表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白馬と姫  作者: カーネーション


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
60/144

第60話『森の入り口』

 サディアスとわたしは森の入り口に向けて、夜の街のなかを走った(引っ張られていた手は宿屋を出たときには離れていた)。街灯や兵士さんが持つ松明を避けて、路地を歩いていく。


 しかし、森の入り口に行くには大通りに出るしかない。噴水から南下して進む大通りはかなり目立つ。兵士さんたちも警備に当たっていたし、遠くからようすを眺めてみても、突破するにはちょっと難しそうだなと感じた。


 隣で腕を組みながら目をつむるサディアスには、何か考えがあるのだろうか。


「サディアス、どうするの?」


「しばらく待てば、時間が解決してくれる」


 何を格好つけているんだか。しゃべらないで建物の壁に寄りかかっていると、寝ているようにしか見えない。


「それは、どういう意味?」


 言葉の意味がつかめないでいたら、わたしたちがいる逆の方向の路地が騒がしくなった。「見つけたぞ!」と声が上がる。


「あの性悪女も役に立つ」


 なるほど。ルルさんが助けてくれたというわけね。


 兵士さんたちは声につられて、応援に向かってしまう。そのすきに手薄になった森の入り口に向かって、進むという作戦だったようだ。


 速く進むかと思いきや、サディアスが唐突に話をはじめた。


「ここからは立ち止まらない」


「うん」


「森に入れば、頼れるものは誰もいない。俺がどんな姿になったとしても、決して触れようなどとは思うな。どんな姿でも、お前の嫌いな俺だ。わかったな」


 「うん」とうなずいたけど、何を言っちゃっているんだろうと思った。


 確かに、ベルホルンの人たちは森のなかに入ると獣の姿になってしまう。クラウスさんやニーナさんと同じように、サディアスも例外ではないはずだ。


 だからって、このサディアスをだよ。獣になった姿をわたしが触りたいと思うはずがない。絶対にあるはずがない。


「わかったならいい。行くぞ」


 サディアスは満足したようで、腰を落としながら、走り出した。わたしも低い姿勢を保ってやってみる。


 ネットまでやってきたところで、サディアスは大通りに目を向けた。たぶんだけど、見張りをしているのだ。


「先に行け」


「でも……」


 この蜘蛛の巣のように張りめぐされたネットは経験済みだ。わたしが触れると跳ね返してくる。どうにも苦手なネットだ。


「早くしろ。大丈夫だから」


 クラウスさんの「大丈夫」とあんたの「大丈夫」は安心感が違う。そう説明してやりたかったけど、また怒られそうでやめた。やってみるか。触るだけでいいのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