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鬼平軍曹の魔石ガトリング無双  作者: しょぼんスライム


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第33話 軍曹、王国軍の主制御装置を破壊する

失われた竜の都の門を越えた瞬間、王国軍の野営地が騒然となった。


 赤い警報灯が一斉に点滅し、魔導鐘が低く鳴り響く。


 広大な平原に、王国軍の天幕が並んでいる。


 中央には、竜脈を吸い上げる巨大な魔導塔。


 その周囲には、七つの門へ魔力を送る主制御装置が設置されていた。


 魔導塔の周囲には、王国軍の兵士が数千人。


 空には竜騎士。


 地上には魔導戦車。


 そして、鬼平たちの背後には、まだ閉じていない失われた竜の都の門がある。


 鬼平は二挺のガトリング砲を構えた。


 左の砲は白い魔石。


 右の砲は青黒い魔石。


 砲身に刻まれた赤い輪が、王国軍の魔力線を読み取っている。


「主制御装置は中央です」


 リーゼが叫んだ。


「魔導塔を囲む七基の制御柱が、七つの門へ繋がっています!」


「先に制御柱を壊す」


 鬼平が答えた。


「本体を先に撃てば、魔力が逆流します!」


 ノアが警告する。


「七基を止めてから、魔導塔を落とす」


 鬼平は野営地を見た。


 七基の制御柱は、魔導塔から放射状に伸びている。


 北、北東、東、南東、南、西、北西。


 それぞれの柱へ、太い魔力管が接続されていた。


 王国軍の兵士が、門の前に集まり始める。


「異界の軍曹を、ここで止めろ!」


 王国軍の指揮官が叫んだ。


「門を奪われるな! 竜脈吸収を継続しろ!」


 魔導戦車が前進する。


 戦車の砲塔が、鬼平たちへ向いた。


 鬼平は左のガトリング砲を構えた。


 白い弾丸が魔導戦車の砲身へ集中する。


 砲身が歪み、発射された光弾が空へ逸れた。


 右のガトリング砲が車体の接続部を読み取る。


 青黒い弾丸が、装甲を破壊せずに魔力管だけを断ち切った。


 魔導戦車が停止する。


「前へ進む!」


 グラウ将軍が叫んだ。


 獣人兵が盾を構えて突撃し、元の世界の兵士たちがその後ろから射撃する。


 セレナは空の竜騎士を狙い、魔力装具だけを射抜いていく。


 ヴァルグリムは野営地の上空を旋回し、黒い炎で王国軍の魔導砲を焼き払った。


 鬼平は中央の魔導塔へ向かって進む。


 左右のガトリング砲を交互に撃ち、道を開けていく。


 左、右、左、右。


 白と青黒の弾丸が、敵の盾と魔力管を切り裂く。


 しかし、敵の数が多い。


 王国軍は次々と補充され、鬼平たちの進路を塞いだ。


 鬼平は右の砲架を振り上げ、接近した重装兵を殴り飛ばす。


「撃てなくても、殴る!」


 高瀬が叫んだ。


「今は撃ちながら殴っています!」


「近ければ殴る」


 鬼平は右のガトリング砲をもう一度振り下ろした。


 最初の制御柱へ到達する。


 制御柱は、三十メートルほどの高さがあった。


 表面には王国軍の紋章と、竜の骨が埋め込まれている。


 柱の周囲を、魔導騎士が守っていた。


「第一制御柱、敵の守備隊を確認!」


 日野が叫ぶ。


「数は百以上!」


「柱の魔力管を探せ」


 鬼平は右の砲を構えた。


 青黒い照準線が、制御柱の内部を走る。


 柱の中心ではなく、地下へ伸びる主配管が赤く浮かび上がった。


 左の砲で守備隊の盾を削る。


 右の砲で地面を撃ち、主配管の周囲だけを切断する。


 地下から赤い魔力が噴き出した。


 第一制御柱の光が消える。


 野営地の北側に浮かんでいた門の光が、少しだけ弱くなった。


「一つ目、停止!」


 リーゼが叫んだ。


 王国軍の指揮官が、中央の魔導塔から怒鳴る。


「制御柱を守れ! 門が閉じれば、竜域への侵攻が止まるぞ!」


