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42 美姫視点―2

不快な表現あります。注意してください。

 カミーユに条件を出す。

 大きい宿に泊まる事、温かい食事にお風呂、揺れの無い馬車、途中大きな街があったら買い物をする。

 今はそれ位しか思いつかないけど、何かあったらその都度伝えれば良い。


 怜を捕まえるのはどうするのか?と聞くと、慌てなくても戻ってきてから時間を取れると。今は接点が無いのだから嫌なら態々会いに行く必要も無い。顔も性格も悪いのは理解したがなぜそんなに嫌いなのか?なんて聞いてくるの。

 だって、人が働いて払った税金で生きてるのよ?だから養っている私達が何をしてもいいの。

 私は怜を養いたくないから追い出すの。当然でしょ?

 穀潰しなんていらないから。

「それを言ったらスラム街の奴等も同じだな。追い出さなくちゃいけないな」

 さすが、カミーユ分かってくれるのね!帰ってきたらスラム街の貧民と一緒に怜を追い出すのも苦痛を与えるのにはちょうど良いかもね。死にたいと思う程凌辱されればいい。




 北の辺境に向かう日、愛し子の初仕事と言う事で見送りには物凄い数の貴族や使用人が馬車の周りに集まった。行きに1週間程かけたゆっくりとした旅程だ。護衛の騎士達が馬車の周りを固め、魔導師が乗る馬車、私のドレスや宝飾品を載せた馬車、騎士達が野営する道具などを積んだ馬車とかなりの台数の馬車が連なる。

 ゆっくりと馬車は進む。3回は領主の邸に泊まることが出来た。どこも豪華なお屋敷で贅沢な食事も用意され、メイドに肌や髪を磨いて貰えたので道中気分良く過ごせたわ。


 豊かな土壌にしてほしいと言う領地の辺境伯の邸は貧相と言うか要塞の様な、居心地が悪そうな建物だった。ここに3日も泊まらなくてはいけないなんて…せっかく気分が良かったのにテンション下がっちゃう。

 作物がろくに育たなくなってしまったと言うのだから領地自体が貧しいのだろう。

 今日はゆっくり休んで、明日精霊にお願いすればすぐに王都に戻れるだろう。



 次の日お昼近くに目を覚まし、準備をする。外に出て荒れ地に案内される。この一帯を豊かな土壌にしてほしいと。

 どこで話を聞いたのか野次馬だらけ。まぁ、いいわ。周りは気にせずお願いをするように胸の前で手を組む。目を閉じ精霊にお願いする。

(精霊達、美姫に力を貸して!この土地一帯を豊かな土壌にしてほしいの)

 何も起こらない。心の中でずっとお願いをし続ける。

 15分20分と時間が無情にも過ぎていく。

 見物人がざわざわと小声で話し出す。

「何にも起こらないぞ」

「どうしたんだ」

「愛し子なんて嘘なんじゃないか?」

 色々な雑音が聞こえてくる。


「ああっ、もうっ、集中できないじゃない!もう止めるわっ!」

「もう少しだけお願いします。死活問題なんです」

 農民だろうか?精霊にお願いしているのにごちゃごちゃうるさいのが悪い。

 その場を去ろうとする私の腕を掴もうと騎士をすり抜け手を伸ばす。

「やめてっ!」

 手を振り払う。振り払った手から水が勢い良く出て人々を濡らす。

 見物人の喧騒を聞きながら邸に戻るために歩きだした。

 その時一瞬ザァと雨が降るも渇いた土地を濡らす迄もなく止んでしまった。

 でも、雨は降ったわ。これは私がお願いした結果よ。これで仕事は終わり。土壌が豊かになったかなんてどうやって調べるのよ。もしかしたら、もう豊かになってるかもしれないじゃない。充分よ!

「カミーユ、雨は降ったわ!王都に戻りましょ?土壌が豊かになったかなんて調べられないじゃない?きっともう豊かになっているわ」

「そうだな。調べようが無いな」


 領主にも目に見えない事柄だからきっと土壌は豊かになった筈だと王子が伝え、翌朝には領主の邸を出発した。






お読みいただきありがとうございます。

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