新たなる契り
……
誰にも見ることのできない場所。
ハリールの意識の奥深くで……。
告:最初のユニークスキル《ガイド》の生成が完了しました。
告:最初のユニークスキルは所有者と深く結びついているため、ユニークスキルから根源スキルへの昇格処理を開始します。
昇格処理を実行中……。
告:昇格処理が正常に完了しました。
対象者に適した恩恵を特定するため、利用可能なデータを解析中……。
肉体および魂のステータスを検査中……。
初期解析が完了しました。
肉体および魂のステータスに基づき、データを入力中……。
……
エラー。
告:データ解析の完了を妨げる異常を検出しました。
異常の発生源を検索中……。
検索中……。
検索中……。
回答:魂の読み取り処理に異常が確認されました。これにより、魂の完全な解析が妨げられています。
解決策を検索中……。
検索中……。
検索中……。
回答:現時点では、適切な解決策を発見できませんでした。
告:魂の解析を一時保留し、肉体から取得可能なデータに基づいて恩恵の特定を続行します。
肉体データを解析中……。
---
第二のユニークスキル
告:肉体データの解析が完了しました。
第二のユニークスキルを生成中……。
基本構造を形成中……。
データを処理中……。
告:第二のユニークスキルの生成が正常に完了しました。
スキルの特性を解析中……。
解析結果:核に似た、立方体状の構造。
基本機能:対象者の肉体から抽出したデータに基づき、新たなスキルを生成し、立方体内部に保存する。
動作機構:利用可能なデータを解析・処理し、スキルへと変換したうえで、立方体内部に保存する。
警告:スキルの性質は、まだ完全には特定されていません。
告:対象者が適切な名称を付与するまで、スキル名の決定を保留します。
追加の特性を特定するためのデータが不足しています。
残存データを解析中……。
残存データを解析中……。
告:ユニークスキル《生命》を生成しました。
生成理由:対象者が生命の本質およびその根源を理解しようとしたため。
警告:スキルの特性は、まだすべて特定されていません。
告:スキルの登録が完了しました。
残存データを解析中……。
告:ユニークスキル《危険感知》を獲得しました。
獲得理由:対象者に迫る危険。
機能:対象者の周囲に存在する脅威を感知し、スキルの性能の及ぶ範囲内で、潜在的な危険を察知・予測する。
警告:感知精度およびスキルの発動条件は、まだすべて特定されていません。
告:スキルの登録が完了しました。
残存データを解析中……。
告:ユニークスキル《生存本能》を獲得しました。
獲得理由:抵抗能力の限界に達しながらも、肉体を生き延びさせようとしたため。
機能:生命を脅かす状況下において、生き延びるための行動を継続することを補助する。
告:スキルの登録が完了しました。
残存データを解析中……。
告:ユニークスキル《黄昏の停滞》を獲得しました。
獲得理由:怪物の体内から核を引き抜いたため。
機能:スキルの影響範囲および性能の限界内で、生物が持つ特殊な核に関連した力を抽出する。
警告:すべての制約および影響範囲は、まだ正確に特定されていません。
告:スキルの登録が完了しました。
残存データを解析中……。
告:ユニークスキル《魂の残響》を生成しました。
生成理由:怪物の消失後、通常の状況下では一般の人間が聞くことも、意思疎通することもできない、隠された存在や存在体の残響を聞き取る能力が現れたため。
機能:隠された存在の残響を認識する。また、独自の意識を持つ一部の存在との意思疎通を可能にする。
警告:応答する存在の種類および意思疎通の限界は、まだ特定されていません。
告:スキルの登録が完了しました。
残存データを解析中……。
告:ユニークスキル《適応》を獲得しました。
獲得理由:対象者の肉体が複数の負傷、疲労、衰弱および身体的損傷を受けながらも、経験した環境の一部に適応し続けていたため。
機能:肉体が耐えられる環境に適応し、その影響に抵抗する、あるいは影響を軽減する。
警告:このスキルは、負傷や損傷に対する完全な免疫を意味するものではありません。
告:スキルの登録が完了しました。
残存データを解析中……。
告:冷気耐性および熱耐性を獲得しました。
獲得理由:外部から冷気にさらされる一方で、体内温度が上昇していたため。
機能:高温および低温による影響を軽減する耐性を獲得する。
警告:耐性の最大限界は、まだ特定されていません。
告:冷気耐性および熱耐性の登録が正常に完了しました。
