのか宿屋の関係なのかはわからないが初めての街道で行きと同じように視察をしながらゆったりとした行程で王都に戻った。


 王城に着いたのはもう日付が変わるような時間だったため渋々王宮の客間に泊まった。


「はぁ、早く寮に帰りたかったのに。まさか王宮で過ごす事になるなんて…」

「明日には団長と会えるんだから早く寝ちゃいなよ」

「はーい!早起きしてとっとと寮に戻るぞー!おやすみ、みんな」

「レイにやけてる」

「えっ、気のせいだよ」

 いつきに指摘され慌てて両手で顔を隠す。

「はあ、元気無いよりはいいけど!おやすみ」

((おやすみ))


 翌朝日の出と共に目を覚ました。誰にも何も言わずに出ていく訳にもいかず侍女さんに寮に戻ると挨拶を言いに行った。だが、「お疲れでしょうからゆっくりと湯浴みをしていってください」と引き留められ訳もわからず侍女さん達の手によって強引に全身を磨き上げられドレスを着せられてしまった。

 何度も「寮に戻るので必要ないです」と言ったのだが、そんな言葉は聞き入れてもらえず今に至る。


 いつきも貴族が身に付けている上質な生地の服を着ていた。いつきと合流して案内された部屋には大きなテーブルに国王、王妃、ユベール殿下が席についていた。


「レイさん、いつき殿、此度はご苦労だったね。雨も無事に降って小麦とりんごまで収穫できて本当に助かったよ」


「お役に立てたなら良かったです」


「昨日帰ってくる予定だったから昨夜は愛し子の功績を讃えて晩餐会を開きたかったんだ。だが到着が深夜になると伝令が届いてな。今日にしようと思ったんだがユベールに怒られてしまったよ。レイさんも疲れているんだからと。せめて今、軽く食事をとりながら少し今回の話を聞かせてほしい」


「お心遣い感謝します」


 王様からそうに言われてしまえば文句も言えない。はあ、もうヤダ、早く帰りたい。寮の皆とお茶したいし団長にも会いたいな……


 食事が終わりお茶を飲みながらそれまでおとなしかった王妃様が爆弾発言をかました!

「疲れている所悪いんだけど一週間後にまた出発してもらえるかしら?レイさんには愛し子としてお願いしたいことが沢山あるのよ」


「たくさんですか…」


「そう!ここ何年もこの国は不作が続いていているのよ」


「…そうですか」

「お仕事として報酬も出すからお願いできるかしら?勿論今回もきちんと報酬は出すわ。辺境伯領全体の食を賄えるほど小麦を収穫してもらったんだもの。想像以上だわ」

 興奮して前のめりで話かけてくる。


 仕事として割りきればいいのかな?

 別にお金を貰わなくてもある程度はこの国を助けるつもりだったけど…苦しむのはどこの世界でも下のものだから。

 ただ、お金が無ければ何もできないのも事実で…ずっとこんな生活していたら寮の仕事なんてできないし無収入だと暮らしていけない。

寮で仕事続けられるのが理想だけど…

(みんなは協力してくれる?)

(レイが助けたいなら協力するよ?)

(ありがと)


「はい、では仕事として受けます」


「そう、良かったわ。それじゃ、またお願いね?」


 ユベール殿下とまた一緒に行くそうだ。

 庭園でお茶をしながら次回の話をしようと誘われたが、疲れているのでこの場で話を纏めたい旨を伝えるとユベール殿下は残念そうだが了承してくれた。

 そんなに時間がかかること無く話も終わり、ユベール殿下が王城の門まで見送ってくれ、ようやく解放された。



評価ブクマ、ぽちっとありがとうございます。


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