第14話 地下水路
翌日、いつも通りに出勤したリリーは朝一番にアンナに呼ばれた。
「失礼します」
執務室に入ると、アンナの机の前に立つ薄茶色のボサボサ頭がこちらを振り返った。
「コレット先輩、おはようございます!」
朝からやる気に満ちているエリックの笑顔に、リリーは半歩下がった。
「エ、エリック、おはようございます。あの、主任、お呼びでしょうか」
「二人に頼みたい仕事があるの」
書類から顔を上げたアンナは開口一番に告げた。
「急いでいるから端的に言うわね。来月予定されている公共施設の大規模点検作業について、これはコレットも担当者と打ち合わせしたわね」
「はい」
「必要な点検箇所についてまとめている最中に、最近、地下水路の制御装置で不具合の報告が続いていることがわかったの。西区画で三件、中央区画で二件。昨日また一件増えた」
「同じ装置ですか?」
「型式は違う。設置時期もばらばら」
リリーは報告書をめくった。
魔力供給の不安定化や制御術式の一部損傷、安全装置の異常作動など、故障の内容も微妙に違う。
「地下水路の制御装置なんて、滅多に不具合起きませんよね」
「そうよ、定期的な点検もしているし不具合なんて数年ぶりよ。それがこの一週間で立て続けに六件も出たものだから、来月を待たずに至急調査することになったの」
リリーは報告書を閉じた。
「分かりました」
「コレットとハサウェイに担当してもらうわ」
「あの、私一人でも……」
「ダメよ、必ず二人で調査して」
「……はい」
アンナは真っ直ぐリリーを見て念を押した。
「今回は地下、しかも水路だし何かあったら危険よ」
「はい、わかりました」
「前回みたいに一人で全部やらないで」
「前回?」
アンナはしばらくリリーを見た。
「……もういいわ。よろしくね」
小さく息を吐くと、アンナは少し呆れたように手を振った。
執務室を出るとエリックは妙に嬉しそうだった。
「コレット先輩、よろしくお願いします!俺、先輩と一度仕事したかったんですよ」
「え、あ…はい。よろしくね。地下水路だから、防水マントや魔導ランプも必要ですね」
リリーはエリックと管理局内ではよく顔を合わせたが、二人で仕事をするのは初めてだった。本当は一人の方が気楽なのだが、今回は二人でやるよう厳命されてしまった。
リリーはもう一度報告書に目を落とした。
王都の地下には、大小いくつもの水路が走っている。
飲用水を運ぶ上水路と、雨水や生活排水を流す下水路。
その多くは王都の拡張に合わせて増設され、今では魔法による水量調節や浄化機構が組み込まれている。
人々の生活を支える主要施設であるため、厳重に点検、交換、管理されており、滅多に故障しないはずである。
——急に六件はさすがに多過ぎだわ。ただの偶然じゃないのかも。
二人は手早く準備を整えて調査へ向かった。
*
中央区画の外れにある地下水路へ続く管理扉を開けると、冷たい空気が下から吹き上げてきた。
「うわ、寒いですね」
先に階段を覗き込んだエリックが言った。
「気をつけて降りましょう」
石造りの階段を下りる。
一定間隔で壁に埋め込まれた魔法灯が、二人の足元を淡く照らしていた。
通路は湿った水路独特の匂いがした。
下へ行くほど、地上の音が遠ざかり、代わりに大きくなるのは水音だ。
やがて階段が終わり、細い点検路へ出た。
雨が多いせいか脇を流れる水は思っていたより速い。
少し進むと、壁に取り付けてある大型の装置が見えた。
水量を測定、調節するための制御装置で、今回不具合が報告されているものの一つだ。
「これは比較的新しい型ですね」
エリックが装置にランプの光を当てながら言った。
「ここは五年くらい前に改修されています。術式もその時のものですね」
