21エルネスト視点―1
レイは頑張っている。
知り合いもいない世界に来て、悪い噂をたてられ…俺も最初は冷たい態度を取ってしまったが…皆から遠巻きにされながらも、今では寮の奴等と仲良くやっている。
その仲良くやっている奴等の中には下心見え見えの奴もいる。ミキと言う女に言われていたように性格が悪かったらこんなに仲良くなんてやっていられないだろう。実際にレイと交流をもった奴は性格が悪いなんて思っていない。
レイは自分は恋愛と無関係と思っているから隙がありすぎる。
出来る限りの牽制はしているのだが…
俺も1度デートをしたが次の行動に移さなくては。絶対に分かってないからな。
アベルに相談すれば「とっととこの間買ってきたエプロン渡せばいいでしょ」と呆れられた。
食堂に向かいながら
「今日は午前中こっちにいるんですから、レイさんに用事があるからとでも言って、部屋に来て貰えばいいんですよ。団長の特権ですね」
なんて簡単に言いやがる。
食堂についてレイを呼ぶと、前髪を切って目が露になっている。
これじゃあレイが綺麗だって皆にバレちまう。
ダメだ、やっぱり今日がチャンスだ。
食堂に来る奴等が皆レイを見てびっくりしている。早くレイに俺を意識させなくちゃいけないな。
仕事が一段落ついたのだろう。レイが部屋に来た。
エプロンも喜んではくれたが、やはり給金を得られて嬉しそうだった。
自立したがっているからな。
まだ誰が愛し子か分からないから当分この寮で生活するが、愛し子の力を誰かが使ったらレイをこの寮に留めておける理由がなくなる。
早くレイをこの腕に閉じ込めてしまいたい。
人に甘えられないレイを思い切り甘やかしたい。
そんな想いが強すぎて思わず告白をして唇まで奪ってしまった。
ああ、あの様子だと初めてのキスなのだろう。真っ赤になって、頭の中はきっと何も考えられず真っ白なんだろうな。
その隙をついて次の約束を強引に取りつける事ができたのは幸いだった。
だが、3日後のデートはとんでもない事になってしまった。
エールが苦手そうだったレイのためにワインを買おうと屋台に向かう。遠くの屋台にしかワインが無くて少しワインを勧めたことを後悔したが、酔ったレイも見たいし、少し下心もあったので屋台に並ぶ。
騎士が走って商店街に向かうのが見えるが、第2騎士団の仕事だし、俺は休日だから関係ない。
だが、広場に走って来る人達の中には切り傷を負っている人がいる。
興奮して大声で話している内容は非常に危険だ。
今、商店街で無差別に人を切りつけている集団がいると言う話だ。
これは騎士としてここに居ちゃ駄目なやつだ!
おそらく第2騎士団もほとんどがまだ商店街に来ていないのだろう。
慌てて商店街に向かう。
商店街は騒然としていた。
騎士達も何人か来て犯人を追い詰めている。
だがまだ足りない。
俺は逃げ遅れた人に振り下ろされた剣を受け止め応戦する。
冒険者や傭兵が混じっているのかなかなか手強い。魔獣相手なら容赦なく切り刻むが、生け捕りにしたい。
時間を掛けすぎたか、3人に囲まれてしまう。
2人を近距離で相手にしていると、1人が距離を取り投擲による攻撃に変更してきた。
なかなか連携が取れていて厄介だ。
こちらも騎士が来てくれて2人を制圧した。残りの投擲をしてくる相手に飛び込む。
左手二の腕にナイフがかするがこのくらい問題無い。
そのまま制圧し、第2騎士団に渡すが、息苦しくなってきた。まずい、冷や汗が止まらない。刃先に毒が塗ってあったのか?
俺のミスだ。投擲武器なんて殺傷能力はほぼ無いんだから毒を塗ってある可能性が高いのに。
魔物ばかり相手にしてるからそんな初歩的な事も忘れているんだな。
心臓も早鐘のようになり、立っていられなくなり蹲る。身体中が焼けそうな程熱くなる。
ああ、くそっ、せっかくのデートが。レイに何も言ってない。待たせてしまってるな。
ヤバイな、意識が朦朧としてきた。
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