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 アレク団長とのやり取りをどこか遠くに感じながら眺める。


(ああ、牢屋に連れて行かれなくて済むのか。良かった)

 体から力が抜けていく。

「ふぅ」

 気が緩みため息がこぼれる。

「レイ、騙してるみたいで悪かったな。王都の中は近衛騎士も第1、第2騎士団も殿下の命令で俺達を探していた。気を抜く訳にはいかないし誰かに聞かれるのは避けたかったから黙っていた。すまなかった」

「そんな、…無事に着いて良かったです」


「さて、あとは陛下に謁見ですね。ここに保護したのは手紙で知らせました。陛下が時間を取れる時に謁見をお願いしてありますから、連絡が来るまで待つしかないですね」

「何から何まで本当にありがとう」


「保護している間の生活がどうしても心地良い環境にしてあげられないんです。下手に動いて疑われるのも困りますし…会議室にソファーを運んで眠ってもらうか、容疑者を何日か収容する部屋にはベッドがありますので、そこで過ごしてもらうかどちらかになってしまいます」


「レイはどっちがいい?」

「どちらでも構わないですが、1人になるのは今は怖いです。誰かに捕まってしまったら、戦う術をもっていませんから…」

「それじゃ、会議室を一室借りるか。アレク殿、会議室を貸してください」

「わかりました。鍵のかかる部屋を準備します」


「第3騎士団はどうなっていますか?」

「殿下の嫌がらせで遠征に物質も人員も最低限しか持たせなかったのが陛下に知られましたから、捕まってはいません。ただ、規則を破ったのも事実なので、今は寮で謹慎、交代で騎士が寮に泊まり込んで見張っています。エルネスト団長が帰って来るのを見張るのも兼ねてます。その後3ヶ月の減給ですね」

「そうですか、捕まらなくて良かった」

 ホッと胸を撫で下ろす。

 団長も肩の力が抜けたのが見えた。言葉には出さなかったけど、心底心配していたから安心したのだろう。


「陛下との謁見にドレスの準備をできる程時間がないと思うのですが、洋服はどのような物をお持ちですか?」

「平民が着ている動きやすいワンピースか騎士服しかありません」

「すまん、寮で過ごすようになってから洋服の事なんか頭に無くて、ずっと騎士服で過ごさせてしまっていたんだ。だから、洋服もそんなに持っていない。しかも寮の雑用で自分で稼いだ金で服も買っている」


「そうなのですね。一緒に転移してきたのに全く違う待遇で、愛し子ではない3人がドレスや宝石を買い漁っていたなんて……自分の目はどれだけ節穴だったのか…本当に申し訳ない」

「私はドレスや宝石にあまり興味が無いので気にしないでください。実は私も転移して直ぐに愛し子だと知った訳でも無くて、美姫も本物の愛し子だと思っていたくらいですから!」


「ああ、それと殿下と愛し子はマルグリット辺境伯の領地を愛し子の力で豊かにしてほしいと陛下が仰って、行きに1週間もの行程を使い向かいました」

「随分とゆっくりで旅行気分だな」

「はい、もう2週間経ちますからいつ帰ってきてもおかしくないので、帰って来るまでには陛下に謁見したいですね」


「あの、馬車と御者さんはどうしましたか?」

「ああ、心配いりません。すでに形だけ話を聞いて釈放されましたから。エルネスト団長の馬は預かっています。この時間から帰すのも悪いので、御者の方が望むなら一晩泊まって貰おうと思っています」


「ありがとうございます。心遣い感謝します」


 団長は立ち上がり深々と頭を下げた。



「あっ、僕チーズとお菓子食べたい!よろしくね?第2騎士団の団長さん」


い、いつき相変わらずマイペースですね……






お読みいただきありがとうございます。


ブクマ、評価ありがとうございます!

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