26-美姫視点
今日は精霊の愛し子のお披露目パレード。
私が主役。二週間もない準備期間は短いけれど、お肌の調子もバッチリ、髪も艶々。ドレスも王族お抱えのお針子さんに徹夜で作ってもらったので間に合った。
城下町の商店街で多くの人が切りつけられ怪我をしたのに、不思議な力で皆が一瞬で治ってしまったと噂が聞こえてきたのは騒動の次の日。
学園に通うために商人を呼んで買い物をしていた時だ。色々な商人が出入りしていたが、専ら騒動の話ばかりだった。
皆興奮した様子で身振り手振り話してくれる。
夕方になりいつものようにカミーユが部屋に来る。
カミーユは部屋に入るなり抱き締めてくる。
「ミキは優しいな。さすが精霊から愛されているだけある。昨日の奇跡は愛し子のミキの力だろう?」
髪に口づけを落とす。
「人々の為に力を惜しまず奇跡を起こせる人が妃に相応しいと思わないか?」
そんな事を言われ有頂天になってしまう。
私が王妃になるの?!
「無意識に力を使っていたのでしょうか?私の力とは思えないのですが…」
顎に指を当て小首を傾げて言う。
「ミキの内にある優しさが危機を察し、無意識に力が出ていたのだろう。精霊達がミキの為に助けてくれたんだ。ミキが愛し子なんだろ?」
「そうかもしれないですね」
「ああ、ミキの力だ」
抱き締める腕に力が入る。
嬉しい。この世界でも私は安泰ね?
カミーユが腕を緩め、目を見つめる。
「ミキ、すまないが明日、議会でミキの力だったと証言してほしい。いくら私がミキの力だと言っても(確認はするべき)と、うるさい貴族や騎士団の団長が居てな。明日迎えに来る」
「はい。分かりました」
それから隣あって座り腕を絡めながらお茶とお菓子を食べ、他愛もない話をして過ごした。
次の日、カミーユが迎えに来て王宮の一室に向かう。
室内に入るといかにも偉そうな人々が揃っている。
もう話し合いはとっくに始まっていたらしい。
カミーユが皆に向かい言う。
「本人の言葉を聞いてもらう。愛し子のミキ。先日の騒動で、精霊がミキを助けるために奇跡を起こしたのであろう?」
「私が精霊にお願いしました。怪我をした人を放っておく事なんてできませんから」
議会は騒然となる。
ようやく落ち着いてきた頃、第2騎士団の団長と言う人が質問をしてきた。
「ミキ殿は騒動の近く、騒ぎに気がつくくらいの距離にいたのですか?近くに居なかったとしたらどうやってその騒動を知ったのですか?」
ああ、めんどくさい人。愛し子の力ってだけで良いじゃない。
「精霊が教えに来たそうだ」
間髪入れずカミーユが答える。
「そうですね。精霊が来ました」
実際、あの日も今日も白い光は舞っている。
「やはりミキが愛し子で決まりだろう。陛下もそう思いますよね?」
「ああ、そうだな。あの奇跡がそなたが願って起きたものならカミーユの言う通り愛し子で間違いないのであろう」
一斉に拍手が起きる。
拍手に応えるように私も深くお辞儀をする。
「陛下、民にミキのお披露目を兼ねてパレードをしましょう。次週の休日などいかがですか?」
「そんな短い期日で間に合わないであろう」
「待ち望んだ愛し子なんですよ!無理をしてでも早くお披露目しましょう」
「それもそうだな。待ち望んだ愛し子だ。皆大変だが、間に合わせるように!」
そんなやり取りがあって、慌ただしく過ごしているうちにパレード当日になってしまった。
パレードに相応しい快晴。
白馬四頭立ての馬車に乗り込み王城を出発する。馬車の前後には近衛騎士が乗った馬が囲む。
勿論私の隣はカミーユ。
出発から少しして、突然の大雨。私が主役なのに何で雨なんか降るの!
だが、ザァーっと一気に降りすぐに雨は止んだ。
するとどうだろう!空には二本並んで虹がかかっている!二重になった虹なんて初めて見たかもしれない。
物凄く綺麗。
暫く進むと、突然観衆の声が一際大きくなる。
何が起きてるのだろうか?私達を見ている訳じゃない?
人々が指を指す方向を目を凝らして見ると、服に花が挿さっていたり頭に花冠がのっていたり、さらに市中警備のゴツイ男性騎士の髪にも花が挿さっているものだから、つい笑ってしまう。
「もしかして精霊が祝福してくれているのではないか?」
「祝福ですか?」
「そうだ、ミキが愛し子と認められパレードしているから、精霊がお祝いしてくれているんだよ」
「そうかもしれませんね。雨が降った時は焦りましたが、あれももしかしたら虹を掛けるために降らせたのかもしれないですね?」
「ああ、きっとそうだ。ウンディーネからのお祝いだろう。さすがは愛し子だな、ミキ」
そう言われカミーユにしなだれかかる。
沿道からはより一層大きな歓声が沸き上がり馬車は進んでいく。
パレードは大成功に終わった。
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