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ここで働ければ住む場所もあるし、食事にも困らない、さらにお金を稼げるなんて美味しいじゃないか。
騎士さん達とも人間関係がそこそこ良好で過ごせていると思うし、嬉しい提案だよね。
まして、自分が出来そうな事をお試しで体験させて貰えるなんて凄い厚待遇!
精霊の森に行くのがなかなか出来なくなってしまうのと、そんなに甘えてしまって良いのか分からず悩む。
リディさんに相談すれば(そんな難しく考えないで…甘えて良いのよ。お試しで働いても損はないわよ)と言ってくれた。
悩んだけれど、エルネスト団長にお願いしてお試しで働かせてもらう事にした。
翌日からお試しで食堂の仕事を始めた。皿洗いや野菜の下処理を教えてもらっている。
私より少し前に働き始めたというロジェさんに色々教えてもらいながら、充実した日々を過ごしている。
食堂で働きはじめて、今まで以上に騎士さん達から話しかけてもらうようになった。
他愛のない話、魔物討伐の話、遠征先での苦労。勿論私の話も聞きたいと言って興味を持ってくれる。
この世界で、親切な人達のおかげで凍っていた心が少しづつ溶けていくようだ。
精霊さん達の事も忘れてはいない。
空いた時間は魔力のコントロールの練習。
裏庭の掃除を理由にしてしまうと給金が発生してしまうかもしれないので、こっそりと裏庭に通わなくてはいけなくなってしまったのは痛いが、なんとか抜け出している。
魔力を集めるのは何となく出来るようになってきたので、今度は集めた魔力を体外へ放出する練習をする。
「木が大きくなりますように」
そう心の中で祈りながら木に魔力をあてる。
すると、葉がバサバサと音を立てて大きくなった。
失敗?木は育ってないぞ…葉っぱはモサモサしちゃったけど。
でも、葉っぱはいっぱい生えてきたし植物を成長させる事ができたんだよね?
できるなら果物を育ててみたい。楽しみもできるからね。
食堂で余った果物を貰ってあとで試しに種を植えてみよう!
最近、魔力のコントロールの練習の時には精霊さん達は居ない。
魔力を体外へ放出する時に加護を与えたくなっちゃうんだ。って言っていた。大変な事になっちゃうよ。とも。
確かに裏庭に初めて来た時に(裏庭って殺伐としているねー。少しでも花が咲いていると気分が明るくなるかもね)なんて、精霊さん達と話してしまったら(わかった~)と言い、裏庭いっぱいに色とりどりの花を咲かせてしまった。しかも、私の乏しい知識で、咲く時期がバラバラのものが一緒に咲いている気がする…
チートだな……精霊さん
私の果物を育てよう計画は無花果に決まった。なんて事はない、思い立った日に無花果がおやつとして出たからだ。
日本で無花果を食べた事が無かったから、最初に2つに割った時はどこを食べるの?なんて思ったけど、みんなそのままかぶりついていたから真似して食べてみた。
無花果ってこんなに甘くておいしいんだね。びっくりした。
さて、問題は種だ。この真ん中のプチプチ食感が種なのか?こんなにいっぱい種があるのだろうか?
でもここしかないだろう。
ここ以外種じゃない…たぶん。何事もチャレンジ!
種って水に浸けておくと発芽しやすくなるんだっけ?
たいした知識を持っていない私だが、学校で習った内容を思いだし種らしき場所を一掬い取り、水を張った器に入れた。
1日置いて、浮いている種と沈んでる種があったが私にはどちらが発芽するのか分からないから全部蒔いてみよう。
精霊達も(どっちでも大丈夫だよ)と送り出してくれる。
裏庭の隅に落ち葉を集めておく場所があるので、そこから腐葉土を貰って肥料にする。
なるべく目立たない場所に腐葉土を混ぜ土を耕す。
種を蒔いて魔力を放出する。
「無花果が発芽しますように」
「ぽんっ」って音がつきそうなくらいポコポコと種を蒔いた場所から二葉が出る。
「うわぁ」
思わず声が出てしまう。
「無花果が大きくなりますように」
もう一度魔力をあてると2~3cm位育った。
うん、急に育つのは良くないね。毎日少しづつ育てよう。
今この場所でみんなに親切にして貰っている。
もうこの壁は必要ないかも。というか、いつまでも壁をつくっていたらみんなに失礼だ。
前髪切ろう。
もう目元を隠す必要はない。
お読みいただきありがとうございます。




