13エルネスト視点
これは少しまずい事になった。
風呂上がりのレイは女子寮という場所柄故か、異世界から持ってきた荷物の中に入っていた体操着という服を着ている。暖かくなってきたからか、女子だけだからと言う安心感からか、膝丈のズボンに半袖のシャツだ。
レイの世界では普通なのかもしれないが、刺激が強い。
ただ細いだけではない健康的なふくらはぎにキュット締まった足首。
さらに洗い晒しの髪は前髪が左右に分かれていて目元がバッチリ見えている。
決して可愛いと言われるようなぱっちり大きい目ではない、切れ長の涼しい目元。
しかし顔のバランスが整っていて、この国では珍しい黒髪黒目も相まって神秘的な美しさだ。
こんな美しいとは想像もしていなくて見とれてしまった。一目惚れとは違うが恋に落ちたのかもしれない。
街を見たいと言うから、つい自分が案内すると言ってしまった。あまり乗り気ではないレイになんとか約束を取り付けた。
自分の気持ちを抑えられない。
リディはレイの素顔を知っていたらしく、動揺する俺をからかう。
リディはレイから色々聞き出してくれていた。
第1王子が話したようにレイが、1人で3人を同時に呼び出し暴力を振るっていたというのは嘘だろう。
レイに痣があるのも確認してくれている。
普通に考えれば、3人から呼び出され1人が暴力を振るわれているってのが正解だろう。
確かに最初こそ愛想は無かったが、悪意に満ち溢れた人達に囲まれていたなら、本心をさらけ出さないのは普通だし笑顔になんてなれなかったのだろう。
今騎士団にいるレイは、目は見えていないが良く声を出して笑っているし、リディを心から信頼しているようでリディを見ると犬のように尻尾でも振っているんじゃないかと思うほど嬉しそうに近付いていく。
傲慢な態度をとることもなく、タダ飯を食べるのは心苦しいと言い、自分に出来ることを手伝いたいと言い雑用を引き受けてくれている。
自立を望んでいるようだが、まだ4人の中で誰もこれと言った愛し子としての啓示を受けた話しも無く強大な力を使った訳でも無いため、自由にしてやることも出来ない。
自分が愛し子と言っていたミキという娘は王宮に商人を呼びつけドレスや宝石を王子からの贈り物として買い漁っていると聞く。
そのドレスで毎日王子と高位貴族の子息を招いてお茶会を開いて贅沢三昧らしい。
他の2人も元の世界に帰れないなら高位貴族を掴まえて結婚したいとでも考えているのだろう。
レイの世界では婚前交渉も当たり前だと言っていたらしいから、お茶会の後自室に男を連れ込んでいると言う噂も本当の事なのだろう。
自分で愛し子と言ったのだから、王子に媚を売るだけではなくて他に何かやることがあるんじゃないかって思ってしまうけどな。「誰からも好かれる」なんて言ってたくせに、王子を落とすのに必死で周りからは引かれてるのも気が付いてない。
良く自分で愛し子なんて言えたな。
レイを間近で見て接しているから、彼女がこの国に馴染もうとしている事、分かりにくいが彼女なりの心遣いや優しさ。どれも好感が持てる。
ましてやレイの素顔を知ってしまった俺は自分の気持ちを抑える自信がない。
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