20話 東京連続殺人事件簿その十八 儚キ夢ノ跡
決着です。
目の前が真っさらになった。
あの時、一瞬の判断で『青岩鋼亀』を俺と琉助に纏わせなきゃ、木っ端微塵だった。
なんとか起き上がると、そこは先ほどの雨が嘘のようにカラッとしていた。周囲の建物、コンクリートの地面に至るまで全てがなくなり、焼け野原になっている。
「おいッ起きろ琉助ッ。起きろッ起きろッ」
地面に倒れている琉助を揺するも、目を覚ます気配がない。幸い息はしているし大きな火傷も外傷も見渡らないから、安心はできる。気絶した琉助をひとまず焦げた地面に寝転がして放置だ。
あの自爆で耳に付けていたイヤホンが壊れている。これじゃあ警察の人たちの安否も確認できない。
「まずい状況だ」
青鬼、その肉体は欠片一つ残っていない。確認はできていないが、死んだ可能性が高い。そのおかげで雨も止んでしまった。この火災を止めるには消防車を待つしかない。
無血逮捕計画は大破産。関係のない命まで多く失われてしまった。俺は自分が不甲斐なくてしょうがない。ひとまず、まだ生きてる人を救助しよう。それが俺にできることだ。
その前に確かめなければいけない事が一つ。
「『炎縁・赤破壊鬼』ッ」
右腕に炎を灯す。青鬼の生死は確かめる必要がある。ここでと仮に生きていて逃げられたりすると、俺たちの完全敗北になる。それだけはまずい。
目を瞑り、妖気の探知に全神経を集中させる。一分か、二分幾分か経てども、気配は探知できない。どうやら青鬼は本当に死んだらしい。しかし、しかしだ、まだ何かが引っ掛かる。
「本当に死んだのか?」
やはり死体が確認できていないと、安心できない。仮にこれが『深々・幻夢ノ母』による幻術だとしても、居場所は俺の能力で探知できる。妖気には個人差がある。正確には存在しないが、新しく進化した俺の能力はそれがあると仮定して成立している。妖気の性質が変化した場合は探知出来ない。本来は妖気の性質を変化させる事はできないから、これはデメリットにならない。
「『深・水母愛』なら可能、、、」
その能力は水の性質を変化させる。それによって青鬼は純血種としての恩恵を得ている。その恩恵が何かは分からない。だが、憶測はできる。純血種と通常種では妖気の性質が違うとすれば、元の状態に戻す事で探知から逃れられるかもしれない。
「だとしたら、、、、、ッ!?」
青鬼の勝利条件はここで俺たちを殺して、推定|黒崎アルの殺害。それに対して俺たちの勝利条件は青鬼と木伐の逮捕だ。それを満たせなければ、勝利とは認知できない。誰も認めてくれはしない。
それを奴は狙う。木伐帆群を消せば、相打ちだ。
俺はそれを確かめる為に俺は青木家のあった方角へ向かう。
ガシッっと俺の脚を誰かが掴んだ。
「ッ!?琉助」
足元を見ると虫の息の琉助が必死に俺の脚を掴んでいる。その手は震えていて、軽く力を入れるだkで、引き剥がすことが出来るぐらいだ。
「これは、、、罠だ。お前の考えて、、る事、、も、、、一理ある。だが、、、だが嫌な予感がする」
「・・・・何が起こる?そこに行くと何があるッ」
「・・・・・・・・」
琉助は返事もないままに再び気絶してしまった。よく見ると、首筋に大きな火傷の跡がある。きっと全身に同じような大火傷負っている可能性が高い。このまま放置して良いのか?いや、今は青鬼の生死の確認が重要だ。
待て大火傷?
