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鬼平軍曹の魔石ガトリング無双  作者: しょぼんスライム


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第41話 軍曹、古竜の心臓を撃つ

赤い亀裂を抜けた先に、空はなかった。


 上下も、東西もない。


 ただ、黒い空間の中央で、巨大な光が鼓動していた。


 ドクン。


 ドクン。


 それが、古竜の心臓だった。


 心臓は山ほどの大きさがあり、赤い血管のような竜脈が周囲の暗闇へ伸びている。


 竜脈の先には、閉じた七つの門が浮かんでいた。


 王国、獣人連邦、海底神殿、雷鳴の高原、砂漠の地下墓所、凍土の竜骨城、そして王城。


 鬼平たちが閉じてきた門が、古竜の心臓を囲むように並んでいる。


 ヴァルグリムが低い声で言った。


『ここが竜域の中心だ』


『古竜の心臓は、すべての竜脈の源であり、門を維持する力でもある』


 鬼平は二挺のガトリング砲を見た。


 左の砲は白い魔石。


 右の《雷鱗砲》は、雷、砂、氷の魔力を静かに循環させている。


「敵は」


『心臓の前にいる』


 赤い光の下に、ひとりの男が立っていた。


 白い法衣。


 七本の黒い翼。


 胸部には複数の魔石。


 王城から逃げた教会最高司祭だった。


 しかし、以前とは姿が違う。


 身体の半分が黒い竜の鱗に覆われ、両腕には古竜の骨で作られた砲身が取り付けられている。


 その砲身は、魔石ガトリング砲に似た形をしていた。


「来たか、異界の軍曹」


 最高司祭が笑った。


「七つの門は閉じた。だが、門を閉じた力はすべて心臓へ戻ってくる」


 鬼平は砲を構えた。


「心臓を使う」


「そうだ。古竜の心臓を起動させれば、竜域と元の世界を一つにできる」


「敵だ」


「世界を一つにするのだぞ。王国も異世界も、竜も人間も、すべて一つの支配下に置かれる」


「仲間を使う」


「力を使うだけだ!」


 鬼平は左のガトリング砲を撃った。


 白い弾幕が最高司祭へ向かう。


 最高司祭の黒い翼が広がり、弾丸を吸収した。


 吸収された弾丸は黒い光へ変わり、逆に鬼平たちへ飛んでくる。


 鬼平は右の《雷鱗砲》を構えた。


 青白い弾丸が黒い光の接続を切断する。


 黒い光は勢いを失い、暗闇へ消えた。


「左の砲を吸収する」


 ノアが叫んだ。


「心臓の前では、魔石弾の魔力が敵に利用される!」


「右を使う」


 鬼平は右の雷鱗砲を握り直した。


 最高司祭の背後で、古竜の心臓が大きく鼓動する。


 鼓動のたびに、最高司祭の翼へ赤い魔力が流れ込んでいた。


 右の砲の照準線が、最高司祭と心臓を繋ぐ魔力管を示す。


 鬼平は引き金を引いた。


 青い弾丸が魔力管を切断する。


 最高司祭の右の翼が消えた。


 最高司祭は怒りの声を上げ、両腕の竜骨砲を発射した。


 赤黒い弾丸が連続して飛んでくる。


 鬼平は左の砲で弾丸を撃ち落とした。


 しかし、弾丸の一部が仲間へ向かう。


 ザルディオンが前へ出て、雷の盾を展開した。


 赤黒い弾丸が雷の盾へ当たり、空間が激しく震える。


『古竜の心臓を汚すな!』