リリーは手袋をはめ、装置の制御盤の術式を確認する。
報告にあった通り、術式の一部が焼けている。
「過負荷ですかね」
エリックは報告書を確認しながら、手元のメモに書き込んだ。
「……」
リリーは焼き切れた術式を確認する。
通常なら、はめ込まれた魔石から装置へ供給された魔力は術式の中を一定方向へ流れ、制御装置が稼働する。そして、正常に稼働していれば魔石から過剰な魔力が流れることはない。
「……変ですね」
リリーが眉をひそめた。
「何がです?」
エリックが怪訝そうにリリーを見た。
「過負荷というよりは、逆方向に過剰な魔力が流れた跡に見えます」
エリックは少し驚いた顔をした。
「え、そんな事までわかるんですか?」
「以前に同じようなものを見た事があって」
リリーは学生時代、魔導回路に逆向きの魔力を流した事がある。
教科書には回路が焼き切れると書いてあるが、危険なため実験は行われない。
でもどうしても自分の目で確かめたくて、誰もいない実験室でこっそり実験したのだ。
回路の周りに小さな結界を張りながら逆方向に魔力を流す。
すると一番抵抗が強い箇所で回路は焼き切れるのだ。
その痕跡にとても似ていた。
「でもどうして急に逆向きに流れたのか……」
リリーは目を閉じて制御装置周辺の魔力の流れを確認する。
「え…?」
すごく微かに、壁の向こうに魔力の流れを感じる。
リリーは壁に手を当てて壁の向こう側に意識を集中した。
確かに、うっすらと魔力の流れがある。
「もし近くを流れた強力な魔力に干渉されて、術式の中の魔力が逆流したとしたら……」
エリックは少し驚いた顔をした。
「確かに、魔導回路は近くに強い魔力が流れると、干渉されて不具合を起こす事はありますけど……。ここ、地下ですよ?強い魔力が流れるなんて事あります?」
「…………」
リリーはしばらく考えていたが、エリックの方を向いてあっさり言った。
「次、行きましょう。これはあくまで仮定です。もう少し情報収集しないと」
エリックは数秒瞬きして慌てて答えた。
「は、はい!そうですね、次行きましょう」
二件目は装置そのものに損傷はなかったが、誤作動を起こした履歴が見つかった。
——やっぱり。
ちょうど歩いている真下あたりに確かにわずかな魔力の流れがある。
水路の流れとは別の何か。
「……先輩?」
立ち止まったリリーにエリックが声をかける。
「少し待って」
目を閉じる。
水の流れとは違う、細いけれど速い魔力の流れが幾重にも枝分かれしながら、石の下を抜けていく。リリーはしゃがみ、床へ手をついた。湿った石の冷たさが手袋越しに伝わる。
じっとリリーを見ていたエリックが聞いた。
「そこ、何かあります?」
「本当に微かですが、魔力の流れがあります」
「地中に?」
「ここよりももっと深くです」
「俺には何も分からないです」
エリックはそう言うが、説明するのは難しい。
「次に行きましょう」
リリーは立ち上がるともう歩き出していた。
六か所すべてを回り終えた頃には、昼を大きく過ぎていた。
地上へ戻ると、曇った空から細かな雨が落ち始めていた。
リリーは軒下で地下水路の図面を広げた。調査した六か所に印をつける。
「装置の種類も、設置時期も違う」
「でも全部、周囲に変な魔力の流れがあるんですよね」
エリックが確認した。
「そうですね」
リリーは図面を睨んだ。
不具合の位置に規則性があるようには見えない。
水路の流れとも一致しない。
「……先輩」
横からエリックが覗き込んだ。
「これ、線で繋いだらどうなります?」
「線?」
「はい。ほら、ここからここ。それからこっち」
エリックの指が、六つの印をなぞる。
リリーは眉を寄せた。
確かに、水路として見れば何の繋がりもない地点なのに、別の線があると考えればきれいに繋がって見える。