「そういう事か。琉助、、いや愛染李美阿」
俺は琉助の手を振り解き、地面に転がっている俺の刀を取りに向かう。それを拾って、琉助の元へ戻ってくる。そして、鞘から引き抜いた刀身を琉助、否、地面に突き刺した。そして、右腕には炎を灯す。
地面に刺さった刀と炎は周囲の青鬼の妖気を喰らう。そして偽りのベールに包まれた街に、真を与える。そこに広がるは、元の世界だ。辺りは一部は壊れているが、元の住宅街へ戻って行った。雨も未だに止んでいない。
琉助は地面に今度こそ意識を失って倒れている。青鬼の姿は見たらないが、先の幻影に込められた今の青鬼の妖気を取り込んだ。これで居場所を特定できる。居場所はやはり青木家だ。
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木伐帆群を抑えてから、数分経過した。凶器は排除、口には猿轡で自殺を防いだ状態で、床に転がしてある。
木伐は確保、残すは青鬼のみ。青鬼は人間離れをしている身体能力と謎の力を持っている為に、我々では対処出来ない。彼らに託すしかないのだ。
「吉田先輩。外の様子が、、、。二人の少年が押されています。我々も協力した方が?」
「さっきも説明したが、私たちは待つのみだ。余計な足手まといになる」
協力を提案する後藤に、自分たちの非力を説明する。こればかり本当に残念なことだ。今は待つしかない、もし彼らが負ければ、私たちもそれ相応の覚悟をする必要がある。
「子供が体張ってるのに俺たちは見てるだけですかッ!これは授業参観だとか運動会じゃあないんですよッ!子供を守るのが俺たち警察の役目でしょッ!」
後藤はとても正義感の強い刑事だ。言いたい事はよく分かる。
「後藤。おちつk」
バタりと後藤が首から血を吹き出しながら床に倒れた。後藤はビクビクと痙攣している。辺りは瞬く間に血の海に沈んだ。
「ッ!?」
「刑事さん。お前、ちょっとうるさいぞ」
振り返ると、木伐帆群が血に染まったナイフを持って立っている。手錠と猿轡は外されており、殺人鬼は解放されている。私ではなく後藤を殺したのは、疲労している女に対して、まだ体力のある男の方が厄介と、冷静に判断した結果だろう。この後に及んで人をコケに。
私が木伐を捕らえようと直ぐに動くが、太ももに銃弾を受けた。あれは後藤が装備していた拳銃だ。殺す際に奪い取った。なんて手際のいい奴だ。バランスを崩し、血の海に倒れる。スーツとYシャツは赤く汚れてしまった。
「形勢逆転だな。今の俺は銃を持ってる、援護が来ても、アンタとあと三人は殺せる。殺すたびに奪えばもっとだ。もとより死刑は確定な身分。こうなったら、殺られるまで殺りまくる。マーセナリーズゲームの開幕だ」
私は木伐から距離を取るように下がる。立ち上がる事も出来ないため、無意味な抵抗に違いはないが、しないよりもマシだ。私の中にあるのは、なぜコイツが解放されているかだ。一人では絶対に無理だ。誰かが協力した?
「仲間が居るのか?ここに」
「さぁな。俺は『猫ちゃん』らしい。猫が細い隙間を通り抜ける動画とかあるだろ?それと同じ要領だ」
絶対に嘘だ。人間の構造が猫と同じわけがない。コイツには協力者がいる。それも我々の目を、耳を掻い潜って、行動できる忍者みたいな奴だ。
「アンタ、メイデンって名乗ったよな?せっかくだ。ここで純潔奪って殺すものもありだな。賞味期限切れだが、鍛えられてるし、大した問題じゃあないな」
「ふざけッ」
「大人しくしろ。女の幸せ味わう前に、脳みそ散らすぞ」
叫ぶ私の口を木伐は手で押さえ、もう片方の手で、私の額に銃口を押し付けた。こんな屈辱は初めてだ。
そして、さらに屈辱的なことが起こった。頬を温かい液体が濡らしたのだ。
「みっともねぇ女だなぁ。どんなに強気でも死に際では泣き叫ぶしかない。これが俺の見たかった死に顔だぁ。ずっとこれを求めてた。求めてたんだ」
木伐は銃口を額から外し、大きく手を広げて変態的に喜んだ。
「もうアンタは用済み。死ね」
一気に冷静になった木伐帆群。そのまま銃口をこちらに向け、、。何かが大きく弾けた音がした。それは銃から発せられたものでなく、家の外で起こったことだ。
・・・ちょうどこのタイミングで青鬼は周囲を爆発させたなんて、誰も思えはしない。
「あの馬鹿ども、近所迷惑だと思わねぇか?」
