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「レイさんお待たせ!行こうか」
いやいや、待ってませんから。買い物とかいらないですから。
はぁ、心の中で溜め息を吐く。いつきは私が戻ってくる時フュシア侯爵とユベール殿下達と話していた。ユベール殿下は抜け出したが、いつきはまだ皆で話しているのだろう。
「ユベール殿下とご一緒するなんて恐れ多くて…」
行きたくないって察してくれないかなぁ?
「これもレイさんにこの国を知ってもらいたいと思って組み込んでもらったんです。ぜひ一緒に行きましょう?」
察してくれないよねー。そんな言い方されたら断るわけにもいかないので、ユベール殿下が差し出した手に右手をのせる。
「はい…お願いします」
ユベール殿下も平民男性がよく着ている洋服を着ているが、王族のオーラが隠せてない。王族とはバレないかもしれないが、貴族がお忍びで買い物に来たと思われるだろう。いかにも平民な私が隣に並んで歩くのは憂鬱だな。
質素な馬車が用意してありその中に乗り込む。隠れるように馬に乗った護衛の人達も待機しているようだ。
商店街から少し離れた場所で馬車から降り歩く。
ユベール殿下と話すのは楽しいから嫌いではない。
ただ、馬車の中で二人きりだったり、商店街を視察の名目ではあるが二人で歩くなんていくら私がその気が無いと言っても、王妃は王太子妃やら側妃に迎えたいと言っているのだ。外堀から埋められていくようで嫌な感じだ。
「何か気になった物はありますか?欲しいものがあったら言ってください」
お店を覗く毎に聞いてくるが、美味しそうなお菓子が売っているお店でいつき達へのお土産にお菓子を沢山買おうとしたらユベール殿下がお金を払ってしまい、私が払うと言っても受け取ってもらえなかった。
(貢がせちゃえばいいじゃん)
一緒について来てくれたみぃは簡単に言うが、王家のお金はこの国の人達に課している税金だ。そんなお金を使うなんてできない。ユベール殿下と一緒の時はもう買い物はしないと心に決めた。
視察と言うだけあってユベール殿下は色々なお店に入ってしまう。
文具に雑貨に宝飾品、武器に洋服。
ユベール殿下は店員さんやお客さんに気軽に話しかけているため、ユベール殿下が話し込んでいる間に(エルネスト団長と一緒に選んだらどれを選ぶかなぁ)なんて空想しながら商品を眺めて楽しんだ。
視察と称した街歩きも終わり、フュシア侯爵邸での晩餐になる。お昼時と違い他家の貴族も呼ばれていたのか3組ほどの家族が食卓についていた。
挨拶を交わし恙無く食事も終わりデザートを食べながら歓談をしている時、ユベール殿下がフュシア侯爵に昼間の視察の話をふられ徐に細長いリボンがかかった箱を取り出した。
「レイさん、視察の時に買ったのですが受け取ってください」
「!…私ですか?」
「はい!」
どうしたら良いんだろう?皆の前で受け取らない選択肢ってありなの?王族からの贈り物を受け取らないってダメ?
「愛し子として初仕事のお礼とでも思ってください」
固まってしまった私にユベール殿下はそう言い私に向かってもう一度箱を差し出した。
「はい、ありがとうございます」
意を決して受けとる。
「レイさん、是非箱を開けてみてくれないだろうか?」
フュシア侯爵が言う。
「部屋であ「是非今開けてみてほしい!」」
ユベール殿下が私の言葉に被せて言う。
「………はい」
リボンをほどいて箱を開ける。
中には銀色のチェーンにトップは小ぶりの透明な石が縦に3つ並び、その下に金色っぽい一粒のパールがついているネックレスが入っていた。
「……」
(ネックレスなんて高価な物を彼氏でも無い人から貰うものではないよなぁ……この世界にキュービックジルコニアは無さそうだし、この石はダイヤモンド?)
絶句して、ネックレスを凝視してしまった私の後ろにユベール殿下がいつの間にか立っている。
「レイさん貸して?着けてあげる」
頭の中が真っ白な私は何も考えられずにただ、ユベール殿下に言われるがままにネックレスを着けてもらった。
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