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街道にも騎士の姿がチラホラ見え始めた。
通り過ぎる際に馬車の中をあからさまに覗いていく。
流石に御者を団長と変更して貰う。馬車の中は御者さんと私、いつきの3人になる。御者さんはまだ若く髪は茶色だけれど、黄色がかった淡い茶色だ。瞳も茶色なので馬車の中は流れている情報とは違う。もしかしたらこのまま上手く寮まで行けるんじゃないか!なんて淡い期待を抱いちゃうよね。
王都に入る前の最後の森を走っていると、前から馬に乗った騎士が向かってくる。
「申し訳ありません、ご協力お願いします。荷物を確認させてもらいたいのですが」
大声で叫んで馬車を止める。団長はフードを深く被り俯いて騎士達をやり過ごす。
どこに向かうのか、どこから来たのか細かいやり取りが続く。今まではこんなやり取りしないで簡単にやり過ごせていたのに……。
馬車のドアが開き騎士さんが覗き込む。
「王都に危険な薬物を持ち込もうとしている人物が居ると報告があり、荷物を全て確認させていただきます」
「全てですか?」
「はい」
ヤバい!団長の騎士服も私の騎士服も荷物の中には入っている。ただ、私達を探している訳では無さそうだから大丈夫だろうか?
「荷物を全て渡してください」
「……はい」
一人の騎士さんは外で荷物を出している。もう一人は馬車のドアを押さえながら私達が出入り出来ないように塞いでいるようだ。
「ありがとうございます。一度降りて貰っても宜しいでしょうか?こちらに御者さんも来て待っていてください」
少し離れた木の下で待たされる。一人の騎士さんが近くで様子を伺っているので、団長と話も出来ない。
馬車の中を見ていた騎士が向かって来る。
「こちらの馬車にこのような物が隠してあったのですが心当たりはありますか?」
「なっ」
「出発する時にそんな物は無かった筈だ」
小さい小瓶に何やらピンク色のトロっとした液体が入っている。
「濡れ衣です!そんな物今初めて見ました!私達の持ち物ではありません!」
御者さんも首をコクコク縦に振って同意している。
「御者さん、少しこちらに来て貰えますか?」
団長に視線を合わせて言う。
「はい」
団長と一人の騎士さんは馬車まで戻って何やら話をしている。
どうしよう……騎士団に捕まってしまったら罪人にされてしまうの?
いつきと握る手にぎゅっと力が入る。
いつきは何を考えてるのか全く分からない。こんな状況なのにずっとニコニコしている。楽しそうだ。
漸く団長と騎士さんが戻って来て騎士さんが説明を始めた。
「これから参考人として王城の第2騎士団本部まで一緒に来て貰います。その後お話を聞きますので、逃げようなどと考えないでください」
一人一人目を合わせながら話す。さすが騎士さん、圧が凄いです。
「本当に何も知らないです!」
御者さんが必死に叫ぶ。
「全て騎士団本部で聞きますので付いてきてください」
有無を言わさず、絶対に行かなくちゃダメな奴だ。どうしよう……捕まったらみぃやいつきが助けてくれるだろう。でも、美姫のやる事だ何を王子様におねだりするのか見当もつかない。最高権力者の後ろ楯がついたのだから、私に対してはやりたい放題だろうな。
あーっ!もうほっといてよ!ただのストレスの捌け口なだけなんだから。人を陥れてストレス発散なんかするなよ!
悔しくて、悲しくて、いろんな気持ちがぐちゃぐちゃになって体が震えてくる。目の前に靄がかかる。そんな私をいつきがそっと両手でつないでいる手を包んでくれる。
言葉は無いけど、大丈夫だと言ってくれているんだろう。
負けるな、下を向くな。みんなが守ってくれる。団長もできる範囲でずっと守ってくれている。
グッと歯をくいしばり前を見据える。
「私達は潔白です。ですが騎士団まで来いと言うなら行きます。何も悪い事はしていないのだから胸を張って行きましょう」
一瞬団長が意味深な笑みを浮かべた気がするが気のせいだったのだろうか?
「それでは我々の後に付いてきてください」
団長が手綱を握り、馬車は動き出した。
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