第23話 軍曹、異世界軍勢を迎え撃つ
市街地の空に、赤い亀裂が開いていた。
雲を裂くように伸びた光の線が、次第に大きく広がっていく。
その向こうに、異世界の景色が見えた。
灰色の荒野。
黒い城壁。
そして、無数の兵士たち。
赤い旗を掲げた王国軍。
黒い法衣をまとった教会兵。
魔導兵器を牽引する大型獣。
転移門の向こうから、異世界の軍勢がこちらへ移動してくる。
市街地では、住民の避難が始まっていた。
道路を走る車。
泣き叫ぶ子供。
避難誘導をする警察官。
上空を飛ぶ自衛隊のヘリコプター。
元の世界の人々は、空に開いた異常な亀裂を見上げ、何が起きているのか理解できずにいた。
鬼平は、市街地の外れに設置された防衛線に立っていた。
左手には、魔石ガトリング砲。
右肩には、壊れたガトリング砲。
右の砲は、整備工場で応急修理を施しただけだ。
砲身はまだ取り付けられていない。
それでも、銃架と砲台は使える。
「避難完了まで、あと何分だ」
鬼平が無線機へ尋ねた。
『市街地東区画の避難が遅れています。最低でも十五分必要です』
真田の声が返ってきた。
『敵の先頭部隊が、あと五分で到達します』
「十分、時間を稼ぐ」
『軍曹、敵は五百以上です。さらに、魔導兵器も確認されています』
「見れば分かる」
鬼平は市街地の道路を見た。
元の世界の自衛隊車両が、道路を塞ぐように並んでいる。
装甲車。
機関銃を搭載した車両。
対戦車ミサイルの発射機。
その後方には、警察と消防の車両が並んでいた。
異世界の軍勢に対して、元の世界の軍隊が防衛線を築いている。
グラウ将軍が装甲車の側面を見ていた。
「この世界の兵士は、馬ではなく鉄の箱で戦うのか」
「車両だ」
鬼平が答える。
「速く、硬い」
「竜より硬いのか」
「種類による」
セレナが上空のヘリコプターを見上げた。
「翼がないのに飛んでいます」
「回転翼で飛ぶ」
「魔力は?」
「燃料を使う」
グラウ将軍は、異世界の機械兵器を見渡した。
「この世界の軍隊も、かなり危険ですね」
「だから、撃つ場所を選ぶ」
鬼平は市街地の先に視線を向けた。
転移門から、異世界軍の先頭部隊が現れた。
王国軍の盾兵。
魔石銃兵。
教会の魔導師。
大型獣に牽かれた魔導砲。
さらに、黒い装甲をまとった魔導兵が続いている。
「敵、視認!」
元の世界の兵士が叫んだ。
自衛隊の指揮官が無線へ命令する。
「前衛、発砲準備。歩兵はまだ撃つな。敵が市街地へ入る前に止める」
鬼平は左のガトリング砲を構えた。
魔石は赤い。
ハイテンションスキルは発動していない。
元の世界では魔力が薄い。
通常射撃でも、異世界で使った時より魔力消費が大きい。
弾薬を無駄にできない。
「鬼平軍曹」
元の世界の指揮官が声を掛けた。
「敵の魔導砲を狙えるか?」
「ああ」
「我々の火器では、敵の魔法障壁に阻まれる可能性がある」
「魔導砲を先に壊す」
「射線上に敵兵がいる」
「撃てる」
指揮官は一瞬、鬼平の左手の武器を見た。
片手二百キロ超の魔石ガトリング砲。
本来なら、まともに構えられる兵器ではない。
だが、鬼平は軽く持ち上げている。
「許可する。ただし、市街地への流れ弾は避けろ」
「分かっている」
敵の前衛が、道路へ進出した。
盾兵が横一列に並ぶ。
その後ろで、魔導師たちが結界を展開した。
道路全体を覆う、半透明の光の壁。
