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二人きりではないとは言え、執事さんやらメイドさん、護衛騎士さんも話し声が聞こえない程度の距離を取っている。
第2王子はまだあどけなさの残る顔立ちなので、恋愛的な意味で男女二人で会っていたと噂にならないよね?王妃様が王太子妃なんて言うから気になってしまう。
でもこれって誤解されちゃうシチュエーション?王子様なら小さい頃から婚約者がいてもおかしくはない。修羅場に巻き込まれるなんてないよね?王族からのお誘いを断る事なんてできないんだし…
疑問が浮かびつつもこの国の貴族のマナーなんて知らないので、疑問を今ここで口に出すことはできなかった。
「私もレイさんとお呼びしてもいいですか?」
椅子に座り優雅に茶器を持ちながら話し始める。
「はい。構いません」
「ありがとうございます。私の事もぜひユベールとお呼びください」
「それ、は…畏れ多くて呼べません」
「そんな…是非名前で呼んで欲しいです」
そ、そんな残念そうな顔をされても…なんだか殿下に犬の耳が見えてしまう。しゅんとした耳が垂れてる映像が浮かんでしまった。
「では、ユベール殿下と…」
ぱあっっと顔を綻ばせる。
「それじゃあレイさん、僕は貴女の事が知りたい。たくさん話をしよう!」
私じゃなくて僕になってる。第1王子の弟だから私達よりかなり年下なのだろうか?確か第1王子は1つ年下だったような……?
話によると3学年下で、今学園に通っているという。
学園での話はやはり年相応で親しみ易く、弟ができたような気持ちだ。
日本での学生時代の話や、この世界との違いなど、好奇心旺盛のようで質問が絶えない。
気がつくと日が傾き始めている。
「申し訳ありません、長々とお邪魔してしまって。お忙しいのに時間を作って頂きありがとうございました」
「いや、僕はまだ離れたくありません。ずっと王宮で過ごしませんか?時間が空いた時にレイさんに会いに行ける」
「勿体ないお言葉ですが、私は王宮で生活できそうにありません。下女として雇ってもらえるなら考えますけど」
「フッ、下女ですか?なんなら僕の専属メイドになりますか?」
「メイドさんなんてとんでもない!畏れ多いです!私は何もできませんよ?」
顔を見合わせて笑う。
「肝心の話を忘れてしまったが、日程と詳細が決まったらまたお茶をしてくれますか?」
「庶民の私には王宮は似合わないので、出来れば手紙で知らせていただけると嬉しいです」
「そうか、残念!それじゃ、出発日にまた会いましょう。今日はありがとう、レイさん」
「お忙しい中ありがとうございました」
お辞儀してユベール殿下が見えなくなるまで見送る。
元の服に着替えて馬車で寮まで送ってもらう。
寮に入ると団長が駆け寄ってくる。
「レイ、嫌な事されなかったか?大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。はじめは王妃様と少し話をして、その後ユベール殿下がいらして2人で話しただけなんで」
「2人でだと!」
「少し離れてメイドさんも執事さんも護衛騎士さんもいましたよ」
「どこでお茶会だったんだ?」
「庭園です。案内もしてもらいましたよ」
「そうか…」
?何か考え込んじゃってる?変な事しちゃった?
「団長…?」
「あっ、ああ、すまない。それで、殿下の印象はどうだった?」
「こんな弟がいたら良かったなぁって思いましたね。可愛かったですよ」
「かわいかった……」
あっ、ヤバい団長の目が死んでる!可愛かったは良くなかったよね。
「だ、団長?」
「いや、レイも年齢が近い奴と一緒にいる方が楽しいよな」
フラフラしながら背を向けて元来た道へ戻ってしまう。
「ちょっと待ってください。団長!」
ガシッと両手で左腕を捕まえる。私を引きずったまま廊下を歩く。
「誤解させたなら謝ります!ユベール殿下に男性として魅力を感じてません。団長は頼りになるし優しいし、男性として魅力的です!」
ピタッと歩みが止まる。
あっ、これはこれで失敗したかも!
そう思った時にはギューッと抱きしめられていた。
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