 ザルディオンが雷撃を放つ。


 最高司祭の左の翼が焼け落ちた。


 ヴァルグリムも黒い炎を吐き、最高司祭の周囲にある魔力管を焼き切る。


『竜の力を、竜に返せ』


 最高司祭は二体の竜へ向けて、黒い魔力の槍を放った。


 鬼平は左のガトリング砲を撃つ。


 白い弾幕が黒い槍を削る。


 右の雷鱗砲で、槍と最高司祭の胸部魔石を繋ぐ線を切断する。


 槍が消える。


 最高司祭の胸部に埋め込まれた魔石が三つ、赤く輝いた。


「心臓の魔力を直接使っている!」


 リーゼが叫んだ。


「普通に撃てば、心臓の竜脈へ逆流します!」


「なら、接続を切る」


 鬼平は左の砲を構えた。


 最高司祭が空間を歪め、鬼平の前に無数の鏡を作った。


 鏡の中に、別々の最高司祭が映る。


 すべてが同じように砲を構えていた。


 黒い弾幕が四方から飛んでくる。


 鬼平は左の砲を回転させ、迫る弾丸を撃ち落とした。


 右の雷鱗砲が、鏡の魔力接続を読み取る。


 それぞれの鏡は、最高司祭の本体ではなく、心臓から伸びる竜脈に繋がっていた。


 鬼平は右の砲を撃った。


 青い弾丸が鏡と竜脈の接続を切る。


 鏡が一枚消えた。


 二枚目。


 三枚目。


 鏡が次々と砕け、空間に赤い破片が散った。


 最後の鏡の中に、最高司祭の本体が映っている。


 鬼平は右の砲を構えた。


 しかし、最高司祭は鬼平の左手へ向けて黒い砲弾を放った。


 左のガトリング砲に命中する。


 白い魔石が大きく明滅した。


 左の砲身にひびが入る。


 鬼平は砲を落とさなかった。


「左の砲が危険です!」


 ノアが叫ぶ。


「魔石が心臓の魔力を吸い始めています!」


 鬼平は左の砲を見た。


 白い魔石の内部に、赤い光が入り込んでいる。


 撃てば、最高司祭と同じように敵へ利用される可能性がある。


 しかし、撃たなければ仲間を守れない。


 鬼平は左の砲を地面へ向けた。


 一瞬だけ、引き金を引く。


 弾丸が心臓へ向かわず、下方の暗闇へ飛んでいく。


 蓄積していた赤い魔力が、弾丸とともに放出された。


 左の砲身のひびが止まる。


「暴走を逃がした!」


 ノアが叫んだ。


「左の砲は、まだ使える!」


「撃つ」


 鬼平は最高司祭へ向き直った。


 左の砲で黒い翼を削る。


 右の砲で、翼と心臓の接続を切断する。


 最高司祭の翼が一枚ずつ消えていく。


 七枚。


 六枚。


 五枚。


 最高司祭の顔から笑みが消えた。


「なぜだ!」


「敵だからだ」


「私は世界を救う!」


「仲間を撃つ奴は敵だ」


 鬼平は左の砲で最高司祭の竜骨砲を撃った。


 砲身がひしゃげる。


 右の砲架で、もう一方の砲を殴り飛ばす。


「撃てなくても、殴る!」


 最高司祭が後退した。


 古竜の心臓の表面に、巨大な黒い紋章が広がる。


 最高司祭は自分の身体を心臓へ接続しようとしていた。


「これで、私自身が古竜になる!」


 赤い血管が最高司祭の身体へ伸びる。


 黒い鱗が全身を覆い、背中から巨大な翼が再び生え始めた。


 最高司祭の頭部が竜の形へ変わっていく。


 鬼平は二挺の砲を構えた。


 右の雷鱗砲の照準線が、黒い紋章の中心にある接続核を示す。


