22エルネスト視点―2
「エルネスト団長!」
ああ、聞きたかった声だ。
うっすら目を開けるとレイが目の前にいる。
レイが泣いてる?
俺のために泣いてくれているのか?
朦朧とした意識の中必死に腕を上げレイの涙を拭う。
「少し離れます」
何か覚悟を決めた顔でそう言うとレイは行ってしまった。
だんだんと意識が闇に落ちそうになる。
(もうダメか)
意識を手放しそうになった時、目を閉じていても眩しい光が放たれ消えてゆく。
その光に引き摺られるように意識が覚醒し、目を開ければ息苦しさも、熱さもなくなり辺り一面歓声に包まれていた。
「皆助かったのか?」
俺の手当てをしてくれた騎士も呆然と呟く。
騎士に聞くと、白い光が商店街一面に広がり、光の粒子が怪我人に降り注いだと言う。
この奇跡の究明は第2騎士団になるだろうから、ここはまかせよう。
俺はレイを待ったがなかなか戻ってこない。しばらく待つが一向に戻ってこないので、探しに向かう。
少し離れた木立の中、レイは倒れていた。
慌てて寮に連れて帰る。リディを探し、医師の手配と着替えを用意してもらう。
リディには絶対に俺の部屋に連れていってはダメだと言われたが構うもんか。強行突破だ。
遠征も入ってない、訓練と書類仕事なら俺の部屋でできるんだ。一週間位なら部屋で看病できるだろう。
医師が言うには身体中の魔力を一気に使ったか、奪われたかしたのだろうと。
事件現場では、レイが気を失っていただけで、他の怪我人は皆あの光で癒された。
レイが回復魔法をあの広範囲にかけたのか?
そもそも魔法の使い方だって習っていない。
そう言えば裏庭に今まで無かった木が沢山生えていると報告が上がっていたな。
レイが最初は掃除をしてくれていた場所だ。今も時間が空いてる時に裏庭に向かう姿は確認されている。
ここで俺は1つの疑惑に突き当たる。
「愛し子…」
そう考えれば今までだって、頻繁にレイが空を見つめボーっとしていたじゃないか。
泉に召喚された時だってそうだった。
今、この国では地方に行くほど貧しくなっている。主に農村が酷い。
土地が枯れ、水も枯れ始めているため作物が育たず収入源が無いのだ。
なので、王族も精霊の加護を持った者や愛し子を求めている。
愛し子なら広範囲にその恩恵をあずかれるからなおさらだ。
まだ、レイと決まった訳ではない。
先ずは裏庭の確認と、愛し子と言われているあの女の当日の行動の裏付けだな。
奇跡の力だと騒ぎが大きくなり、原因が分からなければ自分の手柄だと言いそうだ。
まだ騒ぎが広まる前に確認させた所、何て事はなくいつも通りの優雅なお茶会と言う名の男漁りをしていた。
裏庭についても確認と証言はとってある。
あとはレイが目を覚ましてから話を聞こう。
2日間眠っていたレイが目を覚ました。命に関わる事ではないと言われていても心配だった。
良かった。感情が爆発してしまう。
隠していた事を責めたい訳じゃない。
俺を信じてほしい。レイが嫌なら秘密にする。
その思いで証拠を突き付けレイの誤魔化しを崩していく。
しかし、本人も愛し子と知らなかったんだな。
精霊って奴はイタズラ好きなのか?
愛し子だと教えない、何も無い部屋に花を降らせる、びっくりし過ぎて固まってしまったじゃないか。
風呂を勧めたのは下心なんて…
そんなもの……あるに決まってるだろ!
でも、2日間レイの顔を堪能したんだ。
今回は我慢するさ。
お読みいただきありがとうございます。
ブクマ、評価ありがとうございます。