元の世界の小銃弾が一斉に撃ち込まれる。
火花が散る。
しかし、魔法障壁が弾丸を弾いた。
敵兵が前進する。
元の世界の兵士たちが後退した。
鬼平は左のガトリング砲を構えた。
照準は、魔法障壁の中央ではない。
障壁を維持する魔導師たちの足元。
さらに、障壁の後ろにある魔力供給用の魔石。
鬼平は短く連射した。
魔力弾が障壁の隙間を抜け、魔導師の杖を破壊する。
一人。
二人。
三人。
魔法障壁が揺らいだ。
自衛隊の機関銃弾が、今度は障壁を貫く。
王国兵が盾を構える暇もなく、道路へ倒れていった。
敵の進軍が止まる。
「魔法障壁が崩れた!」
異世界兵が叫んだ。
鬼平は魔導砲へ照準を移した。
大型獣に牽かれた魔導砲が、赤い光を蓄えている。
発射されれば、防衛線が吹き飛ぶ。
鬼平は砲台の車輪を撃った。
魔力弾が車輪を砕き、砲身が地面へ落ちる。
砲台の向きが変わり、発射された魔力弾が市街地ではなく空へ飛んだ。
上空で爆発する。
ヘリコプターが衝撃波を避けて旋回した。
「魔導砲、無力化!」
無線に報告が入る。
元の世界の装甲車が前進し、敵の盾兵へ機関銃を浴びせた。
道路上で、二つの世界の兵器がぶつかる。
魔石銃。
小銃。
魔法障壁。
装甲車。
異世界軍は、火薬兵器の音に怯んだ。
しかし、教会の黒装束が杖を掲げる。
空から黒い雷が落ち、装甲車の一台が炎上した。
「魔導師を狙え!」
自衛隊指揮官が命じる。
だが、魔導師の周囲には盾兵が密集している。
鬼平は左のガトリング砲を構えた。
通常射撃では、弾薬が減る。
しかし、まだハイテンションスキルを使う必要はない。
敵の魔導師だけを狙う。
鬼平は装甲車の陰から一歩出た。
魔導師が鬼平を見つけた。
「異界の兵器だ!」
「撃て!」
魔石銃兵が一斉に射撃する。
鬼平は右の壊れたガトリング砲を盾にした。
魔力弾が砲架へ当たり、金属音を響かせる。
砲架の一部が削れた。
鬼平は左手の砲で、敵の魔石銃兵を撃ち返した。
武器だけを狙う。
魔石銃が破裂し、兵士たちが後退する。
鬼平はそのまま、右の砲を振り上げた。
近づいた盾兵の盾を叩き割る。
剣を持った兵士へ、砲架を横薙ぎに振る。
敵兵が道路の端へ吹き飛んだ。
「撃てない武器で、接近戦だと!」
教会兵が叫んだ。
「撃てなくても、殴れる!」
鬼平が答えた。
「この《ピー》がァッ!」
第一の暴言。
左のガトリング砲が、魔導師の杖を次々と撃ち抜いた。
魔法陣が崩れ、黒い雷が消える。
黒装束の一人が、鬼平の側面へ回った。
杖から黒い刃を伸ばし、鬼平の背中へ振り下ろす。
佐久間が魔導装具で受け止めた。
黒い刃が装具へ食い込み、佐久間の腕が震える。
「佐久間!」
鬼平は振り返り、右の壊れたガトリング砲を黒装束へ叩き込んだ。
黒装束の身体が装甲車へ吹き飛ぶ。
装甲車の側面がへこんだ。
「助かりました」
「無理をするな」
「軍曹に言われたくありません」
鬼平は左の砲身を敵陣へ向けた。
異世界軍の後方で、二つ目の魔導砲が動いている。
砲口は市街地の避難路へ向いていた。
「避難路を狙っている」
真田の声が無線から響く。
『避難車両がまだ東区画に残っています! あと八分必要です!』
「八分、止める」
『軍曹、敵の数が多すぎます!』
「見れば分かる」
鬼平は敵の魔導砲を見た。
距離は七百メートル。
魔導砲の周囲に、魔導兵が密集。