 第二制御柱へ向かう道を、巨大な魔導兵が塞いだ。


 全身を竜骨装甲で覆い、両腕に大剣を持っている。


 魔導兵の胸部には、複数の魔石が埋め込まれていた。


「竜骨装甲兵です」


 ノアが言った。


「通常弾では装甲を削るだけだ」


「なら、接続を切る」


 鬼平は右のガトリング砲を構えた。


 竜骨装甲兵の内部に、赤い魔力線が見える。


 両腕、胸部、脚部。


 四本の魔力管が、背中の増幅器へ繋がっている。


 鬼平は左のガトリング砲で左腕の接続を撃った。


 続いて右腕。


 竜骨装甲兵が大剣を振り下ろす。


 鬼平は右の砲架で受け止め、地面へ押し返した。


 右の砲が、胸部から背中へ伸びる魔力管を撃ち抜く。


 竜骨装甲兵の動きが止まった。


 グラウ将軍が斧を振り、膝関節を砕く。


 魔導兵が倒れた。


「進む!」


 第二制御柱を守っていた魔導師が、巨大な魔法陣を展開する。


 魔法陣から、赤い光の槍が何本も放たれた。


 鬼平は二挺のガトリング砲で迎撃する。


 白と青黒の弾丸が光の槍を砕き、魔導師の杖を撃ち抜く。


 第二制御柱の主配管を、右の砲で切断する。


 二つ目の門の光が弱まった。


「二基、停止!」


 王国軍の上空から、竜騎士の大部隊が降下してきた。


 十体、二十体、三十体。


 竜騎士たちは一斉に魔力槍を構えている。


 その後方には、黒い装甲をまとった竜がいた。


 竜の首には、教会の拘束具が巻かれている。


 鬼平の右の砲に、竜脈断ちの照準線が浮かんだ。


 拘束具と竜の脊髄が、魔力で繋がっている。


 鬼平は上空へ砲口を向けた。


 左の砲が、竜騎士の魔力槍を撃ち落とす。


 右の砲が、黒い装甲竜の拘束具へ狙いを合わせる。


 青黒い弾丸が竜の首元へ飛んだ。


 拘束具へ命中し、接続だけを断つ。


 黒い装甲竜が大きく身を震わせた。


 竜の目から赤い光が消え、本来の金色へ戻る。


『自由だ』


 竜が咆哮した。


 その翼が大きく開き、背中に乗っていた教会騎士が振り落とされる。


 竜は王国軍の魔導戦車へ向かって飛び、装甲を爪で引き裂いた。


 竜騎士たちが動揺する。


 セレナが、その隙に魔力装具を撃ち抜いた。


 竜たちは次々に拘束から解放され、戦場の外へ飛び去っていく。


「竜脈断ち、使えるな」


 ノアが呟いた。


「使う」


 鬼平は第三制御柱へ走った。


 第三制御柱の周囲には、魔導砲が六基配置されている。


 王国軍は制御柱を守るため、砲台を集中させていた。


 砲口が一斉に鬼平へ向く。


 鬼平はハイテンションスキルを発動した。


 左の魔石が白く輝き、弾丸が尽きなくなる。


 右の魔石も青黒く輝き、砲身に赤い輪が増えた。


「この《ピー》がァッ!」


 左右のガトリング砲から無限の弾幕が放たれる。


 六基の魔導砲が、一発も撃つ前に砲口を潰される。


 砲台の後ろにいた魔導師たちは、杖だけを撃ち抜かれた。


 鬼平は第三制御柱の主配管へ近づいた。


 しかし、配管の周囲に王国軍の盾兵が密集している。


 鬼平は右の砲架で盾兵を押し退ける。


 左のガトリング砲で足元を撃ち、右の砲で盾の魔力接続を切断する。


 盾兵の防御が崩れた。


 グラウ将軍と獣人兵が突入し、制御柱の周囲を制圧する。


 鬼平は主配管へ右の砲を向けた。


 竜脈断ちの弾丸が、地下へ伸びる配管を切断する。


 三つ目の門が暗くなった。


 だが、魔導塔の出力が急に上昇した。


 止まった制御柱から、逆流した魔力が中央へ集まっている。


「危険です!」


 リーゼが叫んだ。


「制御柱を止めたことで、残り四基へ魔力が集中しています!」


「残りを急ぐ」


 鬼平は第四制御柱へ向かった。


 王国軍の本隊が、正面から大軍を押し出してくる。


 赤い旗の下に、重装兵、魔導師、竜騎士、魔導戦車が集まっている。


