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魔法と交通

 マイドロス家は当初、田舎町に構えた小さな商店だった。

 だがある日、この山道で国と国を繋ぐ計画が進められると、商人が頻繁にこの町を出入りするようになった。



 すると、マイドロス家はやがて宿屋、温泉など姿を変えながらも繁盛し続け、今はこの貿易の中継地を統べる貴族となった。



 それが近年、”魔法”の発明がなされ、交通の要所としての地位が脅かされる事態へと発展する。







「ここが屋敷の入り口……中に入ると屋敷や商人と僕ら使用人達の宿舎があるんだよ。ついて来て。」



 アルモンテさんは、屋敷に向かって歩いていく。俺もその後に続こうとすると、屋敷のそばにノアがいることに気がついた。


 ノアは手を振りながらこちらに近づいてくる。




「どうしたんですか?」


 ノアがアルモンテさんにそう聞くと、アルモンテさんは軽く一礼しながら応える。




「新人に屋敷の案内をしようと……中に入ってもよろしいですか?」



「今お父様が会議をしています。入るのであればその後に来てください。」


 ノアがそう言うと、アルモンテさんは少し不満気な様子で引き返す。




「会議って、何でしょうね。」



「新しく建設される道路の話だと思うよ……魔法が発明されてから、大規模な工事がしやすくなったから。」



「整備を担当するってことですか?」


 俺が首を傾げる様子を見せると、アルモンテさんは商人用の宿舎を指差す。




「新しく道路ができると、ここに来る商人が少なくなるんだ。商人の対応は時間ができることが多いから、気になったら調べてみてもいいと思うよ。」

 



 アルモンテさんはその後、宿舎と屋敷を一通り紹介し終わり、別の仕事で少しよばれて少し俺と別れる事となった。



(魔法と交通、調べる価値はあるな。)



 この件でもし力になれたら、出世間違いなしと考えた俺は、挨拶を兼ねて他の使用人に書き込みをする事にした。




 ノアが言っていた”噂”はこの事だったのかなと思いながらも、まだ何か腑に落ちない物がある。




 この出来事が、マイドロス家没落の危機である事を、エドガーはまだ知らない。



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