正面から撃てば、砲台へ届く前に障壁に阻まれる。
右の砲は壊れている。
だが、砲身を使った投擲はできる。
鬼平は周囲を見た。
防衛線から魔導砲までは、市街地の道路が続いている。
装甲車が敵の注意を引いている。
ヘリコプターが上空から敵陣を監視している。
鬼平は自衛隊指揮官へ通信した。
「装甲車、敵の左翼を押さえろ」
「了解」
「ヘリは魔導砲の後方を確認」
「魔導砲の後ろに、魔力管が三本あります」
ヘリの観測員が報告した。
「砲台を撃つと管へ当たる可能性があります」
「管を避ける」
「可能ですか?」
「やる」
鬼平は左のガトリング砲を構え、敵陣へ進んだ。
元の世界の兵士たちが、鬼平の左右を守る。
魔導兵が突撃してくる。
小銃が火を噴き、魔石銃が光る。
鬼平は左のガトリング砲で敵の武器を撃ち、右の砲で近づいた敵を殴る。
弾薬を節約しながら、道を開けていく。
敵の盾兵が密集した。
鬼平は左の砲を撃つのではなく、砲身を盾へ押し当てた。
片手二百キロ超の重量を乗せ、盾兵の列を押し崩す。
空いた隙間へ、元の世界の兵士たちが突入した。
敵陣が分断される。
鬼平は魔導砲へ近づいた。
魔導砲の後方には、三本の黒い魔力管。
一本目は左へ伸びている。
二本目は地面へ埋まっている。
三本目は砲台の右側から市街地へ続いている。
鬼平は砲台の台座へ照準を合わせた。
弾丸が台座を削る。
魔導砲が傾いた。
発射口が空へ向く。
その瞬間、砲台が発射した。
魔力弾が空へ飛び、雲を突き抜けて消える。
敵の魔導師が叫ぶ。
「砲台を守れ!」
黒装束が巨大な結界を展開した。
鬼平は通常射撃を止めた。
結界へ撃ち続ければ、魔石を消費する。
そして、敵が時間を稼いでいる。
避難路の車両が、まだ市街地に残っている。
鬼平は左のガトリング砲を見た。
魔石は赤い。
ハイテンションスキルは発動していない。
「鬼平軍曹、魔導砲が再充填に入っています!」
ヘリから報告が入る。
「次の発射まで、三分!」
三分。
普通の射撃では、結界を破る前に撃ち込まれる。
ハイテンションスキルなら、弾は尽きない。
砲身も壊れない。
だが、元の世界での発動は、鬼平の身体を大きく削る。
市街地には避難できていない住民がいる。
魔導砲は避難路を狙っている。
鬼平は引き金へ指を掛けた。
魔石が白く輝き始める。
リーゼが叫ぶ。
「鬼平さん、発動させるなら、短時間で終わらせてください!」
「分かっている」
「三〜五回の暴言が出ます!」
「それも分かっている」
鬼平は敵の魔導砲を見た。
結界の外側では、黒装束が魔力を注ぎ続けている。
結界を支える魔石は五つ。
魔導砲の台座を固定する金属杭は四本。
魔力管は三本。
撃つ順番を決める。
まず魔石五つ。
次に固定杭。
最後に砲台の発射機構。
魔力管には当てない。
鬼平は引き金を引いた。
「この《ピー》がァッ!」
第二の暴言。
白い弾幕が結界へ集中する。
魔石が一つ砕けた。
二つ目。
三つ目。
結界が揺れる。
黒装束が魔力を増幅する。
鬼平は射線を細かく変え、魔石だけを撃ち抜いていく。
四つ目。
五つ目。
結界が崩壊した。
「オレの前に立つんじゃねえ、この《ピー》どもが!」
第三の暴言。
弾幕が魔導砲の固定杭を破壊する。
砲台が大きく傾く。
敵の魔導師が砲台を支えようと、魔力管へ出力を送った。
魔力管が赤く輝く。