 しかし、核の周囲には古竜の心臓そのものがある。


 撃てば心臓を傷つける。


 リーゼが叫んだ。


「心臓の鼓動が、三回に一度だけ弱くなります!」


「その時に撃つ」


「次の弱まりまで、あと三秒です!」


 最高司祭が竜の咆哮を上げた。


 黒い炎が空間を満たす。


 鬼平は左のガトリング砲を連射した。


 白い弾幕が炎の流れを分け、仲間たちの前に道を作る。


 ザルディオンが雷を放ち、炎を上へ押し上げる。


 ヴァルグリムが黒い炎で最高司祭の翼を焼く。


 鬼平は一歩ずつ前へ進んだ。


 ドクン。


 心臓が鼓動する。


 ドクン。


 赤い魔力が弱まる。


 鬼平は右の雷鱗砲を構えた。


 最高司祭が巨大な爪を振り下ろす。


 鬼平は砲架で受け止めた。


 爪の重さで身体が沈む。


 左の砲で爪の関節を撃つ。


 右の砲で接続核への道を切り開く。


 ドクン。


 心臓の鼓動が弱まった。


 鬼平は引き金を引いた。


 青白い弾丸が黒い紋章の中心へ飛ぶ。


 接続核の外側だけを撃ち抜いた。


 最高司祭の身体が大きく揺れる。


 心臓から黒い魔力が抜けた。


「まだだ!」


 最高司祭が叫ぶ。


「古竜の心臓は、私を選んだ!」


 古竜の心臓から、巨大な赤い光の腕が伸びた。


 最高司祭ではない。


 古竜の心臓そのものが、侵入者を排除しようとしている。


 腕が鬼平へ向かって振り下ろされる。


 鬼平は左のガトリング砲を撃った。


 白い弾丸が腕の表面を削る。


 しかし、腕は止まらない。


 右の雷鱗砲で、腕と心臓の接続を切ろうとする。


 照準線が複雑に絡み合い、狙いが定まらない。


 リーゼが声を上げた。


「それは敵の攻撃ではありません! 心臓が混乱しています!」


「混乱?」


「最高司祭が心臓へ異物を入れたせいで、心臓が自分を守ろうとしているんです!」


 鬼平は右の砲を下ろした。


 腕へ撃っても意味がない。


 最高司祭の身体に残った黒い異物を除去する必要がある。


 鬼平は最高司祭へ向かって走った。


 黒い翼が刃となって飛んでくる。


 左の砲で翼を撃ち落とす。


 右の砲架で、胸部の黒い鱗を殴る。


 鱗が割れ、内部の黒い魔石が見えた。


 最高司祭が鬼平を掴もうとする。


 鬼平は右の砲架を横に振り、腕を弾いた。


 左のガトリング砲を黒い魔石へ密着させる。


 通常弾を撃つ。


 黒い魔石の外装が砕けた。


 魔力が暴れ、鬼平の腕を赤い光が包む。


 右の雷鱗砲で、黒い魔石と心臓の接続を切断する。


 黒い魔石が最高司祭の胸から抜けた。


 古竜の心臓から伸びていた赤い腕が消える。


 最高司祭の竜化も止まった。


 黒い翼が崩れ、白い法衣だけが残る。


 最高司祭は膝をついた。


「私は……選ばれなかったのか」


「使っただけだ」


 鬼平は黒い魔石を見た。


 魔石の中から、別の声が響く。


『門を開け』


『心臓を奪え』


『世界を一つにしろ』


 声の主は、最高司祭ではなかった。


 古竜の心臓のさらに奥にいる存在だった。


 鬼平は黒い魔石を右の砲架で叩き割った。


 黒い声が途切れる。


 その瞬間、古竜の心臓が激しく鼓動した。


 ドクン!


