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怪我人が出てきます。あまり残酷な描写にはなってないと思いますが気をつけてください。
エルネスト団長がワインを買いに向かってからだいぶ時間が過ぎている。
団長さん遅いなぁと思い、意識を屋台の方に向けると遠くの方が騒がしい事に気付く。
男性が走りながら大声で叫ぶ。
「誰か治療できる人はいませんか?治癒魔法を使える人か医師はいないですか?怪我人がたくさんいるんです!助けてください!」
耳をすませばあちこちでそのような声が聞こえる。
「何があったんですか?」
「商店街で盗みに入った強盗達が逃げる時に、誰彼構わず切りつけて重傷者もいるみたいなんだ」
もしかして団長ははそこへ行ったのではないか?
騎士団としては当然の行動なのかもしれないけど、怪我なんかしてないよね?
居ても立ってもいられなくて商店街に向かう。
すごい人だかりだ。
人々をかき分けると、目の前に惨状が広がる。血だまりが至る所にあり、そこには服が赤く染まった人が横たわっている。
子供を抱きかかえた母親は子供の名前を泣きながら呼び、また親が倒れている子供は只ひたすら泣き叫ぶ。
必死に人々を助けようと動き回る人達。
そんな光景があちこちで見られる。
胸騒ぎがして団長を探して歩く。
少し離れた場所に騎士服を着た人が男性をかかえて声を掛けている。
「エルネストもう少し我慢してくれ!神殿からすぐに神官が来てくれる。魔導師団にも使いを出している。あと少しだ!」
「エルネスト団長!!」
「…ああ、レイか」
うっすら目を開け苦しそうに言う。
左の二の腕に布が巻かれている。
出血はそんなに酷くなさそうだが、布から覗く
肌の色がおかしい。
「毒ですか!」
「おそらく」
「…助かるんですよね」
「毒のまわりが早いんだ。毒性の強いものが刃先に塗られていたのかもしれない。一刻も早く解毒をしなければ…」
騎士さんが俯く。
「団長……」
ひざまづき覗き込む。
頬からぽたぽた雫が落ち団長さんの頬を濡らす。
「泣いてくれるのか。嬉しいな…」
苦しそうに言い、手を伸ばし涙を拭う。
((レイ、レイ助けてあげる。こっち来て))
精霊達が呼んでいる。
泣いてたって解決しない。精霊達が助けてくれるのなら、私にできるなら。
覚悟を決める。
「ごめんなさいエルネスト団長、少し離れます」
立ち上がり駆け出す。
((目立ちたくないなら木陰に行こう))
精霊達の提案に従い、人気の無い場所まで離れた。
((レイなら出来るよ!魔力を込めて祈って!レイはどうしたい?))
「エルネスト団長を助けたい。ううん、怪我した人みんなを助けたい!」
((それじゃあ祈って))
今まで練習したように身体中の魔力を胸の前で組んだ手に集める。この広い商店街に届けるにはすべての力を使わないときっと願いは届かない。
「お願い!怪我をした人達を助けて!エルネスト団長の毒を解毒して!!」
ぱあーっと白い光が広がっていく。
(怪我した人全員に届いて!魔力を全部集めて!)
キラキラとした光の粒子が怪我人達に降り注ぐ。
「何だこれ」
「綺麗」
商店街の方からざわめきが聞こえる。
パンっと光が弾ける。
一瞬の静寂。
「傷が塞がっているぞ!」
「痛くない!」
「治ってる、助かったのか!」
怒号にも似た歓声が響き渡る。
「良かった…エルネスト団長大丈夫かな…」
私は意識を手離した。
お読みいただきありがとうございます。
ブクマ、評価本当にありがとうございます。




