表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/93

82

お読みいただきありがとうございます。

 大雨が降りびしょ濡れにもかかわらずあちこち喜びに歌い踊り歓声が鳴り響いていた。パッと雨が止み青空に大きな虹が架かるとその虹の美しさに皆呆然と佇んでいる。


 虹に人々が気をとられているその間に精霊達と辺境伯の屋敷にこっそりと戻ろう。



 屋敷に戻るとびしょ濡れにもかかわらず執事さんは快く拭くものを用意してくれ、お風呂の準備をするように指示も出してくれた。

 ユベール殿下やクロキュス辺境伯がびしょ濡れで戻るのを伝え、滞在している客間に入り服を着替える。


 お風呂に入って冷静になると誰にも告げずに屋敷に戻ってしまったのを後悔した。せめて誰かに一言伝えておけば良かった。

 いつき達はそんなの気にする必要はないと言ってくれるが、皆が居る場所まで戻ろうか悩んでいるとドアがノックされる。


「レイさん、入ってもいいですか?」

 ユベール殿下だ。良かった、屋敷に戻って来たんだ。

 ドアを開け部屋に招き入れる。


「何も言わずに戻ってしまって申し訳ありませんでした」


「いや、それはいいんだ。……レイさん、嫌な思いさせちゃってごめん」

「いえ、私は私の仕事をするだけですから……前回美姫が来て雨が降らなかったのはわかるんですけど、あの子の事だから失敗しても皆の庇護欲を掻き立てるくらいの振る舞いをしていたんじゃないかなって思うんです。…それにしては皆さんの怒りが激しかったなと思って…」

「話を聞いただけだから事実はわからないけど、このクロキュス邸が国境地帯で昔は紛争が絶えなかったし、魔物も王都に比べれば多く出る。だから他の貴族の屋敷に比べて要塞のように頑丈で武骨なものになっているんだ。お城のような豪華な屋敷じゃなかったのが気に入らなかったみたい。だからこの辺境伯ではかなり機嫌が悪く、失敗してもふてぶてしい態度をとったみたいだよ」


「そーなんだ…」

 あの美姫がね……お姫様のような扱いを受けて勘違いしちゃったのかな?日本にいた頃からチヤホヤされるのは慣れてるから勘違いなんてしないと思うけど。皆の前でそんな態度をしたら良い子の美姫が崩れちゃうのに…

 ああ、私というストレス発散する場が無かったからストレス溜めてたのか!しかも騎士団の寮から私を連れ出すのに失敗した挙げ句、恥をかかされたと感じて余計ストレスが溜まっていたのかも。


「嫌な思いさせてしまったのにお願いするのは心苦しいけど、午後小麦だけでも収穫できるまでにしてもらってもいいかな?」

 その問いかけにユベール殿下へ意識を向けると、ユベール殿下が申し訳なさそうに俯いていた。


「予定通りりんごも小麦も収穫しましょう?」


 ユベール殿下がパッと顔を上げ笑顔になる。うわっ、イケメンの笑顔直視できない!眩しい!


「ありがとう!レイさん」


 昼食後、使用人の皆さんと一緒に小麦とりんごを植えるためにクロキュス辺境伯に案内され屋敷の門を出ると領民達が大勢屋敷の前に詰めかけていた。


「愛し子様、疑って悪かった!ありがとう!」

「本当にごめんなさい!」


 その言葉にあわせて一斉に皆がお辞儀する。


「いえ、そんな謝ってもらわなくても気にしませんから」

(そんなこと言っていいの?レイ)

(うん、自分達の生活が苦しかったら心に余裕無いのは理解できるし)


「ありがとうございます!」


「皆レイさんに謝りたいって、キツイ言葉をレイさんに向けてしまったと後悔していた。午後は種蒔きがあるから謝るのならついでに手伝って欲しいとお願いしたんだ。皆に手伝ってもらい終わらせてしまおう」


「はい、ユベール殿下。正直朝は少し怖かったので、皆さんが冷静になって手伝ってくれて嬉しいです」


「この荒れ地に緑を取り戻そう。皆手伝ってくれ」


 ユベール殿下の声とともに皆が協力して無事に全ての収穫を終えたのは辺りが茜色に染まる頃だった。



評価、ブクマありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