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夜のうちに団長は手紙を書き上げ、リディさんに託す。
手紙はアレク団長の生家のハイドランジア侯爵家にリディさんが令嬢の姿で持って行く。そこで手紙をなるべく早くアレク団長が生活する第2騎士団の寮に届けて貰う。そこからアレク団長が陛下に謁見して手紙を渡して貰うと言うなんともめんどくさい行程だ。しかも必ず協力して貰えるとは限らない。
「団長が自ら行ってもいいんですよ?」
「イヤ、自ら届けに行きたいんだが俺はここに残って責任持って討伐を終わらせなくてはならない。
非常に残念だか伯爵令嬢のリディに泣く泣くお願いするんだ」
胡散臭い顔だな…
「団長…心にも無い事言わないでください!うちは騎士の家系なので、令嬢らしくするの大嫌いなんです!魔物を相手してる方が好きなのに…」
「すまん、レイを助けるためにも協力してくれ」
真面目な顔で団長がリディさんに頭を下げる。
「リディさん、ごめんなさい」
慌てて私も頭を下げる。
「レイさんが謝ることは無いのよ?団長の人選を恨んでいるだけで……団長命令だから勿論引き受けるわよ」
笑いながらリディさんは言ってくれる。
「すまない。きちんと宿を取って休んでくれよ。殿下に気付かれないように手紙を陛下に届けて貰ってくれ」
「はい。それじゃ、行ってきます」
「頼んだぞ。気を付けて行け!」
馬に乗ったリディさんはあっという間に見えなくなってしまった。
その日の昼過ぎ、馬車も拠点に着いた。
スピードをなるべく落として来たが殿下に追い付かれなかったそうだ。
おそらく寮に帰ってから騎士団全体に何かしら罰を与えて、それを盾に私を引き渡せと言ってくるんじゃないかと団長とアベルさんは考えているそうだ。
何事も無く日々は過ぎ、団長から話があると呼ばれる。
「レイ、討伐が終わったらこのまま2人で精霊の森に向かうか?陛下に手紙が渡ったとしても殿下の暴走を止めてくれるかは不明だ。だったら、精霊の森に行って精霊のお願いを叶えてしまおう。それが終わればレイが愛し子だと知られても大丈夫か?」
「私はもう覚悟は決まっています。でも、そんな事したら団長の立場が!報告も無く逃亡したとみなされて罪に問われるかもしれないじゃないですか!」
「あの女が執拗にレイを狙っている。本当は目立たず静かに生活させてやりたかったがあの女が偽者でレイが本物の愛し子だと陛下に認めて貰えれば国からも保護される。力不足で情けない。俺が守るって言ったのに……」
そんな苦しそうな顔しないでほしい。団長は私を守ってくれている。ちゃんと伝えないと…
俯いている団長の頬に両手を伸ばして包み込む。少し爪先立ちしてそっと触れるだけのキスをする。
「いつも守って貰ってます。ありがとう。団長が居なかったら私、この世界でこんなに充実した生活できなかった。精霊達と皆がいるから美姫に何を言われようが…勿論傷つくけど、前を向いていられるんです」
きつく抱き締められ今度は団長からキスされる。だんだんと深く激しく口内を攻められ頭の中が真っ白になってしまう。
「…あっ……んんっ」
息が苦しくて団長から離れようと胸を押す。
「はぁ」
やっとはなれた唇から吐息が漏れ身体の力が抜けてしまい団長にもたれ掛かる。
「レイから口づけしてくれるなんてな」
「言わないで」
改めて言われ、顔に熱が集まる。
「またしてくれよな。待ってるから」
「待たなくていいですっ!
みぃに精霊の森がどこにあるのか、突然行っても良いのか聞いてみます」
「ああ、頼む。陛下には俺達が戻るタイミングで偽愛し子と殿下を辺境の水不足の街へ行ってその力を使って貰うように手紙でお願いをしたんだが、どうなるか分からない」
私を抱き締め髪を撫でながら話す。
(みぃ姿を見せないだけできっと今も見てるんだろうな。みぃ、ここから精霊の森に直接行くと何日位かかる?突然行っても平気?)
(レイ、イチャイチャしてるの邪魔したくないんだけど?精霊の森は寮からここに来たのと同じ位で行けるんじゃない?いつ来ても歓迎するって言ってるでしょ?)
(わかった。ありがと)
「あの、精霊の森は寮からここに来たのと同じ位で行けて、いつ来ても歓迎してくれるそうです」
「そうか、それじゃあ討伐が終わり次第2人で向かおう」
ついにその時が来たのか。
私に出来るのか不安だけど、やれるだけやってみよう。
(みぃ、行く時は案内お願いね)
お読みいただきありがとうございます。




