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「おお!ゴールデンパールですな?お似合いです、愛し子殿。まさに殿下の髪の色ではないですか」
うん?こっちの世界って婚約者の髪や瞳の色を身につけるって…
うわっ、ホント勘弁してほしい。
「殿下の初恋ですかな?」
「愛し子殿ならお似合いですね」
「殿下が成人したらすぐに婚儀をしないとですね?」
晩餐の出席者達がまわりで色めき立っている。このままじゃ良くない。絶対に誤解されて変な噂が流れる。
「ユベール殿下ありがとうございます。でも、私には付き合っている人がいますので、ユベール殿下の色は身に付けられません。こちらはお返しします」
ネックレスを外して箱に戻す。
「ちょっと待って、レイさん!皆もからかわないで!そんなに深く考えないで!本当に初仕事のお礼だけだよ」
「勘繰ってしまって悪かったね、殿下は深い意味は無いと言っているのだから、受け取らないと殿下に恥をかかせることになるよ?」
フュシア侯爵はそう言っているが…
「そうなのですか?」
「当たり前ですよ、愛し子殿」
他の人達にも同意されてしまえば受け取るしかないだろう。
「…それじゃあ、ありがとうございます、ユベール殿下」
その後も道中、視察だと言って街を二人で歩きネックレスの様な宝飾品を贈られる事は無くなったが視察の度にペンや香油などを貰った。
クロキュス辺境伯の屋敷に到着し、持参したリンゴの種と小麦を荷物から取り出す。
「空き地にリンゴと小麦を植えてもいいですか?」
「はい、ですがそれを植えてどうなさるおつもりですか?」
クロキュス辺境伯はなぜそんなものを植えるか分からず不思議そうに首を傾げる。
「この地に適した植物が分からなかったので、寒い地方で栽培できるリンゴと主食に必要な小麦を育てておこうと思いまして…」
「今植えても収穫までには時間がかかるので、こちらで何を植えるかは考えますよ」
「僕達の力があれば一瞬で収穫できるけど、それでも必要ない?」
「すぐにでも収穫できるのですか?」
疑いの目で見ている。
「そう言ってる」
いつき、精霊の言葉を信じてないからって黒いオーラ出すの止めて!こっちがハラハラしちゃう!
「ならば、是非ともお願いしたい。案内します、こちらです」
邸から少し離れた場所に案内される。
「この一帯を好きに使ってください」
一面荒れ果てた土地を指し示す。
クロキュス辺境伯の領地に入る少し前から辺りの景色は茶色が多かった。草木は枯れ、地面がひび割れていて雨が長い間降っていない様子が伺える。
シャベルを借りリンゴは種を植え、少し離れた場所に小麦を蒔く。
「それじゃ、レイやろうか」
「うん、みんなお願いね?」
リンゴと小麦が育つように願いを込めて魔力を流す。
精霊達が力を貸してくれているので魔力は少し流すだけであっという間にリンゴが鈴生りに赤く育つ。小麦も黄金色が揺れている。
「何も無い所からは植物を生やすことができないので、今育てた物は収穫して種として使いたいので協力してください。収穫が終わったら雨を降らして土壌も改良してもらえるように精霊達にお願いします」
「あっ、ああ。手が空いてる者は収穫しよう」
呆気にとられていたクロキュス辺境伯は侍従さんに指示を出し、収穫に必要な道具と人を集めてきた。
手分けして全てを収穫する。
リンゴは種を取り、小麦は一粒づつにわけておく。
明日は雨を降らせて、土に栄養を与え、その後種蒔きがあるから忙しくなるよね。リンゴと小麦を今回収穫するだけなら土壌改良する必要は無いけど、継続して収穫するにはきちんとしておかなくちゃね。
夕食時、ユベール殿下とクロキュス辺境伯に明日の予定を話す。
明日は種蒔きがあるからドレスは着ないと告げる。
「明日レイさんは指示を出すだけでいいから、愛し子の御披露目としてドレスは着てほしい」
ユベール殿下はドレスで着飾ってほしいのだろうが、指示を出すのは苦手だし自分で動きたい。
それに御披露目するような大人数が集まってしまうと緊張してしまうからあまり人が集まらないようにお願いする。
種蒔きは御屋敷の使用人達が手伝ってくれるそうだ。人数が多いほど手分けして早く終わるだろう。
納得していない様子の二人だが、渋々了承してもらい早々にいつきと部屋に戻った。
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