↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼平軍曹の魔石ガトリング無双  作者: しょぼんスライム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/52

第46話 軍曹、地下鉄の闇を撃ち抜く

南の海上基地を離れた鬼平たちは、西の地下鉄跡地へ向かった。


 地上には、使われなくなった駅舎が残っている。


 駅名の看板は錆び、階段の入口には立入禁止の柵が倒れていた。


 しかし、地下からは低い振動が伝わってくる。


 ドクン。


 ドクン。


 古竜の心臓とは違う。


 鉄道網と通信網を利用し、門を作ろうとする偽物の鼓動だった。


 鬼平は二挺のガトリング砲を両手に持っていた。


 左の砲は白い魔石を輝かせている。


 右の《雷鱗砲》は、海水を浴びたにもかかわらず、青い光を安定させていた。


 ノアが駅の地図を広げる。


「この地下鉄は、昔の軍用輸送線と繋がっている。地下深くに、使われなくなった指令所があるはずだ」


「接続点は」


「第四の接続点は、地下鉄の線路と通信ケーブルを使っている。たぶん、指令所のさらに奥だ」


 リーゼが、地面へ手を当てた。


「黒い霧が、地下全体へ広がっています。線路だけではありません。駅の照明、信号機、古い通信機まで利用しています」


「敵は、地下鉄全部か」


「そう考えた方がいいです」


 鬼平は立入禁止の柵を見た。


 鉄製の扉には、黒い霧で文字が浮かんでいる。


『地下へ来い』


『鉄の道を進め』


『門を開けろ』


 鬼平は右の砲架を扉へ叩きつけた。


 一撃で扉が歪む。


 二撃目で錠が壊れる。


 三撃目で扉が地下階段へ倒れた。


「普通に切断工具を使え」


 ノアが言った。


「敵がいる」


「毎回それだな」


 鬼平たちは地下へ降りた。


 階段の下に、古い駅の改札が残っている。


 改札機の表示が一斉に赤く点灯した。


 無人のはずの駅構内に、放送が流れる。


『まもなく、門が開きます』


『危険ですので、線路内へお入りください』


 高瀬が顔をしかめた。


「案内が逆だ!」


 改札機から黒い霧の腕が伸びた。


 鬼平は左のガトリング砲で腕を撃ち、右の《雷鱗砲》で改札機との接続を切った。


 霧が消える。


 しかし、駅の奥から電車の走行音が響いた。


 線路には電気が通っていないはずだった。


 それでも、二本の線路が赤く光り、黒い列車がホームへ滑り込んでくる。


 車体は古い地下鉄車両。


 窓の中には、黒い霧で作られた兵士が並んでいる。


 列車の先頭には、赤い眼が一つ浮かんでいた。


「列車が敵か」


 鬼平は左の砲を構えた。


 列車の扉が開き、黒い霧の兵士が一斉に飛び出した。


 魔石銃が火を噴く。


 鬼平は左のガトリング砲で弾幕を張った。


 白い弾丸が魔石銃を破壊する。


 右の砲で、兵士と線路を繋ぐ接続を切った。


 黒い霧の兵士が倒れる。


 しかし、列車の車体から新しい霧が流れ、倒れた兵士を起こしていく。


「再生しています!」


 リーゼが叫んだ。


「列車の動力源を止めない限り、何度でも出てきます!」


 鬼平は列車の先頭を見た。


 赤い眼の下に、黒い魔石が埋め込まれている。


 右の《雷鱗砲》で魔石との接続を切ろうとする。


 しかし、車両の側面から鉄の扉が飛び出し、弾丸を防いだ。


 列車そのものが防御している。


 鬼平は左の砲で扉の蝶番を撃ち、右の砲架で扉を殴り飛ばした。


「撃てなくても、殴る!」


 鬼平は列車の先頭へ近づいた。


 黒い列車が突然動き出し、ホームを離れる。


 線路の先には、暗いトンネルが続いている。


 鬼平は列車の側面へ飛び乗った。


 左のガトリング砲を車体へ固定し、右の砲で先頭の接続を探す。


 黒い列車はトンネルを高速で進み始めた。