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解析の続行
告:スキルの生成および取得可能な恩恵の登録が完了しました。
魂の解析を再開中……。
過去のデータを検査中……。
解析結果を比較中……。
……
警告:未知の異常を検出しました。
現在の結果は、過去の解析結果と一致しません。
データを再解析中……。
矛盾の発生源を検査中……。
解決策を検索中……。
……
回答:異常の全容を特定できませんでした。
魂の読み取り処理に関して、依然として不明なデータが存在します。
再解析中……。
データを検査中……。
異常の発生源を検索中……。
……
警告:処理工程に新たな異常を検出しました。
二つの異常の関連性を解析中……。
結果を比較中……。
……
回答:二つの異常の関連性を特定できませんでした。
両者に関連性があるとも、ないとも断定するためのデータが不足しています。
処理を再実行中……。
データを検査中……。
解析の再開を試行中……。
……
告:診断を完了できませんでした。
処理状態を評価中……。
……
警告:異常が継続しているため、影響を受けている処理を続行できません。
告:影響を受けている処理を一時停止し、強制的に休眠状態へ移行します。
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ハリールが怪物と遭遇してから一週間後……
雲一つない、暖かい夜。
月がニヴェルタニア王国の首都を照らしていた。
時折、雲が流れ込み、その光を覆い隠す。
チーン……チーン……チーン……。
鐘の音が街の至るところに響き渡り、月の大聖堂で夜の儀式が始まったことを告げた。
大聖堂の内部には、広々とした空間が広がっていた。
奇妙な装飾が施され、壁には繊細な金色の線が刻まれている。
それほど広い場所であるにもかかわらず、蝋燭も松明も見当たらなかった。
壁に刻まれた紋様そのものが淡い光を放ち、周囲の様子をかろうじて浮かび上がらせていた。
広間の正面には、巨大な女性の像がそびえ立っていた。
長い布で頭部から顔まで覆われており、その表情をうかがうことはできない。
像の前には、白いシャツを着た子供たちが何人も並んでいた。
シャツには金色の線があしらわれ、小さな三日月の模様が散りばめられている。
静寂が広間を包んだ。
やがて、高い位置にある窓から月光が差し込み、床を滑るように広がっていく。
その光が子供たちに届いたとき、彼らの前に立つ一人の男の姿が浮かび上がった。
男は金糸の織り込まれた白い法衣をまとい、頭には白い帽子をかぶっていた。
肩からは、金色の線が入った長い帯を垂らしている。
司教は穏やかに微笑むと、右手を上げて子供たちに合図した。
その瞬間、月光がさらに強く輝き始めた。
一人の子供が静かに息を吸い込み、かすかな声で歌い始めた。
「夜は降りて、光は差す……
月は魂の声を聞く……」
司教が別の子供に合図を送る。
その子供は、先ほどよりも少し大きな声で歌を続けた。
「鐘を鳴らせ、祈りを響かせ……
ニヴェルタニア、光を授けよ……」
チーン……チーン……チーン……。
大聖堂の高い天井に吊るされた鐘が鳴り、その音色が石柱の間を渡っていった。
司教は再び手を上げ、四人の子供たちに合図を送った。
四人は声をそろえて歌った。
「夜は降りて、光は差す……
月は魂の声を聞く……」
やがて、ほかの子供たちも歌声に加わった。
「鐘を鳴らせ、祈りを響かせ……
ニヴェルタニア、光を授けよ……」
子供たちの声が穏やかな調和を生み出し、聖堂の回廊へと流れていく。
まるで、壁そのものが歌詞を口ずさんでいるかのようだった。
やがて、歌声は少しずつ小さくなっていった。
しかし、子供たちは歌うのをやめたわけではなかった。
唇を動かし続けながら、歌声を絶え間ないハミングへと変えていく。
複数の声が重なり合い、どこか神秘的な旋律を奏で始めた。
一方、外の首都には、依然として活気があった。
営業を続ける店。
通りを行き交う人々。
窓の向こうで瞬く明かり。
そして、建物の間をゆっくりと進む数台の馬車。
大聖堂の外に点在する石像の一つには、黒いカラスの群れが止まっていた。
数羽がしばらく翼を羽ばたかせた後、像の縁に落ち着いた。
大聖堂の内部から、子供たちの歌声が届いてくる。
初めはかすかだったその声も、やがて鐘の音や、繰り返されるハミングと混ざり合っていった。
そのとき……。
カアッ……カアッ……!