「何の線でしょう」
エリックは首を捻った。
「昔の水路?」
はっとリリーはエリックの顔を見た。
「資料室に行きましょう」
*
「また来たね」
資料室の奥で、ノア・グレンは眼鏡越しに二人を見た。
「今日はもう一人いるんだ」
「エリック・ハサウェイです」
エリックがペコリと挨拶をした。
「どうも。それで、今度は何?」
リリーはグレンの灰色の目を真っ直ぐ見て伝えた。
「王都の古い地下の図面が見たいんです」
「どのくらい古い?」
「あるだけ全部」
「……君、そういう頼み方得意だよね」
ノアはため息をつきながら立ち上がった。
しばらくして戻ってきた彼の腕には、三本の図面筒と二冊の古い資料が抱えられていた。
「今の王都の地下水路が整備され始めたのは、百五十年くらい前。それより前となると、記録がかなり曖昧になる」
リリーは印をつけた地下水路の図面を横に広げて一つずつ昔の図面と比べてみる。一本目、二本目と調べてみて、三本目を広げたところで、リリーの手が止まった。
「……これかもしれない」
紙はかなり黄ばんでいた。
描かれているのは、今の王都とはまるで違う街だった。
道幅も区画も何もかも違う。
「これは?」
「旧王都よりさらに前。この土地の地下に造られていた都市の復元図」
エリックが目を丸くした。
「旧王都の前にも街があったんですか?」
「正確には巨大な地下空間を利用して造られた都市だね。地上にも居住区はあったらしいけど、工房や貯水施設、倉庫なんかは地下に集中していたらしい」
「どうして地下に?」
「そこまでは分かってない。かなり高度な魔法技術を持っていたらしいよ。貯水槽、工房、倉庫、輸送路。それぞれに魔力を供給するための魔導路もあった」
「魔導路……」
リリーの指が止まった。
以前読んだ本の記述が蘇る。
魔力を離れた場所へ運ぶための道。
「ただ、都市そのものが衰退してからは使われなくなった。今の地下水路を作るときに一部が発見されて、そのまま基礎や水路として転用された場所もある。でも全貌は分かってない」
「その魔導路の図面は?」
「完全なものはない」
ノアが別の紙を引き出す。
「復元された範囲ならこれ」
リリーは受け取った。
そして現在の地下水路図に重ねた。
「……先輩」
エリックが小さく言った。
六つの印のうち、五つ。古い魔導路と重なっている。
残る一つも、復元図では途中で線が途切れているだけだった。
「偶然じゃなさそうですね」
「そうね」
リリーは答えながら、地図を見ていなかった。
頭に浮かんでいたのは、昨日の庭だった。
結界の外へ踏み出したシオンと地下へ引かれていた魔力。
「……まさか」
「コレット先輩?」
エリックが顔を覗き込んで聞いてくる。
「いえ」
リリーは地図を畳んだ。
「まだ分かりません」
可能性と断定は違う。今あるのは、一つの可能性だけだ。
それでも胸の奥に生まれた疑念は、簡単には消えなかった。
リリーとエリックは図面と資料を借りて資料室を出た。
不具合の原因が古い魔導路からの魔力干渉だと分かれば、対処そのものは難しくない。問題の制御装置と古い魔導路との間に、魔力を遮断する術式を追加すればいい。
「これ、応援呼びます?」
エリックが聞いた。
「どうして?」
「どうしてって……これ、範囲広いですよ」
「でも全部を覆う必要はありません。干渉している箇所だけ切ればいいので」
リリーはあっさり答えた。
「まあでもまずは主任にここまでの報告して、正式な許可が下りたら結界を張りに行きます。今日はとりあえずここまでの報告をまとめないと」
エリックはハッとして答えた。
「報告書は俺、まとめますんで……でも先輩」
「何ですか?」
