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朝になりテントを片付けて出発する。
「レイ、こっちだ」
団長が馬を引いて近づいてくる。
「皆には別行動って言ってあるんですか?」
「…ああ、今からな」
言ってないんかい!
心の中で突っ込みを入れてしまった。団長任せにしている私は文句を言ってはいけないけど…
出発の準備が整い皆が集まる。
「騎士団本部まで気を抜かずに行ってくれ。先頭にアベル、殿をサイラスに任せる。俺はレイと別の道で少し時間をかけて戻る。殿下は俺達が帰ってくるのを捕まえる為に待っている筈だ。陛下に手紙を書いたが、読んでいるかも不明、協力してくれるかも不明だ。規則を破って応援に駆けつけてくれたから、殿下はそれを理由に捕まえるつもりだろう。すまないが、俺達が戻ったら何とかするから大人しく殿下に従っていてくれ」
団長が皆に向かって深々と頭を下げる。
「何か策があって廻り道をするのですか?」
「少し遅く戻ったとしても意味ないですよね?」
「もしかして2人で駆け落ちしちゃうとか?」
「はい、皆さんそこまで!言いたい事もたくさんあると思いますが、今は団長を信じてあげましょう。ねっ、団長」
アベルさんが助けてくれる。
「本当にすまない。今は俺を信じてくれ。絶対に逃げないし、見捨てない。これ以上の理不尽に対抗する為にも必要な行動なんだ」
「……わかりました。団長を信じます。」
「ありがとう。それじゃ、ここでお別れだ。気をつけて帰ってくれ」
「「はい」」
アベルさんを先頭に皆動き出す。2人で皆が見えなくなる迄見送る。
「行っちゃいましたね」
「ああ、淋しいのか?」
「それは淋しくないと言ったら嘘になります。私にとってはこれからの方が不安だし……」
「俺と一緒だろ?精霊も俺には見えないけど一緒に居てくれるんだ。それにレイの愛し子の力は凄いぞ。俺はその力を実際体験しているからな」
「……あの時は団長が居なくなっちゃうかもしれないと思って必死だったから…」
「………」
団長からの言葉が帰ってこなくて顔をあげると、団長は額に拳を当てて上を向いていた。その顔は真っ赤に染まっていた。
「俺を想って力を使ってくれたのか?」
「居なくなっちゃうって考えたら怖くて…」
ぎゆっっと抱き締められる。
「あー、レイがそう思ってくれてたなんてな。すげー嬉しいな。まずい、離したくない。ずっとレイを堪能していたい」
「そろそろ出発しませんか?」
「温度差が切ないな…」
団長が何か呟きながら離れた。
(はい、イチャイチャ終わった~?)
足にすり寄るようにみぃが現れた。
(まったく、いっつもイチャイチャしてるんだから~、ぼく恥ずかしくて見てられないよ)
(そっ、そんないつもイチャイチャしてないよ!)
恥ずかしい……姿を見せてなくてもみぃはいつも近くで見守ってくれているんだよね。
「ほら、みぃって奴もそこに居るんだろ?馬に乗るぞ」
団長は私の腰に手を当てて軽々と馬の上に乗せてくれる。自分も軽々と馬に乗り片手で手綱を握り、片方の腕は私のお腹を支える。みぃは団長の腕にしがみついてる。
「アベルともこんな密着して来たのか?」
「えっ、馬に乗る為に必要な距離だけです。しかも馬が速くてそれどころじゃなかった!」
もう、思い出させないで、ちょっとアベルさんの腕が逞しいと思っちゃったり、色々恥ずかしいから。
「そうか、で、どこに向かえばいいんだ?教えてくれ」
(王都から南東の国境地帯だよ)
「王都から南東の国境地帯だそうです」
「南東はデトワール王国との国境か。レイ、みぃの案内を俺に伝えてくれ」
「はい」
「とりあえず、騎士服だと目立つから大きめの街に寄って服を買うぞ。レイも買いたいものがあれば久しぶりに街を歩こう」
「旅行みたい!嬉しい。楽しみです!」
「それじゃあ出発するぞ」
ゆっくり馬が動き出した。
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