ガイド、初めての任務!
人生には、問題がつきものだ。
ああ、そんなことは今さら言うまでもない。
だが、最近の俺は、世界中で俺だけがここまで忍耐力を試されているんじゃないかと思い始めていた!
だって、ここに来てからというもの、一度だって落ち着いて息をつき、ゆっくり考える時間すらなかったのだから。
一つの問題からようやく抜け出せそうだと思ったら、すぐに別の問題が現れる。
まるで世界そのものが、俺に普通の生活を送らせまいとしているかのようだ。
俺はただ、平穏な生活を送りたいだけなのに……それって、そんなに難しい願いなのか!?
俺は心の中でため息をついた。
はあ……どうやら、そんな生活を手に入れられるのは、まだまだ先になりそうだ。
だが、問題は、もうそんなことを考えている余裕すらなくなってしまったことだった。
何しろ今の俺は、鎖で拘束され、二人の男が自分の運命について話し合うのを聞かされている真っ最中なのだ。
まるで、どう処分すればいいのかわからない古い家具でも扱うかのように!
ゴホン、ゴホン……。
さて、現在の状況に戻ろう。
俺は、ここから抜け出す方法を探しながら、アサミとマサトの会話に耳を傾けていた。
だが、二人の話を聞けば聞くほど、事態が俺にとって最悪な方向へ進んでいるという確信が深まっていく。
くそっ……本当に、ここで死ぬことになるのか?
そんなとき、奇妙な声が俺の頭の中に響いた。
「告:状況の分析が完了しました。適切な解決策が特定されました」
……
はい。
皆さん、今の声、聞こえましたよね?
……いや、実際に聞こえたのは俺だけなのかもしれないが。
頭の中で声が聞こえるなんて、俺はとうとうおかしくなってしまったのだろうか?
正直、ちょっと怖い。
できることなら、一刻も早く精神科の医者に診てもらいたいところだ!
だが、今はひとまず、この声が本物だという前提で話を進めよう。
そう思った直後、再び声が響いた。
「告:私はガイド。対象者ハリールに関連するユニークスキルです」
……
……はあ!?
ガイド!?
それが君の名前なのか!?
それとも、自分がどんな種類のスキルなのかを教えてくれているのか!?
おいおいおい! ちょっと待ってくれ!
俺は本当に、スキルと会話しているのか!?
どう対応すればいいのか、まったくわからなかった。
だが、ひとまず疑問は後回しにすることにした。
何しろ今の俺は、謎の声の正体を調べている場合じゃない!
よし……。
ガイド、頼む!
君にどんな能力があるのかは知らないが……。
どうか、この状況から俺を救い出してくれないか!?
「告:対象者ハリールの目的達成に向け、利用可能な選択肢を分析中です」
……
なるほど!
ガイド? 目的? 選択肢!?
何なんだ、これは!?
何かの暗号か!?
おいおいおい!
ちょっと待ってくれ!
俺は計算だの、比率だの、答えを導き出すための確率だの、そういうものが大の苦手なんだぞ!
そんなものを使われたところで、俺に何がわかるっていうんだ!?
そもそも、このスキルは本当に俺を助けられるのか!?
それに……本当に信じていいのか!?
……
よし、決めた!
とりあえず、今はこの謎の声を信じてみることにしよう!
だって、ほかに選択肢なんてないだろ!?
自分の決断は正しかったのだと、どうにか自分に言い聞かせていたとき、俺はふと別のことを思い出した。
……待てよ。
さっき、この二人が何か重要なことを言っていなかったか?
確か、俺をどこかへ送るとか、そんな話をしていたような……。
だが、問題は、そもそも二人の会話をまともに聞いていなかったことなんだが!
ああ……。
よし、ここは素直に認めよう。
「あのぉ……話の途中で申し訳ないんですが、今、二人で決めたことをもう一度教えてもらえませんか?」
アサミは俺のほうを振り向き、穏やかに微笑んだ。
「お前を遠くの場所へ送ることにした」
……
……は?
何だ、その恐ろしい話は!?
あははははは!
確かに、俺たちの出会いは少々最悪だったかもしれない。
だが、だからといって、そんなに冷たくしなくてもいいじゃないか!
ここは心機一転、新しい関係を築いていこう!
過去の過ちは、未来を見る目を曇らせるものだ……なんて言うだろ!?
それなら、これまでのことは水に流して、お互いに話し合ってみるのはどうだ!?
……だが、マサトは俺の言葉にまったく興味を示さなかった。
それどころか、俺の背後にある鎖の端をつかむと、思いきり引っ張った。
ズルルルルルッ!
俺の体が、後ろへ引きずられていく。
「時には、現実を受け入れたほうが、抵抗するよりも楽なこともある」
アサミは穏やかな口調でそう言った。
そして、さらに続ける。
「自分の運命から逃げようとすれば、もっとひどい目に遭うかもしれないぞ」
「ええ、そのとおりです」
マサトはそう答えながら、鎖を引いて俺を引きずり続けた。
「過去の過ちを正さずに死んでしまえば、あの世に行っても、求めている安らぎは得られないでしょうからね」
……
おおおおおおおい!!