木伐は外で争う三人を指して馬鹿と呼んだ。だが、コイツは立場が逆転してる時には調子にのるゲスだ。
他人の死に様を見たいだけの男。
「優柔不断なクズめ。殺すつもりなら、さっさと殺せ」
私は何を血迷ったのか、木伐を煽った。それは彼の怒りを買い、危険な行為だと理解したのにだ。何か分かった気がした。
「質問には答えろよ。アンタ立場分かってるのか?」
「人を殺すのに理由を求めるくせに。いざとなれば、引き金を引く勇気もない」
私は痛む太ももを無視して、無理やりに起き上がる。その姿に木伐は大きく目を見開き驚いている。そして、私は木伐の銃を手に取り、震えながら自身の額に押し当てた。木伐がここで引き金を引けば、私は脳みそ散らして即死だ。
「それがお前だ。仮初の狂気で、正当化してるだけ」
木伐は私が強気で出ている以上、引き金を引かない。いや、引けない。それは私の行動が奴の求める物とは逆に位置するモノだから。コイツは自分よりも弱い存在しか殺してきていない。郷田と後藤も不意打ち、求める死に顔を見れていない。
「撃てよ。『仮初の狂人』、簡単だ。こうやって引っ掛けた指を引けばいい」
今の私もある意味、狂人。自ら死を引き寄せようとしている。
「グッ!?貴様ァアアアアアッ!いいぜぶっ殺してやるッ!」
ここでは先に狂気を剥がした方が負け。というより、私は死ぬ。それを防ぐ為に、一切の恐怖を相手に感じさせない。ある意味、これは鉄骨渡状態だ。外的要因で、引き金を引かれる可能性もある。
膠着状態が続く。互いに表情を動かさない。二分経った、そして場が動いた。
木伐が絶叫した。
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何なんだよこの女ッ。目の前で仲間を殺されて、自分も殺されかけて、さっきまで死にたくないって涙流してやがったのに、それがどうして銃口を自ら額に押し付けてやがる。俺が引き金を引けないと都合の良い解釈をしてる。
俺はこいつを殺せれば、殺しさえすれば、勝ちなんだ。引き金を引かない訳がない。
勝利は目の前なんだ。引け、引け、引けッ!ささっと引けよッ!何で記憶が飛ばないんだ?
いつもなら、俺が欲を出したら即座に終わらせているはずなのに、どうしてだ?何故俺はこいつを殺せない?
「うわあああああああああッ!」
俺は銃を引き込んで目の前の刑事を突き飛ばし、青木家から逃げ出した。圧倒的に有利なのに、俺はあの女刑事を撃ち殺せない。それが情けなくて、『優秀』じゃあないみたいで。自分で自分を否定した事に恐怖した。
雨の止まない住宅街を俺はお気に入りの黄色いジャケットが雨に濡れることも厭わずに走り逃げた。いっそこのまま走ってこの街から逃げてしまいたい。だが、そんな事は不可能。すでに警察は俺のことを完全包囲しているだろう。車も導入されている。銃とナイフを持っているとしても、武装された刑事が配備されたら、こんな武装なんて無意味。
「ちくしょうッ!ちくしょうッ!ちくしょおおおおおおおッ!」
俺の絶叫が雨音だけの住宅街に木霊する。これで目を覚ます人もいるかもしれない。だが、もう直ぐ永眠する生き物の絶叫なんだ。大目に見て欲しい。
「イタゾォおおお!?いたぞおおおおおッ!」
突然、道の前に刑事が現れた。銃をこちらに向けている。俺が銃を所持している事を理解しているのだろう。
「止まれッ!撃つぞッ!」
俺は指示を無視して、刑事に突っ込んだ。どうせ刑事には発砲する勇気なんてものは存在しない。そのまま、銃を撃たせるよりも先に心臓にナイフをひと刺し。そのまま横に掻っ捌いた。返り血を浴びるが、もう汚れは気にしない。
「邪魔だッ。俺が通るから道を開けろッ」
「きっっっさm」
刑事はそのまま地面に倒れて絶命した。俺はその死に顔を見る事なく、前に走り続ける。どんな障害物が来ようとも、振り払う、最後まで悪あがきをする。
心臓がバクバクしてきた。走りすぎたから?いや、人を殺したからだ、既に何度も繰り返した行動なのに、こんなに興奮している。アドレナリンが出ていると実感するのは初めてだ。一般人が絶叫マシンなどで得る興奮を俺は人殺しで得ている。
それは俺の狂気は仮初なんかではない事の一番の証明ではないか?いや、そうだッ!俺は『優秀』なんだッ!