 赤い血管が一斉に暗闇へ伸びる。


 七つの閉じた門が、再び光を取り戻した。


 リーゼが青ざめた。


「門が再起動しています!」


「七つ全部か」


「はい。最高司祭が使っていた黒い魔石は、門を開くための起動核でした。壊したことで、逆に心臓の防衛機能が暴走しています」


 古竜の心臓の周囲に、七つの巨大な竜影が現れた。


 王国の竜。


 海の竜。


 雷の竜。


 砂の竜。


 氷の竜。


 そして、名前の分からない二体の竜。


 七つの竜影が、それぞれの門へ繋がっていく。


『心臓を守れ』


『侵入者を排除せよ』


 竜影たちが一斉に鬼平へ向いた。


 ザルディオンが前へ出る。


『心臓よ。彼は敵ではない』


 しかし、古竜の心臓は応えない。


 七つの竜影が攻撃を始めた。


 海の竜影が水流を放つ。


 雷の竜影が雷を落とす。


 砂の竜影が砂の刃を飛ばす。


 氷の竜影が空間を凍らせる。


 鬼平は左のガトリング砲を撃った。


 白い弾幕が水流を割る。


 右の雷鱗砲で雷の接続を切る。


 砂の刃を左の砲架で受け、氷の波を右の砲の熱で溶かす。


 七つの竜影は止まらない。


 攻撃のたびに、古竜の心臓から新しい魔力が流れ込む。


「心臓を撃つしかないのか」


 ノアが叫んだ。


「心臓を傷つければ、竜域全体が崩壊する!」


 鬼平は心臓を見た。


 巨大な鼓動の中心に、細い黒い線が走っている。


 黒い魔石が砕けた後も残った、最後の異物。


 それは最高司祭のものではない。


 門の向こうから伸びている。


 鬼平は右の雷鱗砲を構えた。


「異物を切る」


 七つの竜影が一斉に襲いかかる。


 ザルディオンが雷の壁を作り、ヴァルグリムが黒い炎で竜影を押し返した。


 グラウ将軍と獣人兵が、空間に浮かぶ魔導装置を破壊する。


 リーゼが竜脈の流れを読み、接続線を指示する。


「中央から右へ三本! その後、下へ一本です!」


 鬼平は右の砲で最初の線を切った。


 海の竜影が消える。


 二本目。


 砂の竜影が薄くなる。


 三本目。


 雷の竜影が崩れる。


 しかし、残った氷の竜影が鬼平へ突進した。


 巨大な氷の角が迫る。


 鬼平は左のガトリング砲で角を撃つ。


 弾丸が凍りつく。


 右の砲架で角を受け止める。


 砲身が凍り、魔力の流れが一瞬止まった。


 鬼平は砲架を押し返した。


 左の砲で氷竜影の胸部を撃つ。


 胸の中心に、黒い接続線が見えた。


 右の雷鱗砲で接続を切る。


 氷の竜影が消えた。


 最後に残った二体の竜影は、姿が安定しない。


 一体は黒い霧。


 もう一体は白い光。


 黒い霧の竜影が、鬼平の背後へ回り込む。


 白い光の竜影が、正面から心臓を守っていた。


『黒きものは、心臓の外から来た』


『白きものは、心臓の記憶である』


 ヴァルグリムが言った。


『あれを切れば、古竜の心臓は目覚める』


「白い方は敵か」


『敵ではない。だが、眠りを守る』


 鬼平は黒い霧へ左の砲を向けた。


 白い光の竜影が弾丸を防ぐ。


 鬼平は右の雷鱗砲で、黒い霧と白い光の間にある接続を探した。


 黒い霧は、白い光の記憶に隠れている。


 白い光を撃てば、心臓を傷つける。


 黒い霧だけを切る必要がある。


 鬼平は左の砲を下ろした。


 右の砲を、白い光の竜影へ向けた。


 リーゼが息を呑む。


「撃つのですか?」


「黒い霧を出す」


 鬼平は白い光の竜影の胸部へ、弱い弾丸を一発だけ撃った。


 白い光が揺らぎ、内部の黒い霧が露出した。


 鬼平は右の雷鱗砲で、黒い霧と心臓を繋ぐ線を切る。


 黒い霧が白い光から剥がれた。


 霧の中に、巨大な赤い眼が開く。


