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 騎士さんが案内してくれたのは王宮の客間の一室のようだ。窓からは綺麗に手入れされた庭園が見える。想像していたよりは狭い部屋のテーブルに可愛らしい一口サイズのお菓子が並べられている。

 部屋に入ると王様が立ち上がって迎えてくれる。

「よく来てくれた。ありがとう。すぐに王妃も来るがここでは堅苦しくしなくても良い。こちらが敬うべきなのだからな」

「そうだね」

 って全肯定ですか、いつき君。相変わらずの態度だな。


 しばらくすると王妃様が護衛や侍女を従えて入ってきた。

「世界樹の精霊様、愛し子様初めまして。ジャサント·ルピナスです。よろしくお願いしますね」

 慌てて立ち上がり挨拶をしようと団長が言葉を発するも手で制されてしまう。

「本当に気楽なお茶会にしましょ?座って?」と王妃様はニッコリと微笑む。


 他愛もない話を緊張しながら受け答えし、少し緊張が溶けた頃、王様からこれからの話をしようと提案される。

「ぜひ、愛し子殿といつき殿の力を借りたい。今この国は土地が痩せてきてしまって作物が育たず荒れ地が広がりつつある。生活に困った民が盗賊や山賊に堕ちてしまっている。国境の森や山も荒れているのか魔物が頻繁に目撃もされている。土地を潤し、先の治癒の力でどうかエルネスト達第3騎士団の手助けもしてもらえないだろうか?」


「待ってください陛下!それは魔物討伐の遠征に同行しろと言う事になるのですか?野宿したり危険な目に合うのは私は反対です!」

「イヤ、野宿をさせるとは言ってないぞ」

「ですが、討伐の遠征は何が起こるか読めないのです!現地に着くまで拠点の様に大々的にテントなど張らないのです。そんな場所にレイを連れていきたくはない」

 苦しそうに顔を歪めながら団長は話す。

 魔物討伐部隊が苛酷なんだろうな。常に死と隣り合わせの仕事だ。自分で自分を守れる者、力のある者じゃなければ同行しろなどと言えないだろう。


「それなら、何故今まで愛し子だと言われていたミキは遠征に参加させなかったのですか?ミキは王族のような扱いで辺境までまるで優雅な旅行をしてきただけではありませんか!それこそ自分達がレイに言っていた、人の税金で暮らしているではありませんか!しかもかなりの贅沢をして!」

「団長、ありがとうございます。…心の奥では勿論おかしいでしょって考える時もあります。でも皆平等じゃないのも知っていますし、恵まれている人とそうじゃない人がいるのも知っています。美姫達は恵まれた環境だった、それだけです。だから、それを羨むのではなく自分でできる事をやるだけ。それに私は王宮で生活したいとは思いませんから」

「レイ、全てを諦めなくていいんだ。そんな全てを諦めて自分を納得させなくてもいい…」

「そうなんでしょうか……そんなつもりは…」

「そこは本当にすまなかった。カミーユがミキ殿の後ろ楯になってたが、当たりの強い貴族達もおったからこの国での生活に慣れてもらうのも必要であろう?」

「当たりが強いと言うのなら、レイはあいつらのせいでよっぽど白い目で見られていました。俺も最初はあいつらの言葉を聞いてレイと距離を置くか悩んだんです!人の言葉を鵜呑みにしないでレイ自身と向き合うと初めに決めたが、寮の奴等もその言葉を信じているものもいました。よほどレイの方が辛かった筈です」

「あ、あのありがとうございます。私は大丈夫です。皆さんに親切にしてもらっているので…」

 団長の熱弁に恥ずかしくて顔を上げられない。

「あら、エルネストは随分とレイさんを大切に思っているのかしら?」

「勿論です。こんなに頑張っているのを応援したくなるのは当然です」

「あら?応援しているだけなのね?それじゃあ第2王子のお妃候補にしても良いかしら?愛し子を王太子妃になんて素敵ですものねぇ?」


「「はあ?」」






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