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青木家にて
そこは俺と奴が戦った時よりも酷い有様だった。後藤さんは首を切られ、床に血の池を作っている。吉田さんも、血で汚れたスーツで壁に寄りかかりながら座っている。よく見ると太ももから出血している。この場に奴の姿は見えない。
「何があったんですかッ!」
「木伐が逃げた、、、」
吉田さんはタバコを吸いながら、そう答えた。その瞳に正気は宿っておらず真っ黒だ。
「そっちは?青鬼、、奴をどうした?」
「逃げられた。・・・・居場所は見当もつかないです」
顔を伏せる。こちらも作戦に失敗したのだ、顔を上げることが難しい。
「他の人はどこです?見当たりませんけど、、」
家の周りを見ても警官の姿は見えない。相当な数が周辺を囲っていたはずなのに、ここに居るのはこの目の前の女、、吉田さん一人だ。
「木伐を探しに、、それと娘さんもだ。母親は上で木伐に殺されていた」
あの女性はすでに殺されていたのか?違和感だ。何か他とは違う雰囲気があったが、どうやら気のせいだった様だな。残念。じゃあ、ここにはもう用は無いな。
手を手刀の形にした。それを女目掛けて振り下ろした。今から警官を皆殺しにして、俺のことを、青鬼を目撃した者を抹消する。
バァンッ!っと室内で銃が発砲された。撃ったのは吉田とか言う女だ。
「ッ!?なぜですぅ」
なぜ、分かった?俺の正体。『深・水母愛』による変装は完璧なんだ。バレるはずがない。
ちくしょう、いくら俺でも銃弾なんて喰らえば、とてつもないダメージが入る。足の傷を冷凍さして止血する。回復には血液を栄養に変換する必要がある。これは最終手段で、使えば貧血症状を起こしかねない。頻繁には使えない。今は使う。足は大事だ。
「残念だったな青鬼っお前の考え、思考、思惑なんて簡単に見破れる。警察舐めるな」
「ならッこのままくたばれッ!」
回復させたその脚で首をへし折る勢いで蹴りを振った。しかし、それは燃える手によって遮られた。こんな芸当をここでするのは一人しかいない。もう戻ってきたか。これは本当に戦慄だ、面倒だ、絶望だ。
「手ェ出さないでくれないか?俺の姉貴分なんだ。その人は」
「どこまでもッ山門健ゥ!」
コイツは既に俺よりも格上。それは戦闘を通した俺が一番実感している。末恐ろしい子供だ、異常な成長速度、これは英雄を超えた怪物になる素質がある。
「決着つけようぜ。ここで、三人でっ」
「いいだろう。互いにそれが良いだろう」
この闘い、勝つにはもう誇りを捨てる必要がある。『勇者』になる必要がある。
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最終決戦の合図ともに俺は抜刀の構えをとる。姿勢を低く、そして右腕に炎を灯す。刀は炎を喰らわない、その理由は分からないが、今はそれが都合がいい。
「一騎打ちだ。この一撃でアンタを切り伏せる」
「俺はそれを振り払う。愛染家の至高なる妖気法能力、この『深・水母愛』、いや『深々々・儚キ夢ノ跡』で倒す」
室内に充満した湿気が青鬼の方に集まっている。そして巨大な水の塊が青鬼の前に生成される。それが何を意味するのか?能力から考察すると、とても恐ろしいという事は容易に想像できる。
「いいぜッ斬って、喰らって、切り裂いて、喰い破って、ぶった斬って、喰らい尽くしてやるよ。テメェの妖気をぉよッ!」
俺の刃と青鬼の水塊が廊下で激突した。激しいぶつかり合いとなり、俺の足が踏ん張る床は大きく軋む。
「ウガアアアアアッ!」
物凄い妖気で覆われた水塊は俺の刀を持ってしても、瞬時に全てを喰らえない。刃が遂に切り込みを始めた。このまま押し切る。筋肉の繊維がボロボロになっていくのをその身で感じる。だが、ここで止めればもう道はない。