 中央には、黒城塞で逃げた教会の司祭たち。


 その中には、竜脈統括官を逃がした司祭もいた。


 教会の司祭が杖を掲げる。


「異界の兵士よ! 竜域を荒らすな!」


 鬼平は二挺の砲を構えた。


「竜を縛ったのは、お前らだ」


「竜は力だ! 利用して何が悪い!」


「敵だ」


 鬼平の左の砲が白い弾幕を吐く。


 司祭たちの杖が次々と砕ける。


 右の砲が、司祭の背後にある魔力管を読み取った。


 七つの門へ繋がる主制御装置の補助管。


 鬼平はそこへ弾丸を集中させる。


 補助管が切れ、司祭たちの術式が崩壊した。


「この《ピー》がァッ!」


 第二の暴言。


 鬼平は第四制御柱へ到達した。


 だが、柱の前に黒い鎧の騎士が立っている。


 黒城塞で鬼平と戦った竜脈統括官とは違う。


 教会最高司祭の側近、黒騎士団長だった。


 黒騎士団長は、竜の骨で作られた大剣を持っている。


「貴様が鬼平か」


「ああ」


「教会の竜騎士を倒し、黒竜の門を閉じ、竜域へ戻った異界の軍曹」


「長い」


「我が主は、貴様を危険視している」


「なら、止めに来い」


 黒騎士団長が突進した。


 大剣が振り下ろされる。


 鬼平は右のガトリング砲で受け止めた。


 剣と砲架が衝突し、火花が散る。


 団長の鎧には、複数の魔力管が見える。


 左腕から胸部、背中の魔石へ繋がっている。


 鬼平は左のガトリング砲を撃った。


 団長は剣で弾丸を弾く。


 右の砲が、背中の魔力管を狙う。


 団長は身体をひねり、管を隠した。


 鬼平は右の砲架を振り、団長の膝へ叩き込む。


 団長が片膝をつく。


 左の砲が肩の魔力管を撃ち抜く。


 団長の剣が重くなった。


「我が鎧は、竜王国の古代装甲だ!」


「装甲は撃つ」


 鬼平は左の砲を連射した。


 古代装甲の表面に弾痕が刻まれる。


 右の砲が、その弾痕へ続けて撃つ。


 赤い輪の力が装甲の結合を読み取り、板同士の接続を切っていく。


 装甲が外れ、黒騎士団長の身体が露出した。


 鬼平は右の砲架を胸部へ叩き込む。


 団長が後方へ吹き飛んだ。


 大剣が地面へ落ちる。


「殺せ」


 団長が言った。


「教会の命令に従った。竜の都を焼き、竜の子を連れ去り、門を守った。もう、戻れない」


 鬼平は銃口を下げた。


「敵なら撃つ」


「我は敵だ」


「武器を捨てた」


「それでも、我は敵だ」


「なら、捕虜だ」


 日野が団長へ魔力封じの枷を掛けた。


 鬼平は第四制御柱の主配管を右の砲で切断する。


 四つ目の門が消えた。


 中央の魔導塔が大きく揺れる。


 残り三基の制御柱へ、過剰な魔力が流れ込んだ。


 魔導塔の頂部から、巨大な赤い光柱が空へ伸びる。


 竜域の雲が割れ、遠くの山脈まで赤く染まった。


「魔導塔が暴走します!」


 リーゼが叫ぶ。


「このままでは、残り三つの門が一度に開きます!」


 鬼平は第五制御柱を見た。


 しかし、そこへ王国軍の超大型魔導兵器が移動している。


 四足歩行の巨体。


 背中に二本の竜骨砲。


 胸部には、七つの門の制御核が埋め込まれている。


「また、あれか」


 ノアが言った。


「黒城塞で倒した兵器より大きい。今度は主制御装置と一体化している」


「撃てるか」


「主制御核を撃てば、残り三つの門へ逆流する」


「接続を切る」


「接続箇所が、兵器の内部にある」


「なら、殴る」


 鬼平は超大型魔導兵器へ向かって走った。


 敵の魔導砲が火を噴く。


 左右のガトリング砲が無限弾幕で光弾を撃ち落とす。


 王国軍の兵士が進路を塞ぐ。


 グラウ将軍が斧で敵を押し返し、セレナが魔導師を狙撃する。


 ヴァルグリムが黒い炎を吐き、兵器の背中の冷却管を焼き切った。


 鬼平は魔導兵器の脚部へ到達した。