「これ、報告書にそのまま書いていいですか?コレット先輩が、見えない壁や床の向こうの魔力の流れを感知してわかったって」
「……まあ、事実を書くしかないかと」
リリーがやった事としてはできるだけ目立たず書いて欲しいところだが、報告書は正確であるべきだ。それ以上でもそれ以下でもない。
「ですよね……」
なぜかエリックが遠い目をした。
「先輩!!」
急にエリックがこちらに向き直った。
「何ですか?」
リリーは半歩下がる。
「俺を先輩の弟子にしてください!」
エリックは大きく頭を下げた。
「何のですか」
「魔力感知です!あんなことできるなんて……先輩、すごすぎます!」
エリックは明るい茶色の瞳をキラキラさせている。
「嫌です」
リリーは即答した。
「なんでですか!」
エリックは慌てて詰め寄る。
「弟子なんて面倒なので」
「そこ!?」
エリックは納得していない。
「まずはしっかり報告書をお願いします」
エリックは一瞬肩を落としたが、すぐに顔を上げた。
「俺、諦めませんよ。まずは仕事をしっかりやるところ、先輩に見せますから。報告書、ちゃんと書きます」
エリックは強い眼差しで言った。
「お、お願いします」
*
帰宅する頃には、雨脚が少し強くなっていた。
傘を閉じ、玄関を開ける。
「ただいま」
「おかえり」
「おう、おかえり」
奥から二つの声が返ってきた。
リリーは玄関の前で固まった。
「……ロイ?」
「なんだよ、その反応」
「どうしているの?」
ロイは目を丸くして立っているリリーに得意げに言った。
「昨日、また来るって言っただろ」
「そうだっけ」
「お前、俺の言うこと少しは真剣に聞け!」
居間へ入ると、ロイはすっかり寛いだ様子で椅子に座っていた。
テーブルの上には二つのグラスがある。
「もう飲んでるの?」
「水だよ! さすがにお前が帰る前から飲まねえよ」
台所から温かい匂いが流れてくる。肉と玉ねぎ、それに香草。
朝から地下水路を歩き回っていた身体が、その匂いに急に空腹を思い出した。
「遅かったな」
台所から出てきたシオンが言った。
リリーは濡れた外套を脱いだ。
「今日は地下水路の調査だったんです」
「だからそんなに汚れてるのか」
「そんなに汚れてます?」
驚いて腕や腹の辺りを確認する。
「裾」
見ると、スカートの端に泥が跳ねていた。
「……後で落とします。それよりこれ見てください」
鞄から図面を取り出そうとすると、シオンが言った。
「先に食え」
「でも、確認したいことが——」
「昼は?」
「食べました」
「何を」
リリーは黙った。
朝、アンナから報告書を受け取り、そのままエリックと地下へ行った。地上へ戻った時にはすでに昼を過ぎていて、そのまま資料室へ行き——
「……食べる予定はありました」
「それは食べたとは言わない」
向かいでロイが吹き出した。
「お前、本当に変わってねえな」
「ロイには関係ないでしょ」
「俺が言っても聞かなかったけどな」
遠い目をしてロイが呟く。
『リリーは昔からこうだ』
いつの間にか足元に来ていたルウまで口を挟む。
「ルウは黙ってて」
「猫も分かってるな」
「シオンには分からないでしょう」
「大体分かるようになってきた」
さらりと言われて、リリーは言葉に詰まった。
なんだかこの三人、いや二人と一匹は最近仲良くなっていないか。
「とにかく食え」
シオンに促され、リリーは渋々図面を鞄へ戻した。
*
食事が半分ほど進んだところで、ロイが何気なく言った。
「でもほんと、今日俺が来てよかったぞ。こいつ、お前がいない間に一人で結界の外に出ようとしてたからな」
リリーの手が止まった。
「……何のこと?」
ロイも止まった。シオンがロイに視線を送る。
「言ってなかったのか?」
「言う前にお前が言った」
「何の話?」
二人が黙っている。