 車内から黒い兵士が現れ、鬼平へ襲いかかる。


 鬼平は左の砲を連射し、車内の通路を弾幕で制圧した。


 右の砲で兵士の魔力管を切断する。


 車両の連結部が大きく揺れた。


 後方の車両から、巨大な鉄の腕が伸びてくる。


 鬼平は砲架で腕を受け止めた。


 鉄の腕には、地下鉄の線路と通信ケーブルが巻きついている。


 腕が鬼平を車体から引き剥がそうとする。


 鬼平は左の砲で腕の関節を撃ち、右の砲でケーブルとの接続を切断する。


 腕が車両の側面へ落ちた。


 鬼平は先頭車両へ進んだ。


 運転席には誰もいない。


 しかし、運転席の窓いっぱいに赤い眼が浮かんでいる。


『列車は止まらない』


『地下を走る』


『世界を繋ぐ』


「止める」


 鬼平は左の砲で運転席の制御盤を撃った。


 制御盤が破壊される。


 黒い霧が運転席へ集まり、壊れた機械を再生させた。


 右の雷鱗砲で、制御盤と線路の接続を切る。


 列車が揺れた。


 速度が少し落ちる。


 しかし、線路の先に赤い光が現れた。


 トンネルの壁面に、第四の門が開き始めている。


 黒い列車は、その門へ向かって走っていた。


「門を抜けるつもりです!」


 通信機からリーゼの声が響いた。


「通過されたら、地下鉄全体が異世界への通路になります!」


 鬼平は二挺の砲を構えた。


 列車を止める必要がある。


 しかし、線路そのものが黒い霧に繋がっているため、線路を撃てばトンネルが崩れる可能性がある。


 ノアが叫んだ。


「先頭車両の下に、非常用ブレーキの接続があります!」


「どこだ」


「車体の底、右側だ!」


 鬼平は列車の外へ出た。


 高速で進む車体にしがみつき、線路の上へ身を乗り出す。


 黒い霧の触手が、車体の底から伸びてきた。


 鬼平は左の砲で触手を撃ち落とし、右の砲架で別の触手を殴り折る。


 車体が大きく揺れた。


 鬼平は片手で砲を持ち、右側の非常用ブレーキを探した。


 赤い魔力管が一本だけ浮かんでいる。


 右の砲で狙う。


 列車が門まで、あと数十メートルに迫る。


 鬼平は引き金を引いた。


 青白い弾丸が非常用ブレーキの接続を切断する。


 黒い列車が急減速した。


 車輪が火花を散らし、トンネル全体が揺れる。


 列車は門の手前で止まった。


 しかし、第四の門は閉じない。


 列車の各車両から、黒い霧が門へ流れ込んでいる。


 門を閉じるには、列車と門の接続を切る必要がある。


 鬼平は先頭車両へ戻った。


 赤い眼が、フロントガラスの向こうで大きく開く。


『列車を壊せ』


『線路を壊せ』


『地下を壊せ』


『世界を壊せ』


 鬼平の左の砲が回転を始めた。


 ノアの声が通信機から届く。


「軍曹、テンションを上げすぎるなよ!」


「敵が言った」


「何を?」


「地下を壊すと」


「それは敵の脅しだ!」


 黒い霧が列車全体を覆い、赤い眼がさらに増えた。


 列車の屋根から、鉄の槍が突き出してくる。


 鬼平は左のガトリング砲を撃ち、槍を一本ずつ削った。


 右の砲で、槍と列車の接続を切断する。


 しかし、列車の後方から別の車両が分離し、門へ突進していく。


「車両を切り離して門へ送っています!」


 リーゼが叫んだ。


 鬼平は列車の連結部へ走った。


 黒い霧の兵士が道を塞ぐ。


 左の砲で兵士の武器を破壊し、右の砲で魔力管を切断する。


 弾幕が車両内を通り抜け、連結部へ道を作った。


 鬼平は右の砲架を連結装置へ叩きつけた。


 装置が歪む。


 後方車両が、門へ向かって加速する。


「時間がない!」


 高瀬が叫んだ。


 鬼平は左のガトリング砲を連結部へ向けた。


 白い弾幕が連結装置を削る。


 右の雷鱗砲で、黒い霧の接続を切断する。


 車両が分離した。


 しかし、分離した車両は惰性で門へ進んでいく。