 左のガトリング砲で脚の関節を撃つ。


 右の砲で関節の魔力接続を切断する。


 一脚目が沈む。


 二脚目が止まる。


 兵器が傾いた。


 鬼平は右のガトリング砲を地面へ突き立て、跳躍した。


 兵器の背中へ飛び乗る。


 背中の装甲から、巨大な魔力管が伸びている。


 鬼平は左のガトリング砲を管へ向けた。


 弾幕が装甲を削り、右の砲が接続だけを切断する。


 魔力管が外れた。


 兵器の出力が落ちる。


 しかし、主制御核は胸部に残っている。


 鬼平は右の砲架を振り下ろし、背中の装甲を殴った。


 補強された砲架が装甲をへこませる。


 もう一度。


 三度目で、装甲が割れた。


 鬼平は内部へ飛び込み、胸部へ続く魔力線を探した。


 七つの門へ伸びる線のうち、四本はすでに切れている。


 残り三本が主制御核へ集まっていた。


 鬼平は右のガトリング砲を構えた。


 赤い照準線が、三本の接続線を示す。


 左の砲で一つ目。


 右の砲で二つ目。


 最後の一本は、主制御核の背後に隠れている。


 鬼平は砲架を主制御核へ叩き込んだ。


 核の外装が歪む。


 もう一度叩く。


 外装が割れ、最後の接続線が見えた。


 右の砲で撃ち抜く。


 残り三つの制御柱へ流れていた魔力が、すべて止まった。


 魔導塔の赤い光柱が消える。


 超大型魔導兵器が、地響きを立てて倒れた。


 王国軍の野営地全体が静まった。


 七つの門のうち、四つが停止している。


 残り三つも開く力を失った。


 王国軍は完全に孤立した。


 だが、中央の魔導塔だけはまだ動いている。


 塔の頂部に、王国軍の赤い旗が掲げられていた。


 その旗の下に、教会最高司祭の側近たちが集まっている。


「まだ終わっていない!」


 司祭の一人が叫んだ。


「主制御装置を失っても、魔導塔そのものを使えば、竜域の門を一つ開けられる!」


 塔の頂部に、巨大な門の輪が現れた。


 門の向こうから、また別の竜の咆哮が響く。


 鬼平は二挺のガトリング砲を塔へ向けた。


 ハイテンションスキルの弾幕は、まだ続いている。


 しかし、魔導塔の周囲には、王国軍の残存部隊が集結していた。


「最後の抵抗です」


 リーゼが言った。


「魔導塔を壊せば、この門も閉じます」


「撃つ」


 鬼平は二挺のガトリング砲を構えた。


 左の砲が白い弾幕を吐く。


 右の砲が青黒い弾丸を重ねる。


 魔導塔の外壁が削れていく。


 王国軍の盾兵が塔の前へ集まり、壁を作る。


 鬼平は右の砲で盾の魔力接続を切断し、グラウ将軍が兵士たちを押し退ける。


 セレナが塔上の司祭を狙撃する。


 ヴァルグリムが門の輪へ向かって飛び、竜の炎で魔力管を焼き切った。


 鬼平は塔の中心へ近づいた。


 そこには、巨大な魔石炉がある。


 魔石炉から門へ魔力が流れている。


 炉の周囲には、竜の骨で作られた固定具が四本。


 鬼平は《竜脈断ち》の照準を固定具へ合わせた。


 左の砲で一本目。


 右の砲で二本目。


 固定具が砕け、魔石炉が浮き上がる。


 残り二本。


 教会の司祭が、魔石炉の前へ立った。


「ここを通さない!」


 司祭の身体から、黒い翼が生える。


 最高司祭から分け与えられた魔力を使い、巨大な魔導獣へ変わっていく。


 鬼平は左のガトリング砲を撃った。


 魔導獣の翼が弾丸を弾く。


 右の砲で翼の魔力接続を狙う。


 接続が切れ、翼が崩れる。


 魔導獣が爪を振り下ろした。


 鬼平は右の砲架で受け止めた。


 床へ押し込まれる。


 鬼平は左の砲を魔導獣の腕へ向けた。


 連射で腕の装甲を削る。


 右の砲架を振り上げ、腕の関節へ叩き込む。


 魔導獣の腕が止まる。


「近ければ殴る!」


 鬼平は魔導獣の胸部へ右の砲を叩き込んだ。


 胸部の魔石が露出する。


