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鬼平軍曹の魔石ガトリング無双  作者: しょぼんスライム


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おまけコーナー 軍曹の暴言が聞きたい人へ

――本編ではなかなか出ないので、ここでまとめてどうぞ――

 鬼平軍曹の魔石ガトリング砲は、敵を撃つための兵器である。


 しかし、もう一つ重要な機能がある。


 鬼平の口から、放送では加工される言葉を引き出すことだ。


 普段の鬼平は、必要なことしか言わない。


「撃つ」


「切る」


「進む」


「直す」


 だが、敵が仲間を傷つけた時。


 砲が壊れた時。


 弾薬が足りない時。


 そして、敵が「王国の力だ」「竜は兵器だ」などと言った時。


 鬼平の中で、何かが切り替わる。


 それが――《ハイテンションスキル》である。



ハイテンションスキル発動条件

•仲間が危険にさらされる

•敵が調子に乗る

•砲を壊される

•弾薬や魔石を無駄遣いされる

•「撃てないだろう」と言われる

•竜や仲間を道具扱いされる


 このうち二つ以上が重なると、鬼平のテンションが急上昇する。


 三つ重なると、かなり危険。


 四つ重なると、周囲の兵士が耳を塞ぐ。


 五つ重なると、ノアが整備工具を置いて逃げる。



暴言その一 敵が砲を壊した時

 魔導兵が、鬼平の左のガトリング砲へ斧を叩き込んだ。


 砲身に傷が入る。


 鬼平はゆっくりと砲を見た。


「……」


 ノアが青ざめる。


「軍曹、落ち着け」


「落ち着いている」


「その顔で?」


 鬼平は魔導兵へ向き直った。


「この(ピー)が!」


 左の砲架を握り直す。


「オレの砲に傷をつけて、ただで済むと思うなよ、この(ピー)野郎!」


 魔導兵が一歩後退した。


「砲が撃てなくてもな――」


 鬼平は砲架を振り上げた。


「こいつで(ピー)してやる!」


 直後、魔導兵は砲架によって壁まで吹き飛んだ。


加工音声:ピー、ピー、ピー



暴言その二 弾薬を無駄にされた時

 王国軍の魔導砲が、鬼平たちの弾薬箱を吹き飛ばした。


 新品の魔石弾が、砂と一緒に散らばっていく。


 鬼平は、落ちた弾薬を見た。


 次に、敵を見た。


「……今、何をした」


 敵の魔導士が笑う。


「補給を断ったのだ。貴様の砲は、もう撃てまい!」


 鬼平の右目がわずかに細くなる。


「弾を……」


 左の砲が回転を始めた。


「弾を粗末にしたな、この(ピー)!」


 鬼平は右の《雷鱗砲》を構える。


「一発一発に金がかかってんだよ! この(ピー)が!」


 魔導士の顔から笑みが消える。


「弾がないなら――」


 鬼平は砲架を地面へ叩きつけた。


「敵の方を弾にする!」


加工音声:ピー、ピー、ピー、ピー



暴言その三 仲間を道具扱いされた時

 敵の司令官が、捕らえた竜を見下ろした。


「竜は門を開くための燃料だ。意思など必要ない」


 鬼平は、二挺の砲を下ろした。


 リーゼが息を呑む。


「軍曹?」


「今の言葉を、もう一度言え」


 司令官は笑った。


「竜は兵器だ。獣人も兵士も、使うためにある」


 鬼平の周囲で、魔力が膨れ上がった。


 左の魔石が白く輝く。


 右の《雷鱗砲》が雷を吸い込む。


「この(ピー)が……」


 鬼平は低い声で言った。


「仲間を道具にして、何が王国だ」


 砲身が回転する。


「竜も獣人も兵士も、てめえの(ピー)じゃねえ!」


 鬼平が一歩進む。


「まとめて(ピー)して、二度と誰かを道具扱いできねえようにしてやる!」


加工音声:ピー、ピー、ピー、ピー、ピー


 竜が拘束具を引きちぎった。


 獣人兵が一斉に武器を構えた。


 元の世界の兵士たちが銃を構える。


 敵の司令官は、初めて自分が孤立したことに気づいた。



暴言その四 「撃てない」と言われた時

 敵の巨大魔導兵が、鬼平の二挺の砲を見て笑った。


「その砲は壊れている。撃てないだろう!」


