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王族が一緒なだけあって、宿の部屋はその宿で一番ハイグレードの部屋とその階の部屋を全て貸し切りにするという。日本で親が生きていた時でさえ父親は普通の会社員だった私には信じられない感覚が王族には普通のようだ。これでもまだ宿屋丸ごと貸し切りにしないだけ質素だと言う。
騎士さん達と一緒に外のテントで寝ると言ったのだが聞き入れてもらえず、貸し切られた一室をいつきと二人で使う。ウンディーネとみぃももちろん一緒の部屋にいる。
夕食をユベール殿下の部屋で一緒に食べようと誘われたが疲れを理由に断った。
部屋に料理が運ばれてきてビーフシチューにパン、デザートに固めのプリンが出された。
ビーフシチューは肉と野菜がゴロゴロ入っていて良く煮込まれ肉は口の中でほろりとほどける。スープに野菜の旨味が溶け出している。
貴族と一緒に食卓を囲んだらタブーだろうと思うがパンにシチューを浸けて食べるのが私は好きだ。
プリンも卵の濃厚な味が口の中に広がり、しっかりとした固いプリンだが、口に入れると溶けてしまう。
う~ん、美味しい!やっぱり食事は一番の楽しみ。
食後はゆっくりみんなでだらけているとコンコンとドアをノックする音が響く。
いつきと顔を見合せて一瞬悩むが扉に近づく。
「はい」
「レイ様、入浴のお手伝いをさせていただきます」
「えっ、一人で入れます」
「申し訳ありません、明日はフュシア侯爵のお屋敷にお世話になりますのでお身体を磨きあげます。入室を許可してくださいませ」
「それはやらなくてはいけませんか?」
「はい。貴族のお屋敷にお伺いするのです。磨き上げていただきませんと失礼にあたります」
「レイ様は普段御自身で入浴するだけで身体を磨く事は無いと伺っています。殿下からも明日のために準備をするように言われているので開けてくださいませ?」
「…はい」
カチャリ
鍵を開けると侍女さん4人が荷物を大量に携え部屋に入ってくる。
「それでは準備をしてまいります。お待ちください」
そう言うと2人はお風呂場に、あとの2人はベッドに荷物を持って行ってしまった。
「お待たせいたしました。レイ様こちらへどうぞ」
浴室に促される。脱衣所に入るとワンピースに手を掛けられる。
「あ、あの自分で脱ぎますから…」
「いえ、私共の仕事ですのでレイ様はそのままで」
「えっ、ちょっ……」
オロオロしているうちに服を剥がれ、浴槽に押し込まれる。
あれよあれよと全身くまなく洗われガウンを着せられベッドに寝かされる。
ベッドのシーツの上に持ち込んだ厚手の布を敷き柑橘の爽やかな香りのオイルを全身に塗られマッサージされる。気持ちいいなんてとんでもない!痛くて悶えまくる。
その後も顔のマッサージや髪に全身マッサージに使った香りと同じ香りのオイルを塗られ弄られる。初めての経験に緊張と痛さで終わる頃にはヘトヘトになっていた。
「おつかれ、レイ」
「うう、疲れた……」
「女子の憧れじゃないの?あんなに全身お手入れされて」
「そうかもしれないけど…マッサージめちゃくちゃ痛いし裸を人に見られるのも嫌だよ…私には合わない。明日朝からドレス着なくちゃなんだって!お屋敷につく頃には疲れちゃって礼儀どころじゃないよ」
「馬車の中もドレスじゃたいへんそうだよね」
(でもレイのドレス姿楽しみだね!)
(そうね!レイのドレス姿綺麗でしょうね)
「いつものワンピースがいいよぉ」
ぐったり疲れはてた私は朝まで爆睡したのだった。
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フュシア侯爵邸にはお昼を少し過ぎた頃には到着した。
(もっと強行軍で移動していいのに。早く終わらせて寮に帰りたい)
フュシア侯爵は穏やかな印象で、礼儀作法ができていない私を叱責することもなく見守ってくれているように感じた。
侯爵邸でお昼ご飯を食べる。
食事が終わると侍女さんに連れられ自分に与えられた客室に入る。
訳も分からずいつものワンピースに着替えさせられる。
「これから殿下と街に視察に出てもらいます。視察と言っても殿下とお買い物を楽しんでいただくだけです」
「はいっ?!」
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