 左のガトリング砲で、魔石の周囲にある固定具を撃つ。


 魔導獣が崩れ、教会の司祭が床へ倒れた。


 最後の二本の固定具が露出する。


 鬼平は左右の砲を同時に向けた。


 左で三本目。


 右で四本目。


 魔石炉が完全に浮かび上がった。


 門の輪が大きく揺れる。


 門の向こうにいた竜が、こちら側へ首を伸ばしてくる。


 その竜の首には、教会の拘束具が巻かれていた。


 鬼平の右の砲に照準線が浮かぶ。


 拘束具の接続を切ることができる。


 鬼平は撃った。


 青黒い弾丸が拘束具を貫き、接続だけを断つ。


 竜の目から、赤い光が消える。


 竜は門の向こうへ戻り、咆哮した。


 魔導塔の門が小さくなる。


 鬼平は最後に、魔石炉を右の砲架で叩き落とした。


 魔導塔の魔力が止まる。


 七つの門のうち、第一の門が完全に沈黙した。


 野営地に、王国軍の降伏を告げる白旗が上がった。


 教会の司祭たちは武器を捨て、王国軍の兵士たちも膝をつく。


 鬼平はハイテンションスキルを停止した。


 左の砲の光が白から赤へ戻る。


 右の砲の赤い輪も、ゆっくりと薄くなった。


 ノアが駆け寄る。


「第一の門、完全停止。右の砲も壊れていない」


「敵は」


「ほとんどが降伏した」


「竜は」


「門の向こうへ戻った」


 ヴァルグリムが鬼平の隣へ降り立った。


『失われた都の門は閉じた』


「残りは六つ」


『そうだ』


 鬼平は魔導塔の頂部を見上げた。


 七つの門を示す地図のうち、第一の光が消えている。


 しかし、残り六つの光は、まだ赤く輝いていた。


 王国軍の黒騎士団長が、捕虜の列の中から鬼平を見た。


「貴様は、門を閉じるだけで終わるつもりか」


「どういう意味だ」


「残り六つの門は、王国軍の本隊が守っている。さらに、教会は門ごとに竜脈を利用した守護兵器を用意している」


「場所は」


「王国の地図に記されている」


 団長は地面へ膝をつき、指で地図を描いた。


「第二の門は、海底神殿。第三は、雷鳴の高原。第四は、砂漠の地下墓所。第五は、凍土の竜骨城。第六は、王都の地下。そして第七は――」


「どこだ」


 団長は鬼平を見上げた。


「王国の王城だ」


 グラウ将軍が低く唸った。


「王国の中枢に、最後の門があるのか」


「王国は、門を使って竜域を支配するつもりだ」


 リーゼが地図を見た。


「王城の門が開けば、六つの門の魔力をすべて集められます」


「そうなれば、古竜の心臓まで繋がる」


 ヴァルグリムの声が響いた。


『七つの門は、古竜の心臓を囲む鎖だ』


 鬼平は二挺のガトリング砲を握った。


「全部閉じる」


『次はどこへ行く』


 鬼平は地図の二番目の光を見た。


 そこは、竜域の東にある深い海だった。


 海底神殿。


 海に沈んだ古代竜の都に、第二の門がある。


「海底神殿へ行く」


 ノアが右の砲を確認した。


「海の中でも撃つつもりか」


「撃てるなら撃つ」


「水中用の調整が必要だ」


「直せるか」


「今から考える」


 失われた竜の都の門は、完全に閉じた。


 解放された竜の魂は、竜域の空へ昇っていく。


 王国軍の野営地には、白旗が並んでいた。


 だが、鬼平たちの戦いはまだ始まったばかりだった。


 残り六つの門。


 海底神殿、雷鳴の高原、砂漠の地下墓所、凍土の竜骨城、王都地下、そして王城。


 鬼平は二挺の魔石ガトリング砲を担ぎ、竜域東方の海を見た。


「次も、門を閉じる」


 ヴァルグリムが翼を広げる。


『竜域の海へ向かう』


 鬼平たちは、第一の門を後にした。


 遠くの海面で、赤い竜脈の光が一度だけ明滅した。


 海底神殿の門が、鬼平たちの到着を待っている。

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