二人とも、さっきから俺をネタにして好き勝手言いやがって!
一体、何がどうなってるんだよ!?
マサトは、ほんの少し前まで俺の目の前に立っていたはずだろ!?
いつの間に俺の後ろに回ったんだ!?
それに、何で俺は、いらなくなった古い家具みたいに引きずられているんだ!?
そもそも、死後の世界がどうとか、あの世がどうとか、何なんだよ!?
まさか、二人に謝らなかったら地獄に落ちるとでも言いたいのか!?
あははははは!
何て素晴らしい言いがかりなんだ!
……って、いやいや!
俺は地獄になんか行きたくないんだよ!
「お、おい! ストップ! ストップ! 頼むから待ってくれ! これは全部、ただの誤解なんだ! 本当だって! 俺は弱い人間なんだ! こんなふうに自分の過去と向き合えるような人間じゃないんだよ! お願いだから、落ち着いて話し合おう!」
だが、二人は俺の言葉など一つも聞こえていないかのように、鎖を引き続けた。
くそおおおっ……!
頼む、ガイド!
お前が本当に存在するなら、この状況から俺を救ってくれ!
何でもいいから、何かしてくれえええっ!
「告:対象者ハリールからの要請を確認しました。適切な処理を実行中です」
……
……はあ?
どういう意味だ?
俺が考える間もなく、奇妙な感覚が全身を襲った。
一瞬、周囲のすべてが遠ざかっていくように感じた。
二人の男の声も……。
この場所も……。
さらには、自分の体の感覚さえも……。
すべてが少しずつ薄れていく。
まるで、俺自身が今までいた世界から切り離されていくかのようだった。
「はあっ!? い、一体、何が起きてるんだ!?」
俺は何かにつかまろうとした。
だが、手を伸ばしても、つかめるものは何もなかった。
まるで、何かが俺を自分の体から無理やり引き離し、遠くへ連れ去ろうとしているような感覚だった。
ま、待て……!
俺に一体、何が起きているんだ!?
「告:身体の制御権をガイドへ移行中です」
……
……何が起きたのか、まったく理解できなかった。
まるで、昔よく見ていたアニメのワンシーンを切り取って見せられているようだった。
何が起きているのかさっぱりわからないのに、結末を見届けるために、ただその場面を見続けるしかない。
……だが、一つだけ問題があった。
あの体は……俺の体だぞ!?
それなのに、もう自分で動かしているという感覚がなかった。
まるで、自分の体から切り離され、別の場所へ移動してしまったかのようだった。
そして、残された体の中は、まるで空っぽになってしまったように感じられた。
……どういうことだ!?
本当にガイドが俺の体を乗っ取ったのか!?
今、自分に何が起きているのか、うまく説明することはできなかった。
それでも、一つだけはっきりとわかったことがある。
俺はもう、自分の体を自由に動かせなくなっていた!
「告:処理が完了しました」
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その頃、外では……。
アサミは歩みを止め、マサトに引きずられているハリールへ目を向けた。
ハリールの体は完全に静止しており、もう抵抗することも、文句を言うこともなくなっていた。
アサミは穏やかに微笑んだ。
「ようやく大人しくなったな、小僧」
それから、マサトのほうを見た。
「さて、これが俺たちにできる最善の方法だったようだな。時には、無駄に抵抗するよりも、自分の運命を受け入れたほうがいいこともある。そう思わないか、マサト?」
マサトは鎖を引き続けながら、落ち着いた口調で答えた。
「ええ、そのとおりです。時には、現実を受け入れることが、自分の運命を受け入れるための近道になるものですから」
……
おおおおおおおい!!
二人とも、俺がここにいないみたいに話すのはやめろおおおっ!!
聞こえてるんだよ、そこのおっさん二人!!
俺は自分の運命なんか受け入れていない!
諦めたわけでもない!
そもそも、何で自分の体を動かせなくなったのかすら、わかっていないんだぞ!?
くそっ……!
ガイド、お前、俺に何をしたんだ!?
どうして俺は、自分の体の中から、ただ見ているだけの観客になったような気分なんだ!?
しかも、最悪なことに……。
自分の体を取り戻せるのかどうかさえ、わからない!
頼むから、俺を体に戻してくれえええっ!
自分の指一本動かせないまま、知らない場所へ引きずられていくなんて、絶対に嫌だ!
だが、返事はなかった。
俺は意識を集中させ、何とか自分の体の感覚を取り戻そうとした。
しかし、感じ取れるものは、どれも遠く、ぼんやりとしていた。
まるで、俺と自分の体との間に、何か見えない壁があるかのようだった。
くそおおおっ……!
これがお前の言う、俺を助ける方法なのか!?
……
そのとき、突然、俺の体が動いた。
頭がわずかに持ち上がり、唇が開く。
そして、俺の口から、静かな声が発せられた。
「より適切な解決策が導き出されました」
……
「……はあっ!?」
アサミが足を止めた。
同時に、マサトもその場で凍りつき、鎖を握る手の力を少し緩めた。
二人は驚愕の表情で、俺の体を見つめていた。
「……はあっ!?」
……あの声。
今の声は……。
俺の声だった!