 鬼平は車両の先頭へ飛び乗った。


 門の向こうには、竜域の黒い空間が見える。


 赤い眼の群れが、車両を通してこちらを見ていた。


 鬼平は左の砲を構えた。


 車両の床には、地下鉄の制御線と門の接続線が絡み合っている。


 右の砲では一度に切れない。


 鬼平は左のガトリング砲を連射し、接続線の周囲を削った。


 黒い霧が車両の壁から伸び、鬼平の腕へ絡みつく。


「この(ピー)が、列車で(ピー)してくるんじゃねえ!」


 鬼平は砲架で霧の腕を殴り飛ばした。


「オレの仲間と、地下の兵士を勝手に道具にするな!」


 左の砲がさらに回転する。


 白い魔石弾が、車両内の黒い接続を次々に削っていく。


 鬼平の戦意が急上昇した。


 右の雷鱗砲が電力と魔力を同時に吸収する。


 白い弾幕と青い雷が車両を覆った。


《ハイテンションスキル》発動


 魔石弾が尽きない。


 砲身が壊れない。


 黒い霧が車両を包んでも、鬼平の砲撃は止まらない。


「この(ピー)が!」


 左の砲で、門へ伸びる接続線を破壊する。


「地下鉄をてめえの(ピー)にするんじゃねえ!」


 右の砲で、異世界側の接続を切る。


「まとめて(ピー)して、線路の外へ帰りやがれ!」


 赤い眼が一斉に歪む。


加工音声:ピー、ピー、ピー


 鬼平は最後の一本へ照準を合わせた。


 門の向こうから、巨大な黒い爪が伸びてくる。


 鬼平は左の砲架で爪を受け止めた。


 砲架が軋む。


 黒い爪が鬼平を門へ引きずり込もうとする。


 鬼平は右の砲架を持ち上げた。


「撃てなくても、殴る!」


 右の砲架を爪へ叩き込む。


 黒い爪が砕け、門の向こうへ消えた。


 最後の接続線が露出した。


 鬼平は右の《雷鱗砲》を構えた。


 ハイテンションスキルの力で、雷、砂、氷、電力、火薬の熱が一つに集まる。


 鬼平は引き金を引いた。


 青白い弾丸が最後の接続を貫く。


 第四の門が閉じた。


 門へ向かっていた車両が、静かに停止した。


 黒い霧が消え、車内の照明が戻る。


 鬼平のハイテンションスキルが終了した。


 弾薬は減っていない。


 砲身も壊れていない。


 ただし、地下鉄車両の床には、鬼平の砲架による大きなへこみが残っていた。


 ノアが車内へ駆け込んでくる。


「軍曹! 列車を壊すなと言っただろう!」


「門は閉じた」


「列車の床が壊れている!」


「走れるか」


「線路が残っているから、たぶん走れる」


「なら問題ない」


 地上へ戻ると、地下鉄跡地の赤い亀裂は消えていた。


 しかし、地図上の赤い印はまだ三つ残っている。


 北東の山中。


 中央部の高層通信施設。


 そして、場所の分からない最後の接続点。


 基地の指揮官が通信を受けた。


「第四の接続点を閉じた直後、中央部の通信施設で大規模な停電が発生しました」


 リーゼが目を細める。


「黒い霧が、次の接続点へ移動したようです」


「次は通信施設か」


 鬼平は左のガトリング砲を確認した。


 白い魔石は、ハイテンションスキルの後でも安定している。


 右の《雷鱗砲》も問題ない。


 ノアがため息をついた。


「地下の次は高い場所か」


「撃つ」


「まだ暴言は出ていないな」


 鬼平は遠くの通信塔を見た。


 その頂上で、赤い光が明滅している。


「敵がいる」


「だから、それは暴言じゃない」


 鬼平は二挺のガトリング砲を担いだ。


 西の地下鉄跡地を後にし、中央部の高層通信施設へ向かう。


 地下深くでは、切断された線路が静かに冷えていた。


 閉じた第四の門の向こうで、黒い霧が次の場所へ移動している。


『鉄の道は閉じた』


『ならば、空へ行く』


 鬼平軍曹の次の戦場は、雲より高い通信塔だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。