「前の物に集中すれば、自分を守ることに集中すれば、こぼれ落ちるモンもある。これは教訓だ」
突如、青鬼は背後に傍観していた吉田さんを氷の弾丸で撃ち抜いた。後ろに倒れる吉田さんを見て、俺はほんの一瞬力が抜けた。
「ッ!?吉田さんッ!」
「ここだッ!」
その一瞬を青鬼は見逃さなかった。水塊を一気に押し込み。それで俺を包み込んだ。
呼吸ができない。このままでは溺死する。だが、青鬼はさらに極悪なことを考えたようだ。水塊は俺を包んだまま家の外へ、天高く雨天の空に向かって行った。
「ッ!?」
このまま俺ごと吹き飛ばすつもりか?いや、そうに違いない。そうなれば四肢散会、いくら俺でも死亡する。急いで、そこから脱出しようとするが、服が重たい。それに水が徐々に凍りついてきた。逃すつもりはないようだ。
俺が息を止めるのももう限界だ。口が開いた。その瞬間に、水塊が吹き飛ぶことなく、崩壊した。
「ハッァッ、はぁ」
ひとまず助かった。俺は空中から地面に舞い戻った。そして、青木家へ足を進める。何故助かったか、すぐ分かった。青鬼が吉田さんに銃で撃たれていた。
「戻ってきたか?私もやられっぱなしは嫌な性分でな」
青鬼は最後の策も終わり、戦闘に使える分の妖気も尽きたはず。今から十分に補充するには相当な時間が掛かる。
「チェックメイトだなっ青鬼」
「まだっだ、まだ終わらんッ!スティレットッォ!」
青鬼は二本のスティレットのうち片方を体内に取り込んだ。元々アレは妖気の塊。不可能ではないと思うが、青鬼の顔色は随分と悪く見える。
「くたばれッ!『深・水母愛』ッ!」
その一本のスティレットに全ての力を込めて、青鬼は突きを繰り出す。それに対して俺は拳に炎をそして拳の前に刀を水平に置き、突っ走る。
「正真正銘コレで最後だ。『炎縁・赤破壊鬼』ッ!」
赤と青、二つの妖気法能力の激突。互いに限界を絞り出す。
決着は早くに着いた。俺の拳が青鬼のスティレットを粉砕ッ突き抜けた。そのまま青鬼の胴に刃と拳が当たり、奴を奥へ奥へ奥へ奥へ吹き飛ばした。家の壁を何枚も突き破り、やがて燃える灯りのみが見えるまで彼方は吹き飛んだ。アレではもう意識はないだろう。
「はぁっはぁっはあっ」
俺は何度か息を吸い。そして、、、。
「フィ、フィニッシューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
俺は燃える右腕を上に掲げ、勝利を宣言した。
そして意識が閉じた。
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我々が木伐帆群を発見した時、奴は既に死んでいた。報告を受けたのは山門健が青鬼に勝利してしばらく経って。私が足を引きずりながら、青鬼のとこまで行き手錠を掛けた時だった。
その後に荒馬谷の肩を借り、現場へ向かった。
現場では報告通りに木伐が死んでいた。
ナイフが喉に刺さっている。おそらく苦しみながら死んだ事が予想できる。鑑識の見解では濡れた道で足を滑らせた際に一突きとの事だ。この連続殺人事件は間抜けな終幕を迎えた。
私は私たちは結局何の成果も自分たちで得られなかった。
「・・・あっけないな」
私は口に咥えたタバコを吸った。あの時、郷田にやめろと言われて以来、一度も吸っていなかった。久しぶりに吸ったタバコ。大きな煙を口から吐いた。
そのタバコからは何の味もしなかった。
次回は解決編、貼った伏線は全て回収して終わりです。
次回21話 東京連続殺人事件簿その十九 解決
そして、あと3話で次章 Death of Shadow village編、開幕です。
二人の傍観者は遠目からこの決着を見守っていた。