リリーは嫌な予感しかしなかった。
「シオン」
リリーはあえてゆっくり名前を呼んだ。
シオンが諦めたように軽く肩を上げて説明した。
「今日、結界の外に出てみたんだ」
「…………」
リリーは手にしていたフォークを静かに置いた。
「どうやって出たんですか?」
リリーはなるべく落ち着いた声が出るように努力した。
「普通に出たのと、飛行魔術。それから足元に結界を張った状態で何度か」
「飛行魔術?足に結界?何度出たんですか?」
落ち着いた声はもう出せなかった。
「五回くらいだな」
「五回!?」
「ほらな」
ロイがシオンを指差した。
「だから言っただろ。絶対怒るって」
「お前も途中から手伝ってただろ」
「一人でやらせるよりマシだからだ。俺がたまたまこの家にきてよかっただろ。一人で無茶なことするのはもうやめろよ、せめて俺がいる時にしろ」
リリーはこめかみを押さえた。
「どうして私がいない時に、そんなことをするんですか」
「お前、仕事だっただろ。結構魔力も戻ったしな、昨日の感じならいけると思ったんだ」
「そういう問題ではありません」
「俺もそう言ったぞ」
「ロイは黙ってて」
ロイはちょっとむくれた顔をした。
『俺も止めたんだぞ、一応な』
ルウが尻尾を揺らした。
「それで?」
結局、聞かずにはいられない。
「結果はどうだったんですか」
シオンは少し考えてから答えた。
「普通に出れば、昨日と同じだ。魔力がかなり持っていかれる」
「飛行魔術では?」
「地面に触れなくても減った。ただ、少し弱かった気はする」
「足元に結界を張った場合は?」
「もっと弱くなった。でも止まりはしない」
シオンは淡々と答えた。
リリーはその場にいなかったのが残念で仕方なかった。
「私も見たかったです。というか、飛行魔術使えるんですか?初耳なんですけど」
「まあ聞かれなかったからな」
ふっとロイは吹き出した。
「お前ら、似てるな。そういうところ」
リリーが嫌そうな顔をする。
「ちなみに、こいつの飛行魔術はかなり見ものだったぞ」
「……そうなんですか?」
かなり気になったが、今はそれより話すことがある。
「わかりました、夕食の片付けをしたら私からも少し報告があります」
皆で食卓を片づけ、テーブルに地下水路の図面を広げた。
その上に、資料室で写してきた古代都市の復元図を重ねる。
「この図面は今の王都です」
「こっちは?」
「古代、この土地の地下に造られていた都市です。大規模な施設があって、魔導路が張り巡らされていたそうです」
シオンが椅子を寄せた。
肩が触れそうな距離まで近づく。
リリーは地図に目を落としたまま、古い魔導路を指でなぞった。
「この印は今日私が確認した、不具合を起こしていた地下水路の設備です」
六つの印。
「ほとんどが、この魔導路の上にありました」
「今も使われてるのか?」
「そんなはずはありません。少なくとも公式には」
リリーは別の印をつけた。自宅の位置。
古い魔導路の一本が、その近くを通っている。
「この家も?」
「はい、この家の近くにも魔導路が通っています」
シオンの表情が変わった。
断定するには証拠が少なすぎる。
それでも——
「シオン」
「ん?」
顔を向けると、思いのほか近くにシオンの顔があった。
リリーは一瞬言葉に詰まり、地図へ視線を戻した。
「地下水路の設備の不具合は、あなたがこの家の前で倒れていた頃から急に増えました」
シオンの怪訝な声がする。
「どういうことだ?」
リリーは地図の上に指を置いた。
王都の地下を、リリーの家の地下を網の目のように走る古い魔導路。
「強い魔力が地下の魔導路を通ったことで、水路の設備が不具合を起こした。そしてその流れた強い魔力——」
顔を上げる。
「シオン、たぶん——あなたのです」