鬼平は銃口を下げた。
砲台を撃ち続ければ、管が破裂する。
鬼平は右の壊れたガトリング砲を持ち上げた。
砲台へ向かって走る。
近づいた魔導兵を、右の砲架で殴り飛ばす。
砲台の側面へ到達した。
鬼平は右のガトリング砲を、発射機構へ叩きつけた。
一撃。
二撃。
三撃。
魔導砲の発射機構がへこみ、赤い光が消える。
「撃てなくても、殴れる!」
第四の暴言。
敵の指揮官が、黒い魔力刃を振り下ろした。
鬼平は右の砲身で受け止めた。
砲身に新しい傷が入る。
左のガトリング砲を、指揮官の足元へ向けた。
短い連射で地面を砕く。
指揮官が転倒した。
鬼平はその杖を右の砲架で叩き折った。
魔導砲は完全に沈黙した。
ハイテンションスキルの弾幕は、まだ続いている。
魔石は白く輝き、砲身は壊れない。
しかし、鬼平の呼吸が荒くなっていた。
身体の奥に、異世界で何度も感じた負荷が蓄積している。
「軍曹、スキルを止めてください!」
リーゼが叫んだ。
「魔導砲は破壊しました!」
「敵がいる」
「敵は逃げています!」
「確認する」
鬼平の指は、引き金を握ったままだった。
敵の残存部隊が市街地から後退している。
黒装束は一人、まだ立っている。
その男が、転移門の残骸へ向かって走っていた。
鬼平は銃口を向ける。
撃てば倒せる。
しかし、その背後には避難中の車列がある。
照準を下げる。
黒装束が転移術式を展開した。
鬼平は左のガトリング砲で、男の足元を撃った。
地面が砕け、転移術式が崩れる。
男が倒れた。
鬼平はそこまで確認してから、引き金から指を離した。
「止まれ」
第五の暴言が、低く漏れた。
左のガトリング砲の回転が止まる。
白い魔石が赤へ戻った。
鬼平の身体が大きく揺れる。
右のガトリング砲を杖にして、なんとか立っていた。
日野と高瀬が駆け寄る。
「軍曹、座ってください」
「敵の確認」
「確認します」
高瀬が周囲を見回す。
「敵の前衛は撤退。魔導砲は全基破壊。市街地への被害は最小限です」
日野が続ける。
「避難車両も通過しました。住民は無事です」
鬼平はようやく膝をついた。
リーゼが駆け寄り、治癒魔法をかける。
「元の世界でのハイテンションスキルは、異世界より負荷が大きいです」
「弾は」
「減っていません」
「砲身は」
「壊れていません」
「なら、問題ない」
「あなたの身体が問題です!」
鬼平は返事をしなかった。
市街地の空には、まだ転移門の赤い残光が残っている。
異世界軍勢は完全に撃退されたわけではない。
撤退した敵は、別の場所で再び門を開く可能性がある。
拘束された黒装束が、地面から鬼平を睨んだ。
「この世界は、すぐに戦場になる」
鬼平は男を見た。
「もうなっている」
「王国軍は、こちら側の兵器を手に入れようとしている。教会は、地球の燃料と火薬を欲しがる。お前たちは、異世界の魔石と竜の力を欲しがる」
「オレは部下を守る」
「そのために、世界を戦争へ巻き込むのか」
鬼平は右の壊れたガトリング砲を見た。
砲身は壊れたまま。
左の砲は撃てる。
ハイテンションスキルは、使える。
だが、力を持つ者が何を守るかで、戦争の形は変わる。
「戦争を始めたのは、お前らだ」
鬼平は黒装束へ言った。
「オレは終わらせる」
整備工場から、ノアの声が無線に入った。
『鬼平、右の砲の新しい砲身ができた』
鬼平が顔を上げる。