カラスたちが一斉に鳴き始めた。
その鳴き声は子供たちの歌声と重なり合い、穏やかに鳴り続ける鐘の音の中へと溶け込んでいった。
---
大広間では、司教が一人の少女に合図を送っていた。
少女は一歩前へ進み、顔を上げて歌い始めた。
「光と守り、古き契り……
力は巡り、堅き守り……」
ほかの子供たちも、同じ旋律に乗せて歌詞を繰り返した。
「光と守り、古き契り……
力は巡り、堅き守り……」
そのとき、石柱の向こうからピアノの音色が流れ込んできた。
穏やかな旋律が子供たちの歌声に加わり、言葉と言葉の間を縫うように広がっていく。
司教が手を上げ、別の子供に合図した。
その子供が歌い始める。
「巡る光よ、巡る時よ……」
続いて、子供たちが声をそろえた。
「我らの民を、辱めから守りたまえ……」
ピアノの旋律が少しずつ高まっていく。
鐘の音もまた、その旋律に調和するように重なり、歌は次第に深みと神秘性を増していった。
やがて、再びハミングが広間を満たした。
子供たちの声が幾重にも重なり合い、ピアノの旋律とともに、一人から次の一人へと歌が受け渡されていく。
儀式が続く中、高い窓から月光がゆっくりと差し込んでいた。
まるで、何かがその祈りに応えているかのように……。
---
司教たちにのみ使用が許された、ある禁制の部屋。
そこには、恰幅のよい別の司教が立っていた。
小さな窓の前に立ち、月明かりに照らされた街を見下ろしている。
彼もまた、金糸の縞模様が入った白い法衣をまとっていた。
首都のあちこちに散らばる明かりを、男はじっと見つめていた。
大広間から届くピアノの旋律。
そして、その旋律に乗せて歌い続ける子供たちの声。
それらが部屋の中まで流れ込んできた。
「ニヴェルタニア、我らの地を守りたまえ……
我らの歩みを祝福し、城壁を守りたまえ……」
男は一瞬、目を閉じた。
大聖堂の隅々にまで響き渡る歌声に、静かに耳を傾ける。
やがて、子供たちの声が再び高まった。
「夜は降りて、光は絶えず……
汝の守護のもと、世界は安らぐ……」
司教はゆっくりと振り返り、小さな祭壇のような台へと歩み寄った。
その上には、封をされた一通の手紙が置かれていた。
手を伸ばし、それを取り上げる。
届いたのは、ごく最近のことらしい。
男は静かに封を開き、書かれた文章へと目を落とした。
そのとき、黒いカラスが一羽、窓の縁に舞い降りた。
カラスは首を傾け、かすかに鳴いた後、再び静かになった。
司教は手紙を読み続けていた。
遠くから、再び子供たちの歌声が届く。
「風のささやき……鐘の響き……」
ある一文に目を留めた瞬間、男の表情がわずかに曇った。
合唱は続いていた。
ハミングが徐々に大きくなり、ピアノの音色と溶け合っていく。
しばらくして、男は手紙を読み終えた。
丁寧に折り畳み、封を閉じると、それを脇へ置いた。
部屋は静まり返った。
司教はしばらく手紙を見つめていたが、やがて窓へと目を向け、低くつぶやいた。
「どうやら、アリセニア家は不可解な状況下で命を落としたようだな……」
ピアノの音色が、部屋の中に静かに響いていた。
男は手紙を手に取ると、近くに置かれた籠へ放り込んだ。
そして、しばらくすると……。
紙がひとりでに燃え始めた。
炎が紙の端で揺らめき、書かれた文字を少しずつ焼き尽くしていく。
やがて、細い煙が立ち上った。
司教は、紙が籠の中で崩れ去っていく様子を、静かに見届けた。
それから顔を上げ、窓の外へと目を向けた。
大広間からは、依然として子供たちの歌声が届いている。