 鬼平は右の砲を見た。


 砲身には亀裂。


 魔石は沈黙。


 敵は勝ち誇っていた。


 鬼平は砲架を握った。


「……撃てない」


 敵が笑う。


「そうだ! 貴様は終わりだ!」


 鬼平は一歩近づいた。


「だが」


 砲架を持ち上げる。


「殴れる」


 敵の笑顔が消える。


「撃てねえからって、勝った気になるんじゃねえぞ、この(ピー)が!」


 鬼平は砲架を振り下ろした。


「砲が撃てないなら、砲で(ピー)する!」


 巨大魔導兵の胸部装甲がへこむ。


「まだ殴れる!」


 二撃目。


「まだ壊せる!」


 三撃目。


「まだ勝てる!」


加工音声:ピー、ピー、ピー



暴言その五 ハイテンションスキル完全発動

 仲間が全員倒れた。


 左右の砲は故障寸前。


 弾薬は残りわずか。


 敵は大軍。


 敵の将軍は、鬼平の前でこう言った。


「貴様一人に何ができる?」


 鬼平は顔を上げた。


 左の砲が回転する。


 右の《雷鱗砲》が雷を吸収する。


 白い魔石と青い魔石が、同時に輝いた。


「一人じゃねえ」


 鬼平の背後に、竜たちの影が現れる。


 獣人兵が立ち上がる。


 元の世界の兵士たちが銃を握る。


「砲がある」


 鬼平は二挺のガトリング砲を構えた。


「仲間がいる」


 回転音が大きくなる。


「そして、てめえらを(ピー)する理由がある!」


 鬼平の戦意が、限界を超えた。


 《ハイテンションスキル》発動。


 その瞬間、二挺のガトリング砲から赤と青の弾幕が噴き出した。


 魔石弾は尽きない。


 砲身は壊れない。


 鬼平は三回、暴言を吐いた。


「この(ピー)が!」


「オレの仲間に手ぇ出してんじゃねえ、この(ピー)野郎!」


「まとめて(ピー)して、二度と立てねえようにしてやる!」


 さらに二回。


「砲の前で調子に乗るんじゃねえ!」


「オレを怒らせた時点で、てめえらの負けだ!」


 合計五回。


 放送規定の限界ぎりぎりだった。


加工音声:ピー、ピー、ピー、ピー、ピー


 弾幕が戦場を覆い尽くす。


 敵の魔導砲が消える。


 魔力管が切れる。


 装甲が砕ける。


 しかし、鬼平は敵を皆殺しにはしなかった。


 最後の一発を、敵将の足元へ撃ち込む。


 敵将が膝をついた。


 鬼平は砲口を下ろした。


「次は、仲間を道具扱いするな」


ハイテンションスキル終了


 弾薬は減っていない。


 砲身も壊れていない。


 ただし、鬼平の喉だけが少し枯れていた。



ノアの反省会

「暴言は三回から五回までにしろ」


 ノアが言った。


「五回以上になると、加工担当が死ぬ」


「敵がいる」


「敵がいてもだ」


「砲が壊れたら」


「暴言を吐く前に修理しろ」


「弾が無駄になったら」


「補給すればいい」


「仲間を傷つけられたら」


「……三回までなら許可する」


 鬼平は黙って右の砲を見た。


 ノアは嫌な予感がした。


「何だ」


「次の戦場」


「海上基地か?」


「ああ」


「海では暴言が響くぞ」


「敵に聞かせる」


 鬼平は二挺のガトリング砲を担いだ。


「この(ピー)が、海軍を名乗っている」


「もう一回言ったな?」


加工音声:ピー


 鬼平軍曹の暴言は、次の海上基地でさらに増える予定である。



おまけの結論

 鬼平軍曹は、普段は無口である。


 だからこそ、暴言が出た時の破壊力は大きい。


 ただし、放送や出版の都合により、重要な部分には必ず加工が入る。


「この(ピー)がオレの(ピー)で(ピー)してやる!」


 何と言っているのかは、読者の想像に任せる。


 なお、ノアによれば、実際の内容は毎回違うらしい。


 鬼平によれば、全部同じらしい。


 どちらが正しいのかは、次の戦場で判明する。


「撃つ」


「殴る」


「そして、必要なら叫ぶ」


 これが、鬼平軍曹の《ハイテンションスキル》である。

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