23話 高鬼序列十位集結
東京編完結ッ!と言いつつ、もう今回は次章のクリフハンガーメインです。
日本海のどこかの島
船が帰ってきた。そこには多くの鬼たちが搭乗している。先日までは太平洋で、アメリカ海軍との海戦を終え帰還したのだ。
小鬼、中鬼、高鬼がそれぞれ降りて行き、最後尾から四人の鬼が降りてきた。
「お帰りなさいませ。皆さん」
そんな彼らを出向かれる、鬼の女性。桃色の着物を着て、どこか母性を感じる彼女は高鬼序列二位杏鬼。鬼の軍隊で最強の一角である。彼女が出迎えた彼らもまた、高鬼序列十位と呼ばれる。最強の一角たち。
順番に序列第一位蒼鬼。序列四位鈍鬼。序列八位白鬼。序列第十位翠鬼。
「ああ、ただいま。他の奴らはもう揃ってるか?」
蒼鬼、青を基調とした和服に四本の刀、二丁の銃を持つ。額からは牛を思わせる角が生えている。こう見えて高鬼の中で、いや世界で屈指の実力を持つ男だ。
「ええ。鬼王に緑鬼様が就任されたことによる、会議。既に皆様、集結しています」
蒼鬼のその問に、杏鬼は即座に答える。今回、彼らが本土に呼び戻された理由は二つ。鬼王に緑鬼が就任した件。それと、彼がアメリカとの和平協定を結んだからである。
「緑鬼、、悪い奴じゃ無いんだが、イケスカねぇ。しかし鬼王になった、なれたと言うことは民意だ。民意で選ばれたんだ。尊重しなくてはいけない」
高鬼とは異なり鬼王や大鬼の選定には民意が問われる。そして、その民意に高鬼や中鬼は含まれない。政治と軍事を完全に切り離すためである。
「てか、黒鬼のやつが推してた紅鬼は落ちたかッ!良いね最高ッ」
蒼鬼は両手を広げて子供の様に無邪気に叫んだ。そんな蒼鬼の肩を鈍鬼が掴んだ。
「おい蒼鬼。お前はもう少し高鬼序列一位の自覚を持て。上がこうだと下も乱れる」
序列四位。しかし、騎士道を重じる彼は会議でも杏鬼と共に進行役をしている。
「真面目ちゃんの鈍鬼め。良いかッ俺は軍と政治は同一の物だと考えている。その上でこの態度だ。もう治らねぇよ」
「貴様はしっかりと躾けなければならないようだな。多少の実力差あろうが、ダメージを入れるのは可能だ」
不真面目に真面目な蒼鬼と完璧真面目な鈍鬼は仲がすこぶる悪い。
「そんなチンケな差じゃねぇよ」
蒼鬼は腰の刀に手を掛け、戦闘態勢に入る。鈍鬼も全身の筋肉を力ませる。
「おやめ下さい。これから会議ですよ」
ジューーーッと鋼が解ける音が響き渡った。杏鬼が鈍鬼の鎧と、蒼鬼の刀の柄をほんのちょっぴり溶かしたのだ。
「おーー悪い悪い」「すまない、血が昇っていた」
「次は本当に腐らして、溶かしますよ」
「はーい」「以後気をつける」 「ぷっくすくす」
まるで喧嘩した兄弟を叱る母のような姿にずっと傍観していた白鬼が吹き出した。
「先輩たちって本当威厳ないですよね」
「同意」
それに翠鬼も便乗してきた。彼は普段は無口だが、それゆえに放たれる言葉は毎回重い。
「さぁ、行きましょう。皆さんがお待ちです」
杏鬼が手を叩き、話の軌道を修正する。
「ああ、そうするか。凱旋だ」
そうして会議室に高鬼序列十位全員が揃った。
第一位 蒼鬼・『覇王』
第二位 杏鬼・『甘い毒香』
第三位 黒鬼・『砕けぬ金剛石』
第四位 鈍鬼・『鋼の忠君』
第五位 朱鬼・『鮮血の舞姫』
第六位 紺鬼・『記憶の彼方の主』
第七位 橙鬼・『黄金の寵愛』
第八位 白鬼・『純度100%の悪意』
第九位 水鬼・『深淵魚』
第十位 翠鬼・『緑影の翠魔』
高鬼序列十位の連中はまだ設定開示はなしだけど。
今後の展開を話すと結構重要になるのでクセの強い彼らをよろしく。
ここからは東京編の総括
赤鬼編と比べてとても長い話になりました。当初は吉田倉佐っていうキャラを登場させたくて薄ーいプロットから始まったこの章ですが、木伐帆群・青木渡志などを追加したことで引き締まったと思います。一部過去編が書くの辛かったけど。
吉田さんはまたいつか活躍するので、その時により深掘りをと思っています。
初めのプロットでは斎藤葉締がわりかしキーパーソンにする予定でしたが、次第に役目全部吉田に与えました。一応、この後は幸せになります。可愛い養子を迎えるので。
次に青鬼ですが、本当はここで殺す予定でした。でも、後々の活躍が天から降ってきたので生存確定に。まぁ、吉田さんの再登場あたりとほぼ同時期かな出てきても。彼もまた設定がもとより大きく変わりました。だから、赤鬼編の頃とはキャラがズレたかもです。(元々、身長150以下にしようと思ってたなんて言えない)彼、含めて純血種はこれからもキーパーソンになるのでよろしくです。
最後に次章ですが、Death of Shadow Village編、、、変な意味ないんだからね
山門健 Lv.63
馬飼琉助 Lv.21
琵琶湖周辺
時刻は10時、ここは東京と比べほとんどの人が寝静まり、静寂が辺りの空間を支配している。
ここにまだ眠っていない男が一人。
「いやー、彼らもう時期こっちまで来るってさ」
男は部屋に入室するや否や、窓際で夜風に涼む少女に声を掛けた。少女は黒い浴衣を着込み、腰まで掛かる長い黒髪をストレートにしている。
「それは良かったですわ。ようやくお会いできる」
「夜海ちゃん前から、会いたがってたもんね」
「あら、私がまるではしたない女みたいに言うのはおやめ下さい。貞操観念はしっかりしておりますので。ねぇ?影村のおじさま」
「その呼び方、なんかワシがPA.PA.KATSU.してるみたいですむず痒いんのよ」
「そうですね。それにその資格もございませんし」
その一言が部屋の空気を凍り付かせた。
人には言ってはいけない物がある。地雷を踏んだ。
「茜月夜海。次は無いぞ」
「別におじさまを怒らせても、かつてならともかく今であれば私のヨユー勝ちですわ」
「言うねぇ。たかだか十数年しか生きていない小娘が。誰のお膝下で今も生きてると?」
「感謝していますわ。ですが、それはそれ、私が話したのは事実ですので」
声を強張らせる影村寿雄に対し、未だ余裕を崩さない茜月夜海。この時点で既に勝敗は決している。
「やっぱり夜海ちゃんには敵わないわ。流石、日本最強の妖気法使いだね」
「ええ、受け継いだ称号は伊達じゃありませんわ」
「うむ。それじゃあ、もうお休み。夜更かしは美容に何ちゃらだ。近く起こる闘いに備えて、今は最強ちゃんは体力と妖気を蓄えておくこと」
「ええ、分かりましたわ。おやすみなさい、おじさま」
影村寿雄が出て行ったあと、夜海はまだ風を浴びていた。その目で天高く照らされる月を捉えて、微笑んだ。
「月は綺麗ですわね」
彼女の『真紅の瞳』は静寂な闇夜にただ光る。