「これは……予言に記されていた兆しなのだろうか?」
---
大広間では、聖歌が続いていた。
「ニヴェルタニアよ、祈りを聞きたまえ……」
高い天井の下に歌声が響き渡る。
歌い始めた子供に続き、ほかの声も加わっていった。
「民に力と、永遠の命を授けたまえ……」
禁制の部屋では、司教が祭壇に置かれた小さな像へと顔を向けていた。
その表面を、指先で静かになぞる。
そして、つぶやいた。
「ニヴェルタニア様……。これは、あなたがこの世界に新たな契りをお与えになったということなのでしょうか?」
返答はなかった。
聞こえてくるのは、大広間で歌い続ける子供たちの声だけだった。
旋律が高まるにつれ、その歌声も少しずつ力を増していく。
「ニヴェルタニアよ、祈りを聞きたまえ……
民に力と、永遠の命を授けたまえ……」
男は深く息を吸い、腕を下ろした。
「二つの家族……」
一瞬、言葉を切る。
まるで、過去の出来事を思い返すかのように。
「この十年で、二つの家族が命を落とした……」
その声は、さらに低くなった。
「適切な措置を講じなければならない。」
小さな窓へと目を向ける。
ガラスには、月の光が映り込んでいた。
「あなたが我らの救済を求めておられることは、分かっています……ニヴェルタニア様。」
男は扉の方へと視線を移した。
まるで、壁の向こうにいる子供たちの姿まで見通せるかのように。
「この子供たちは、あなたに守護と祝福を願い、祈りを捧げている。どれほど小さなことであろうと、我らがそのような祈りを軽んじるわけにはいかない。」
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大広間では、聖歌が再び最初の旋律へと戻っていた。
「夜は降りて、光は差す……」
最初の子供の声が高い天井の下に響き、やがてほかの声が加わっていく。
「月は魂の声を聞く……」
月光がさらに強まり、薄暗い広間を満たしていった。
その光は正面にそびえる巨大な像にも反射し、これまでよりも鮮明に、その姿を浮かび上がらせた。
像の右手は胸元へと曲げられ、拳が握られている。
ただし、小指だけは伸ばされており、心臓のある位置を指し示していた。
奇妙な静けさが、数瞬の間、広間を包んだ。
そして……。
チーン……チーン……チーン……。
再び、鐘が鳴った。
司教が手を上げる。
子供たちは一斉に声を張り上げた。
「鐘を鳴らせ、祈りを響かせ……
ニヴェルタニア、光を授けよ……」
その瞬間、月の光が壁の一つに映し出された。
まるで、石壁の表面に月そのものが描き出されたかのようだった。
空中に、光り輝く粒子が生まれ始める。
それらはゆっくりと広がり、ピアノの旋律に合わせて踊るように、子供たちの周囲を漂った。
合唱は続いていた。
「鐘を鳴らせ、祈りを響かせ……」
そして、すべての子供たちが声をそろえた。
「ニヴェルタニア、光を授けよ……」
ハミングが鐘の音やピアノの旋律と溶け合い、やがて一つの歌となって、大聖堂全体を満たしていく。
月光はますます強まり、光の粒子は像の周囲へと広がっていった。
子供たちは、幾世代にもわたって受け継がれてきた聖歌を歌い続けていた。
禁制の部屋では、もう一人の司教が窓の前に立ち、黙って街を見つめていた。
手紙は、すでに跡形もなかった。
籠の底に残された、わずかな灰を除いては。
そして、男が最後につぶやいた言葉もまた、大広間から届く合唱の中へと溶け込んでいった。
「ニヴェルタニアよ……祈りを聞きたまえ……」
聖歌は、なおも続いていた。