『完全ではないが、取り付ければ短時間だけ撃てる。竜の鱗と地球の金属の組み合わせだ』
「すぐ戻る」
『戻る前に、倒れるな』
「倒れない」
『それは信用できない』
鬼平は立ち上がった。
まだ身体は重い。
それでも、右のガトリング砲を担ぐ。
整備工場へ戻る道の途中、元の世界の兵士たちが鬼平を見ていた。
異世界から来た兵器。
魔石ガトリング砲。
ハイテンションスキル。
そして、敵の大軍を十数分で押し返した軍曹。
彼らの視線には、驚きと警戒が混じっている。
鬼平は気にしなかった。
修理する。
補給する。
次の敵に備える。
やることは、いつもと同じだ。
整備工場へ戻ると、ノアが新しい砲身を持って待っていた。
砲身は黒い金属で作られ、表面に竜の鱗が薄く埋め込まれている。
砲口の周囲には、黒竜の血を封じた魔石を接続するための溝があった。
「これを取り付ける」
ノアが言った。
「通常射撃は可能。対竜弾を使えば、竜の鱗を貫ける。ただし、長時間の連射はまだ無理だ」
「何発」
「通常弾なら五十発。対竜弾なら十発」
「少ない」
「右の砲は、今まで完全に壊れていた」
「撃てるなら十分だ」
鬼平は新しい砲身を見た。
完全ではない。
だが、右の砲が再び撃てるようになる。
二挺の魔石ガトリング砲を両手に持つ、鬼平軍曹の姿が戻る。
技術将校が恐る恐る尋ねた。
「この兵器を、次の戦闘でも使うのですか?」
「ああ」
「次の敵は、どこから来るのでしょう」
鬼平は空を見上げた。
赤い亀裂の残光が、まだ消えていない。
「向こうから来る」
リーゼが地図を広げた。
「異世界側でも、複数の門が開き始めています。教会は、こちらの世界へ恒久的な門を作ろうとしている」
「場所は」
「三か所。山中の旧門跡、市街地地下、そして海上です」
グラウ将軍が地図を見た。
「三つの門を同時に守るのは不可能です」
「なら、先に壊す」
鬼平は新しい砲身を右のガトリング砲へ取り付けた。
魔石を接続する。
竜の血が入った魔石が、黒く輝いた。
右の砲身が、ゆっくり回転する。
工場内に、二挺のガトリング砲の回転音が響く。
左は赤い魔石。
右は黒い魔石。
完全修理ではない。
だが、両手で撃てる。
鬼平は二挺を持ち上げた。
「次の作戦は」
日野が尋ねた。
「三つの門を潰す」
「同時に?」
「部隊を分ける」
高瀬が驚いた。
「軍曹が一人で全部行くのではなく?」
「一人で全部撃つより、分けたほうが早い」
佐久間が無線機を確認した。
「元の世界の軍隊と、獣人連邦の兵士、異世界から帰還した部下たちを組み合わせれば、三方面で作戦が可能です」
「決まりだ」
鬼平は右のガトリング砲の引き金を確認した。
右は五十発。
対竜弾は十発。
左は通常弾と、ハイテンションスキル。
弾薬は有限。
しかし、撃つ相手と場所を選べば戦える。
「次は、敵の世界へ攻め込むのですか?」
グラウ将軍が尋ねた。
「門を越える」
「竜域へ戻る?」
「まず、こちら側の門を潰す」
鬼平は二挺の魔石ガトリング砲を両手に構えた。
「その後、異世界へ行く」
元の世界の夜空に、遠く赤い光が走った。
新たな転移門の予兆だった。
鬼平の右のガトリング砲が、黒い光を帯びて回転する。
「今度は、両手で撃てる」
鬼平軍曹は、三つの世界門を巡る新たな戦場へ向けて歩き出した。
二つの世界の戦争は、まだ始まったばかりだった。