『門を開け』


『心臓を奪え』


『世界を一つにしろ』


「敵だ」


 鬼平は左のガトリング砲を構えた。


 白い光の竜影が道を開く。


 鬼平は黒い霧へ向かって撃ち続けた。


 白い弾丸が霧を削り、赤い眼を囲む黒い魔力を破壊する。


 霧が反撃の槍を放つ。


 ザルディオンとヴァルグリムが左右から攻撃を受け止める。


 鬼平は右の砲架で、飛んできた槍を殴り折った。


「撃てなくても、殴る!」


 右の雷鱗砲で、赤い眼と黒い霧の接続を切る。


 赤い眼が大きく揺れた。


 古竜の心臓が最後の鼓動を打つ。


 ドクン。


 すべての竜脈が光った。


 七つの門が一斉に消える。


 黒い霧が、心臓から引き離される。


『まだ、終わらない』


『門は、どこにでもある』


 鬼平は左のガトリング砲を黒い霧へ向けた。


「ここで終わる」


 左の砲が全弾を放つ。


 白い弾幕が黒い霧を押し潰す。


 右の雷鱗砲が、最後の接続を断つ。


 黒い霧は砕け、暗闇の奥へ消えた。


 古竜の心臓を覆っていた赤い光が、ゆっくりと青へ変わる。


 七つの門は沈黙した。


 竜影たちも、次々と光へ戻っていく。


 白い竜影だけが、鬼平の前に残った。


『心臓は眠る』


『竜域は、まだ生きている』


 白い竜影は、古竜の心臓へ戻っていった。


 心臓の鼓動が弱まる。


 ドクン。


 ドクン。


 静かな鼓動へ変わった。


 最高司祭は、暗闇の中で動かなくなっている。


 王国の門守だったアウレリアも、王城の主核も、すべての支配から解放された。


 鬼平は二挺のガトリング砲を下ろした。


 左の砲身にはひびが残っている。


 右の《雷鱗砲》は、三つの魔力が安定して流れている。


 ノアが左の砲を確認した。


「左は修理が必要だ」


「直せるか」


「元の世界へ戻れば」


「戻れるか」


 リーゼが、古竜の心臓の前に浮かぶ小さな光を見た。


「心臓が、帰還門を作っています」


 光の中に、元の世界の景色が映った。


 軍の基地。


 砲撃の跡。


 鬼平がドラゴンブレスに吹き飛ばされた、あの日の戦場。


 帰る道だった。


 ヴァルグリムが鬼平を見た。


『戻るのか』


「砲を直す」


『それだけか』


「戻る必要がある」


 ザルディオンが低く笑った。


『ならば、また来ればよい』


 鬼平は古竜の心臓を見上げた。


「敵がいる」


『我らは敵ではない』


「敵になったら撃つ」


『ならぬようにする』


 鬼平たちは帰還門へ向かった。


 ノアが右の砲を見ながら言う。


「左を直すために戻るんだな?」


「ああ」


「右は?」


「撃てる」


「また異世界へ飛ばされるようなことは?」


 鬼平は門の向こうを見た。


 元の世界の空に、赤い亀裂が残っている。


「飛ばされたら、撃つ」


 ノアは深いため息をついた。


「それは答えになっていない」


 鬼平は二挺のガトリング砲を担いだ。


 古竜の心臓の鼓動が、背後で静かに響く。


 ドクン。


 ドクン。


 鬼平たちは帰還門をくぐった。


 門が閉じる直前、白い竜影が鬼平へ向かって頭を下げた。


『軍曹』


『また、必要になった時に呼ぶ』


 鬼平は振り返らなかった。


「呼ばれなくても来る」


 そう言って、元の世界へ戻った。


 しかし、帰還門の向こう。


 古竜の心臓のさらに深い場所で、消えたはずの黒い霧が一粒だけ残っていた。


 赤い眼が、再び開く。


『次は、砲を持つ世界へ』


 竜域の中心で、古竜の心臓が静かに鼓動を続けていた。

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